はじめに

ダイエットと基礎代謝は密接に関係しています。この記事では、基礎代謝の概要と基礎代謝を上げるための方法をご紹介いたします。

基礎代謝とは何?

特に何もしていなくても、お腹がすいてしまうことがあるのではないでしょうか?実は、人はじっとしている状態でも、生命活動を維持するために必要最低限の活動をしています。呼吸をしたり、体内に栄養を送ったり、体温を保ったりする活動を指します。この際のエネルギー量のことを『基礎代謝』と呼んでいます。

運動によるエネルギー代謝はごく一部であり、それ以外の基礎代謝でエネルギー全体の約70%を消費していると言われています。運動をしてエネルギーを消費するだけでなく、何もしていなくても消費する、基礎代謝によるエネルギー量を増やしていくことが大切なのです。

基礎代謝は年齢と共に低下する

基礎代謝量は、年齢と共に低下する傾向があります。これは、脂肪を除く筋肉や内臓の総量が年々減っていくためだと考えられています。

基礎代謝量はその人の体重や筋肉量などによって、個人差が見られ、体重や筋肉量が多い方が、基礎代謝量も多くなる傾向があります。そのため男女別で考えると、女性より男性の方が基礎代謝量が高くなるのです。

厚生労働省が発表した『食事摂取基準』(2015年度版)によると、基礎代謝基準値(1日あたりの体重1kgあたりの基礎代謝量)は、男性では、10歳から11歳の37.4kcal/kgをピークに、女性では、10歳から11歳の34.8kcal/kgをピークに徐々に減少していきます。

また、女性は男性と違い、20歳を超えてからの基礎代謝基準値は21kcal/kg前後と殆ど変化がないのですが、10代から20代で大幅に変化するために特に注意する必要があります。

基礎代謝が下がることによる悪影響

基礎代謝量が下がると血行が悪くなり、体の体温も下げてしまいます。体温が下がると、更に基礎代謝が悪くなり、この悪循環が繰り返されるのです。結果的に美容面においては、むくみやすくなったり、体が冷えやすくなったりする原因を作り出してしまいます。

食事制限を伴う過度なダイエットをすることで、栄養面が偏るため、逆に基礎代謝を下げることになりかねません。脂肪を落とすだけでなく、基礎代謝の元となる筋肉量も落としてしまうためです。

「食事制限をしているのになかなか痩せない」という人は、基礎代謝が少ない可能性があります。基礎代謝が少ないと、その分多くの運動をしないと摂取カロリー分を消費することができないため、痩せにくく太りやすい体質となってしまいます。

太りやすい体質が続くと、体内に脂肪が蓄積するために肥満になる可能性が高まります。肥満が進行することで、高血圧・糖尿病といった生活習慣病のリスクも高くなるため、気を付ける必要があるでしょう。

体を冷やさない生活習慣が大切

基礎代謝を上げるために大切な生活習慣としては、体を冷やさないように気を配ることです。体が冷えることで、体温が下がってしまうために基礎代謝も減少してしまうからです。冬は、足にひざ掛けをかけたり、体の末端を冷やしてしまうような服装を控えたりすることが大切です。

夏場でも、冷房器具の使用によって意外と体は冷えるものです。シャワーだけでなく、お風呂に浸かるように心がけて体を温めましょう!あまり暑いお湯は体への刺激も強いため、38℃くらいのぬるめのお湯に長時間浸かるのがおすすめです。

また、睡眠時間を十分にとることもポイントです。眠っている間に分泌される『成長ホルモン』の影響で筋肉が生成されるのですが、睡眠を十分にとらないとホルモンの分泌が阻害されてしまいます。

不規則な生活を繰り返すことは、自律神経の乱れにも繋がります。自律神経の乱れも、基礎代謝が下がる原因となるため、規則正しい生活を心がけましょう。

バランスの良い食生活を心がけよう

さまざまな食材を、バランスよく組み合わせた食生活を心がけることで、エネルギーや筋肉の生成と消費がバランスよく行われるようになります。特に、緑黄色野菜にはビタミン・ミネラルが豊富に含まれているので、積極的に摂取すると良いでしょう。

食事の際には早食いは避け、よく咀嚼して食べることでエネルギー消費も高まります。

近年、朝食を抜く人が増えていますが、朝食を食べることは眠っている間に低下している体温を上昇させることに繋がります。朝食を食べないと体温の上昇が遅くなるため、午前中は思うように活動できません。活動は基礎代謝にも関係していて、体温が上昇しないうちには基礎代謝は活発に行なわれないのです。

体を冷やさないことは食生活にも言えることで、夏場だとしても体を冷やすメニューを摂り過ぎないように注意しましょう!味噌汁やスープをメニューに盛り込んだ、温かい食事をメインにするのがおすすめです。

基礎代謝を上げるのは『無酸素運動』

運動には『有酸素運動』と『無酸素運動』があります。有酸素運動は、ウォーキング・水泳・縄跳びといった長時間、積極的に酸素を取り入れながら行う運動です。
これに対して無酸素運動は、短距離走・筋肉トレーニングといった酸素をほとんど必要としない運動です。

これらを組み合わせた運動をすることが大切ですが、基礎代謝を上げることに着目した場合には無酸素運動が効果的です。無酸素運動で筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上昇するのです。

腹筋・スクワット・ダンベルといった、自宅にいながら気軽にできる筋トレがおすすめです。テレビを見ながらでも出来るので、取り組みやすいでしょう。

女性は男性に比べて、筋肉を作り出す男性ホルモンの分泌が盛んでないため、激しい運動をしない限り筋肉が付きすぎるということはありません。引き締まった体型を手に入れるためには、毎日コツコツと続けることが大切だと言えます。

まとめ

基礎代謝量をあげることはダイエットに効果的なだけではなく、私たちの体の調子を整え、生活習慣病の予防にも繋がります。

年齢と共に基礎代謝が低下するのは仕方のないことです。それと向き合って、無理のない程度に取り組める対策を考えていくことが大切です。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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