水泳の効果

水泳は全身を使う、消費カロリーの高い有酸素運動のため、脂肪燃焼・ダイエット効果が期待できます。

泳ぎ方には平泳ぎ、クロール、背泳ぎなど様々な種類がありますが、水中での運動は水圧による抵抗を受けて全身を動かすので、エネルギー消費量が多くなります。
泳ぎが苦手な方でも、水中を歩く水中ウォーキングを行うだけで、陸上のウォーキングよりも大きな負荷をかけて有酸素運動をすることが可能です。

それだけでなく、筋力向上や心肺機能向上などの健康効果が高く、身体を強くして病気に罹りにくくなると言われています。

近年では、水泳により脳の活性化効果が得られるとも言われています。

クロールなどの泳ぎ方からも分かりますが、水泳では腕と脚がリズミカルに別々の動きをします。
このような運動を習慣的に行うことで脳を活性化し、うつ症状を軽減したり、認知症予防につながることが期待されています。

水泳が優秀な有酸素運動の理由

水泳は有酸素運動として優秀なスポーツと言われていますが、その理由をいくつか挙げたいと思います。

1.心肺機能が鍛えられる

水中では呼吸を行えないため、水泳をしている際中は、意識的に呼吸をしようとし、酸素摂取が促されます。
水圧によって血管のポンプ機能が高まり、血流が良くなって、酸素を運搬する能力が向上します。
また、喘息の子どもに適した運動として、水泳を勧めらることもあります。
喘息に乾燥は敵ですが、水泳なら喉が乾燥することもなく、心配機能が高められます。

2.全身運動で消費エネルギーが多い

前項でも述べた通り、水泳は全身を使った運動で消費カロリーが大きく、効率的な有酸素運動と言えます。
身体活動の量を示す単位に『メッツ』という単位があります。
座って安静にしている状態を1メッツとし、その運動中の身体活動量を表すことができます。
水中運動が4メッツ(早歩きと同等程度)、ゆっくりとしたスイミングが6メッツ(ジョギングと同程度)、平泳ぎが10メッツ(ランニングと同程度)、バタフライ・クロールが11メッツくらいの強度と言われています。
このように、他のスポーツと比較しても、水泳はかなり強度が高い運動と言えます。

3.足腰への負担が少ない

水泳では浮力によって身体が浮いた状態となるため、身体の関節にかかる負担が少なくなります。
特に、腰部や膝など、陸上の運動で体重がかかりやすい部分への負担が少なく、強度が高い運動をしても関節痛などの症状が出にくいと考えられます。
足腰の痛みなどでスポーツを行うのが難しい人でも、水泳ならチャレンジしやすいと言えるでしょう。

効果的な泳ぎ方

水泳で効果的な有酸素運動をするには、一定時間泳ぎ続ける必要があり、心拍数が上がった状態をキープすることが大切です。
しかし、あまり速く泳ぎ過ぎると強度が高くなり過ぎ、身体に酸素が足りず、無酸素運動となってしまうので、注意してください。
水泳はゆっくりとしたスピードでも十分強度が保たれますので、無理のない範囲で最低でも15~20分程度は継続しましょう。

強度別効果的な水泳メニュー

先に述べたように水泳は泳ぎ方によって強度が異なります。
強度別の効果的なメニューを以下に解説します。
ご紹介するものの他に、背泳ぎやバタフライなどの泳ぎ方もありますが、有酸素運動を行うにはある程度長く泳ぎ続けなければならないため、自分自身が一番泳ぎやすく続けやすい泳ぎ方を選ぶことが大切です。

低強度:水中ウォーキング

泳ぐことが苦手な方でも行いやすいのが、水中ウォーキングです。
有酸素運動として効率よくカロリーを消費するには、姿勢を良くして大股で歩き、なるべく長く続けます。
最低20分間くらいから始めると、有酸素運動として効果的です。
1時間ほど水中を歩けば、100~200kcalくらい消費すると言われています。

中強度:平泳ぎ

有酸素運動として長く継続しやすい泳ぎ方が平泳ぎでしょう。
他の泳ぎ方に比べて強度は低めですが、その分、長く続けやすい泳ぎ方であるため、有酸素運動に向いています。
1時間泳ぐことができれば、200~300kcalくらい消費すると言われています。

高強度:クロール

クロールは最もポピュラーな泳ぎ方でしょう。
全身の筋肉を多く使うため、強度も高くなります。1時間泳ぐと、400~500kcal程度消費できます。
ただ、水泳に慣れている方でないと、クロールを長時間続けるのはかなり体力的にきついため、初心者は無理をしないようにしましょう。

水泳の注意点

最後に水泳の注意点を挙げたいと思います。

1.泳ぐ前に準備体操をする

準備体操をせずにいきなり水の中へ入り泳いでしまうと、急激な冷えと筋肉に収縮により、脚がつってしまうことがあります。
怪我の原因になるので、しっかりと準備体操を行い、身体を温めてほぐしてから水泳を行うようにしましょう。

2.水分補給をする

水中で泳いでいると喉が渇いていることや汗をかいていることに気付きにくいです。
意識的に途中途中で水分を摂取し、水分不足にならないようにしましょう。

3.身体の冷えに注意する

長時間泳いでいると、水温や気温により、身体が冷えてしまうことがあります。
低体温になると血液循環が悪くなり、唇が青くなってきます。
筋肉がつりやすくなり、頭痛や腹痛など身体の不調を来たすこともあるでしょう。
無理のないように休憩をとり、プールサイドではタオルなどを羽織って身体を温めるようにしましょう。

おわりに

有酸素運動としての水泳の効果やメニューについて解説しました。
水泳は有酸素運動の効果が高く、メリットの多いスポーツだということがお分かりいただけたと思います。
注意点に気を付け、水泳を楽しみながら効率よく有酸素運動をしましょう!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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