はじめに

腸もみというマッサージをご存知ですか?

これを行う事で腸を元気にするだけではなく、心身共にに様々な効果が期待出来ます。

今回はそんな腸もみについて解説します。

腸もみとは

腸とは西洋医学で大腸・小腸の総称です。腸は常に蠕動運動といって、自分で動きながら食物の消化、吸収を行なっている器官です。例えば、年中食べている方の腸は当然働き過ぎていて疲労が蓄積していき、その結果蠕動運動が弱くなる可能性があります。それ以外にも便秘が酷い方の場合、蠕動運動が弱くなっている可能性が高いです。

これらを改善するのに適しているのが腸もみです。腸を揉む事で腸の疲労を取り除き、腸蠕動運動を回復させる事が出来ます。東洋医学において、お腹には各臓器に通じている反射点があるとされています。その為、お腹だけであらゆる臓器の働きの改善もできるのです。つまり腸もみは内臓の機能全体を高める事が期待出来ます。

腸もみの効果とは?肌荒れ・便秘・肥満は解消出来る?

腸もみには様々な効果が期待出来ます。内臓の状態が良くなると肌荒れなどにも効果があります。
その効果を以下に纏めました。

1.便秘の解消

腸もみを行うと腸の蠕動運動が活発になります。それにより、腸の中に溜まっている便が動くので、日頃から便秘に悩まされている方には大きな効果が得られます。

2.ダイエット

腸はぜん動運動を上手く行えないと体の新陳代謝が低下し、脂肪を溜め込みやすい身体になってしまいます。代謝が低下すると老廃物を蓄積してしまい、水太りになってしまったり、便が腸に溜まってしまってお腹がポッコリを出てしまう原因になるのです。腸もみによってこれらが改善されますので身体は痩せやすくなります。

3.冷え性

腸もみをして腸の動きが活発になると栄養の吸収や消化が上手く行えるようになります。その結果、腸の血流や代謝もアップするので、血の巡りが良くなり冷え性が改善されます。

4.免疫力が上がる

腸には免疫器官があり、腸もみすると免疫器官も一緒に刺激されます。そうすると腸の免疫器官が活性化されるので、免疫力が上がります。

5.内臓下垂の改善

内臓に疲労が蓄積すると、重力によって内臓が本来の位置よりも下がってしまいます。そうすると自然と姿勢も悪くなってしまいます。そこで腸もみすると内蔵機能が上がり、内臓の疲労が取り除かれます。内臓の疲労が取り除かれると内臓下垂も改善してきます。

6.姿勢が良くなる

お腹が痛い、便秘でお腹が苦しい等、身体に不調を感じると姿勢を伸ばすのが辛くなり、いつの間にか身体を丸めてしまいがちです。姿勢が悪いのは何も骨格の歪みだけが原因ではありません。

東洋医学では内臓の状態は全身に反映されると言われている程で、内臓の調子が悪いと姿勢が悪くなることがあるとされています。

7.精神の安定

腸もみと精神の安定は一見、関係ないように思えますが、腸は自律神経にも繋がっています。腸もみをすると自律神経が刺激されますので、精神が安定してきます。イライラが止まらない時や不安等を感じた時にも腸もみは有効です。

8.内臓全体を活性化

東洋医学では小腸が心臓、大腸が肺と表裏の関係にあると言われています。つまり、小腸や大腸の機能が改善されると心臓や肺の機能も良くなり、内臓全体に良い影響を与えてくれるという考えです。

9.美肌効果

新陳代謝が下がり血流が悪くなると肌が荒れたり、肌トラブルの原因になってしまいます。また、内臓機能が低下すると真っ先に影響が出てしまうのも肌です。腸もみする事で血流や代謝が改善されると自然とお肌の調子も良くなるので美肌に繋がります。

腸もみのやり方

では、具体的に腸もみのやり方を説明します。腸もみは右の腰骨の脇と左の肋骨の下を掴むように揉むだけです。ポイントとしては自分が気持ち良いと感じる位の強さで、柔らかく、内臓を労わるように3分間もみましょう。朝、起きた時や寝る前等ちょっとした時に行えるのが腸もみの良い所でしょう。

また、腸はお風呂等で温めると動きが活発になるので、湯船に浸かりながら腸もみをするとより大きな効果が期待出来ます。

腸もみをする時の注意点

腸もみには肌荒れや便秘、肥満の解消等様々な効果がありますが、注意点もあるので、それも把握してから実施して下さい。

・力を入れすぎない

腸もみは過度な力で押すと腹痛や筋肉痛の原因になってしまいます。自分で揉んで気持ち良いと思う力加減で十分効果があるので、グイグイ力を入れて無闇に力を入れてもまないようにしましょう。

・避けて欲しい時間

いつでもどこでも出来る腸もみですが、理想的な時間は起床時、入浴中、または入浴後、そして寝る前です。気持ちがリラックスしている時に行うようにしましょう。食前や食後は気分が悪くなってしまったり、腹痛を起こしてしまう可能性があるので避けましょう。

・避けて欲しい身体の状態

体調によっても避けて欲しい症状があります。それは下痢している時や生理痛がある時、妊娠中等です。
また腹部の手術をされた方や腹部に炎症を起こしている方、腹部に出血している可能性のある方もどんなトラブルが起こるか分からないので腸もみするのは止めて下さい。

・インシュリン注射投与後は避けて

糖尿病を罹患されている方でお腹にインシュリン注射を行っている方の場合、インシュリン注射を投与した後に腸もみしてしまうとインシュリンの効き方が変わってしまう恐れがあります。

インシュリン注射を投与した後は2時間以上空けてから腸もみするようにしましょう。

まとめ

腸もみは内臓器官の疲労を回復し、蠕動運動を促す事で身体の様々な部位の機能を向上し、精神を安定させてくれるマッサージです。

便秘の解消やダイエット、冷え性、免疫力のアップ、内臓下垂の改善、姿勢を正す、精神の安定、内臓全体の活性化、美肌等の効果が期待できます。

ただし、自分が気持ち良いと思う程度の強さで優しく行って下さい。

腸もみをして健康的な生活を送りましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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