禁煙の成功率

禁煙を思い立った時、自力で禁煙をして成功する確率は2割程度と言われています。タバコには依存性があり、『身体的依存』と『精神的依存』の2つの要因により自力で禁煙することはとても困難です。
タバコをやめたいと思っても、なかなか止めることができない、一旦は止められたかと思っても、また吸ってしまうのは、自分の意志が弱いわけではなく、『ニコチン依存症』という病気によるものと考えた方が良いでしょう。ニコチン依存症は病気であると認識されるようになり、現在は一定の条件を満たせば、医療機関で禁煙外来を保険適用で受けることができます。禁煙外来に通院した人の禁煙成功率は8割程度と言われています。
一度禁煙に挑戦して失敗してしまった人も、自分の意志が弱くて根性がないから失敗したのだと諦めず、正しい方法で禁煙を再チャレンジすれば成功する確率は上がります。

禁煙の方法

禁煙の方法はいくつかありますが、人によって普段のタバコの本数や依存度合いも異なるため、どの方法が最適かは一概には言えません。自分に合った方法を見つけることが大切です。
自力での禁煙に失敗したことのある人は、何かしらのサポートを利用することを考えた方が良いでしょう。

1.自力で禁煙する

ニコチン依存度が低い場合は、禁煙補助薬などは利用せず、自力で禁煙をすることも可能でしょう。
禁煙に関する本を読んだり、インターネットで禁煙のサポートを受けるサイトを利用するのもおすすめです。

2.禁煙補助薬を使用する

禁煙補助薬は薬局やドラッグストアで購入できます。
吸いたい気持ちが抑えられないのは、ニコチンの禁断症状によるものです。ニコチンパッチやニコチンガムを使用し、体内のニコチン量を徐々に減らしていくことで、禁断症状を緩和しながら禁煙ができます。
禁煙補助薬購入の際には、薬剤師からよく説明を受けるようにして使用量や使用方法を守りましょう。

3.禁煙外来に通う

禁煙外来を行っている医療機関では、医師や看護師といった専門家のサポートにより、禁煙に取り組むことができます。
一定条件を満たせば保険が適用され、禁煙補助薬(飲み薬・張り薬)を使用しながら、12週間の禁煙プログラムを受けることができます。

禁煙を成功させるためのコツ

自力で禁煙する場合も、禁煙補助薬や禁煙外来を利用する場合も、以下の禁煙のコツを念頭に置いて取り組み、禁煙成功率を高めましょう。

1.禁煙開始日を決める

禁煙開始日を決め、その日からキッパリと止めましょう。タバコの本数を減らしたり、軽いタバコに変えることは禁煙にはなりません。
禁煙開始日は結婚記念日や家族の誕生日など、何か大切な日にすることがおすすめです。

2.喫煙用具を捨てる

タバコはもちろんのこと、ライターや灰皿などの喫煙用具は全て処分してしまいましょう。タバコに関する物は極力遠ざけて、自分の視界に入れないようにします。

3.喫煙の誘惑を避ける

できるだけ、タバコに触れる環境を遠ざけた生活を送るようにしましょう。
喫煙者が多くいる飲み会などへの参加は避けてください。家族や職場の人に禁煙宣言をして、タバコの誘いを断り、禁煙に協力してもらうと良いでしょう。

4.代替手段で禁断症状を乗り切る

吸いたくなってしまった時は、タバコではない他の手段でその場をしのぎましょう。
歯を磨く、香りの良いお茶を飲む、シュガーレスガムを噛むなどして気を紛らわせると良いでしょう。軽い運動をするなど、身体を動かしてリフレッシュするのもおすすめです。

禁煙の期間

禁煙を開始したその日からすっぱりと止められれば良いのですが、なかなか思うようにいかないこともあります。
ニコチンの禁断症状は長くても2~3週間で消失すると言われています。しかし、禁断症状がおさまってからも、精神的な依存による吸いたい気持ちをコントロールする必要があります。

禁煙外来では基本的に12週間で5回の通院をするというプログラムになっています。
禁煙開始から12週間後まで続けられれば、禁煙を続けられる自信もついてきます。禁煙外来を最後まで通い続けた人は禁煙成功率も高くなります。
保険適用となる禁煙外来で定められたこの12週間という期間を一つの目安にすると良いでしょう。さらに、その期間で成功した後も、その後2年間くらいはタバコの誘惑に気を付けましょう。

おわりに

タバコは心臓病や脳卒中、悪性新生物(がん)など命に関わる重大な病気を引き起こす原因となります。長年タバコを吸っていた人でも、今タバコを止めれば少しでも病気のリスクを減らすことができます。
自分のためにも、家族のためにも、周りの人のためにも、禁煙することで受けられるメリットはとても大きいものです。
禁煙の方法を知り、自分に合った方法でぜひ禁煙を成功させましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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