デンタルフロスとは

デンタルフロスとは、歯と歯の間を掃除するための糸状の清掃用具です。

「糸ようじ」とも呼ばれます。

通常、歯ブラシを使って歯を磨いていらっしゃると思いますが、実は歯ブラシは歯の表面の広い面積を磨くのには適しているのですが、歯と歯の間を磨くのは得意ではありません。

歯と歯の間を磨くには、デンタルフロスや歯間ブラシが最適です。
歯と歯の間が広いときは歯間ブラシがいいのですが、歯間ブラシを入れることができないくらい狭い場合は、デンタルフロスを使います。

デンタルフロスと歯間ブラシの使い分けのしかたをご説明します。

デンタルフロスを使う頻度

基本的に歯を磨くときや寝る前には、歯ブラシとともにデンタルフロスを使って歯を磨いてほしいので、基本は1日3回以上です。

しかし、デンタルフロスの使用に慣れないうちは時間もかかりますので、忙しくて時間がとれないという方も多いことでしょう。

そこで、少なくとも1日1回は使うことをお勧めします。

デンタルフロスの選び方

デンタルフロスの種類を紹介しますので、適したものを選ぶようにしてください。

糸巻きタイプ(ホルダーなしタイプ)

デンタルフロスの基本形です。ロールタイプと呼ぶこともあります。
ケースに数十メートル分の糸が巻いて収納してあり、使うたびに適度な長さに切って両手の中指に巻き付けて使います。後述するホルダータイプと比べて、ホルダーがない分低コストになっているのが特徴です。
また、このタイプはホルダータイプのデンタルフロスよりも使うのが難しいという欠点もあるですが、ワックスタイプ、ノンワックスタイプなど糸の種類を選ぶことができるのも利点のひとつです。
糸巻きタイプは、すべて使い捨てです。一度使ったらそのまま廃棄します。

ホルダータイプ

デンタルフロスを使いやすくするために、ホルダーがついたタイプもあります。
デンタルフロス初心者の方や、体に障害があって使いにくい方には、ホルダー付きのデンタルフロスをお勧めします。
ホルダータイプの形状は、F型やY字型など様々な種類があります。F型は、前歯部の歯と歯の間の掃除のとき使いやすいです。Y字型は奥歯の掃除に便利です。もちろん、F型が奥歯に使えないということもありませんし、Y字型を前歯部に使うことができます。
ホルダーつきのデンタルフロスは、ホルダーがついている分ホルダーなしタイプと比べると値段が高くなりがちです。
ホルダータイプのデンタルフロスの多くは、使い捨てではありません。切れたりほつれたり、またはホルダーが折れるまで何度も使いますので、使用後は洗ってきれいにすることを忘れないでください。

ワックスタイプ

デンタルフロスにワックスがついているタイプです。
ワックスの効果で滑りが良くなっていますので、歯と歯の間に入れやすいのが特徴です。デンタルフロスに慣れていない方には、こちらの方が使いやすいでしょう。

ノンワックスタイプ

ワックスがついていないデンタルフロスです。
ワックスがついていないので、ついているタイプと比べると、歯と歯の間に入れにくいです。その反面、歯と歯の間の汚れがデンタルフロスに絡み付きやすいので、清掃効果が高くなっています。
そのため、デンタルフロスの取扱いに慣れた方には、ノンワックスタイプの方がいいとされています。

エクスバンドタイプ

水を吸い込むと太くなる特殊な糸で作られたデンタルフロスです。お口の中の唾液で太くなるので、清掃効率が高いですが、糸そのものも太いので歯と歯の間の狭いところに入れることができないこともあります。

正しい デンタルフロスの使い方

では、デンタルフロスの使い方について解説します。

糸巻きタイプ

①デンタルフロスを30〜40cmくらいの長さに切ります。
②両手の中指に2〜3回巻き付けて、12〜15cmくらいの長さにしてピーンと張ります。
③親指と人差し指を使って糸をつかみます。
③歯と歯の間にノコギリをひくようにして入れます。
④歯と歯の間に入ったら、歯の側面にデンタルフロスを当て上下に2〜3回こすり当てます。
⑤きれいになったら、ノコギリをひく要領で歯と歯の間から抜きます。もし、抜きにくいときは外側に引き出すようにして抜いてください。

ホルダータイプ

①歯と歯の間にデンタルフロスの糸を当て、ノコギリをひく要領で少しずつ歯と歯の間に挟み込んでいきます。
②歯と歯の間に入ったら、歯の側面に当てるように上下にデンタルフロスを動かしながら清掃します。
③歯と歯の間が十分きれいになったら、ノコギリをひく要領で動かしながら歯と歯の間から取り出してください。

まとめ

歯と歯の間の汚れは、歯ブラシできれいに取り除くのは難しいです。

そこでおすすめなのがデンタルフロスです。

デンタルフロスを使えば、歯と歯の間の汚れもきれいに取り除けます。
歯と歯の間の汚れが残っていることに気がつかないでいると、そこから歯茎が腫れて歯周病になったり、むし歯になったりします。歯と歯の間まできれいに磨くことが大切です。

初めて使う方や、障害のある方は、鏡を見ながらデンタルフロスを使うのは難しいでしょうから、ホルダータイプのデンタルフロスが適しています。
ベテランの方は、経済的に優れた糸巻きタイプのデンタルフロスがおすすめです。

普段、「歯と歯の間の汚れなんて気にしていない」、「歯ブラシしか使っていない」というような方も、この機会に是非デンタルフロスを使うことを習慣づけてください。

そして、歯周病や虫歯を予防し、健康な歯やお口を保つようにしましょう。

監修

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

・日本口腔外科学会専門医、日本口腔科学会認定医 見立英史

専門分野
歯科、口腔外科

経歴
九州大学歯学部卒業。2003年歯科医師免許取得。2009年博士号(歯学)取得。九州大学病院顎口腔外科医員。2011年医療法人仁慈会西原歯科勤務。2013年九州大学病院顎口腔外科助教。2016年福岡歯科大学口腔外科助教。2018年長崎大学病院 顎口腔再生外科

資格
歯科医師免許
日本口腔外科学会専門医
日本口腔科学会認定医

所属学会
日本口腔科学会
日本口腔外科学会
日本口腔腫瘍学会

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