冬の感染症とは

■ウイルスとは?

ウイルスは、自分で細胞を持たず、ヒトなどの生き物に取り付いて繁殖します。
一方、細菌は、栄養源となるものを摂取して大きくなり、細胞分裂するため、自分で繁殖していきます。

例えるなら、細菌が自分で工場(細胞)を持っているのに対し、ウイルスは工場(生き物の細胞)を間借りして自分のコピーを作らせているということです。

■ウイルスが好む環境は?

冬にウイルス感染が流行するのには、理由があります。それは、「低温・低湿度」になるからです。
多くの細菌が高温多湿を好むのに対し、ウイルスは「低温・低湿度」を好みます。

ウイルスは細菌の1/10~1/50ほどの大きさで、水分が少ない空気中では、簡単に浮き上がって人に届きやすくなります。
特に、低温では、咳やくしゃみによる飛沫の範囲が広くなり、感染の危険性が高まります。

また、低温になると、体温も下がるため、ウイルスに対する免疫力が低下し、感染症にかかり安くなります。
喉や口腔内も乾燥するため、身体の中でも感染が広がりやすい状態になります。

インフルエンザの感染経路と症状

まずは、冬に必ずと言って良いほど流行する『インフルエンザ』について解説します。

■インフルエンザの感染経路

インフルエンザは、『飛沫感染』と『接触感染』を起こします。

飛沫感染では、感染した人の咳やくしゃみで飛沫したウイルスが、感染していない人の口や鼻から入って感染します。

一方、接触感染では、感染した人のくしゃみや咳・鼻水などが、身体や部屋の中の物などにつき、そこに付着したウイルスが、手や口、鼻を介して感染します。

■インフルエンザの症状

インフルエンザウイルスには、A型とB型という風に色々な種類があり、特に有名でかかりやすいのが、A型とB型です。
また、年や地域によって流行が変わるとともに、新型が現れれることもあります。

A型インフルエンザウイルスの主な症状は、38度以上の高熱や全身の関節の痛み、頭痛などのです。
B型の場合は、発熱に加えて消化器系の症状が出ます。

どちらの場合も、身体がだるくなり、ふとんから起きるのも辛い症状が数日間続きます。

インフルエンザの治療と予防

■インフルエンザの治療

インフルエンザが疑われたら、すぐに医療機関へ受診しましょう。
感染スピードが早いため、自分の治療とともに、他者への感染を防がなければなりません。仕事や学校へは行かず、安静に過ごすことが大切です。
休養中は、室内の温度や湿度が引くならないように保ち、水分を多めに摂取しましょう。

薬物療法には、発熱や関節痛などを抑える『対症療法』と、インフルエンザウイルスを倒す『原因療法』があります。
インフルエンザウイルスは増殖速度が早いため、48時間以内に原因療法の薬を服用する必要があります。

■インフルエンザの予防

インフルエンザには、予防接種があります。
医療機関によってはワクチンが売り切れている場合があるので、早めに予約することをおすすめします。
予防接種を行ってもインフルエンザに罹ることがありますが、症状は悪化しにくくなります。

そのほか、手洗い、うがい、マスクの着用も重要です。外から帰ってきた時や、大勢の人がいる場所に行った時などは、必ず行うようにしましょう。

RSウイルスの感染経路と症状

冬に流行するウイルスの一つに『RSウイルス』があります。
特に、子どもの間で流行し、感染力が強いため、幼稚園や保育園などで流行ると、何度も感染と発病を繰り返します。

■RSウイルスの感染経路

RSウイルスもインフルエンザウイルスと同時に、飛沫・接触により感染します。
※飛沫感染・接触感染の詳しい説明は、「インフルエンザの感染経路」をご覧ください。

赤ちゃんから高齢者まで感染しますが、特に、乳幼児や幼児が感染しやすいウイルスです。
保育園や幼稚園に通っている子や、その兄弟姉妹が感染しやすく、ワンシーズンで何回も感染することもあります。

■RSウイルスの症状

RSウイルス感染症の症状は、一般的な風邪のような発熱、鼻水、咳がメインです。 
RSウイルスが気管に入ると、気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。

初めて感染する乳幼児は、症状が重度になりやすいため、高熱や激しい咳が続くことがあります。
症状が重篤な場合には、死亡する可能性もあるため、しっかりと治療や予防を行いましょう。

RSウイルスの治療と予防

■RSウイルスの治療

インフルエンザのように原因療法はありませんので、医療機関で熱や咳、鼻水などを緩和する治療を受けましょう。
咳が重度な場合には、医療機関にて気管支拡張剤を投与することもありますので、心配な場合にはすぐに受診してください。

家では安静にして十分な休養をとり、水分を多めに摂取しましょう。

■RSウイルスの予防

RSウイルスは接触感染が多いため、こまめな手洗い・うがいが必要です。
園内感染や家庭内感染に注意し、外出後や食事前には、必ずそれらを行いましょう。

また、『次亜塩素酸ナトリウム』や『消毒用アルコール』での消毒も有効的です。
手だけでなく、食器や浴槽、タオルなども清潔に保てるとより安心です。

ノロウイルスの感染経路と症状

『ノロウイルス』は11月頃から感染が多くなり、例年1月~2月で感染のピークを迎えます。
年齢や性別に関係なく感染するウイルスですので、感染経路や症状、予防・治療方法を知っておきましょう。

■ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染は、感染した人の手洗いが不十分なままで調理を行い、食品にウイルスが付着することで起こります。

また、二枚貝の中でノロウイルスが繁殖し、それを生で食べることで感染することもあります。

■ノロウイルスの症状

感染すると、24~48時間で嘔吐、下痢、吐き気、腹痛、発熱など、『ウイルス性胃腸炎』の症状が現れます。個人差はありますが、2~3日で症状が落ち着きます。
しかし、発症後数週間は便の中にノロウイルスが存在する可能性があります。

ウイルス性胃腸炎の治療と予防

■ノロウイルスの治療

ノロウイルスを直接退治する原因療法の薬はありません。そのため、医療機関で胃腸炎の症状を抑える対症療法を行います。

脱水症を防ぐためにこまめに水分補給したり、免疫力を高めるためにしっかりとした休養をとったりすることも大切です。

■ノロウイルスの予防

ノロウイルスの予防で重要なのは、手洗いです。食事前や調理前、トイレ後には必ず石鹸で手洗いをしましょう。
次亜塩素酸ナトリウムでの消毒も効果的です。

便や嘔吐物を処理する場合には、マスクやエプロン、ビニール手袋などをし、二次感染を防いでください。
トイレの換気も効果的なので、窓がある場合は、換気を心がけましょう。

おわりに

冬に注意が必要なインフルエンザウイルス、RSウイルス、ノロウイルス感染症について、感染経路や症状、予防・治療法をご説明しました。

気温や湿度が下がり、乾燥する冬の時期は、体温も下がりやすく、免疫力が低下してウイルスによる感染症が流行りやすくなります。
そのため、この時期は特に、手洗いやうがい、マスクの着用に気を付けましょう。
また、身体が温まるような衣服を着たり、温かい食事したりすることも効果的です。
しっかりと予防し、健康的に冬を過ごしましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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