毎日の歯磨きを続けていますか?お口の中の細菌の繁殖力は侮れません。ブラッシングをサボっていると歯周病やむし歯なりやすくなるだけではなく、菌が体内にも入っていき、体の病気を引き起こすリスクがあります。それに腸内の菌のお花畑とされる“腸内フローラ”のバランスを崩す怖い菌が、全身に悪影響を及ぼすこともわかっています。
痛くなって辛い思いをしないよう定期的に歯科医院でケアを受け、お口をいつもきれいに保って健康でいたいものですね。しかし、歯科医院をどのように選ぶべきか悩まれている方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで、Ha・no・ne編集部は、東京都江戸川区にある「うめむら歯科医院」の医院長をつとめる梅村匠先生と、歯科衛生士の小宮純子さんにインタビューしました。記事の前半では、定期的なプロケアのメリットや、あなたにとって必要な歯科医院を選ぶためのポイントを紹介します。
本音を語り感性の合う歯科医院で歯のケアを続けよう
キレイなお口を保つために~適切な頻度の定期的なプロケア~
Ha・no・ne編集部 リン(以下、リン)
さっそくですが、口腔内と全身の環境とは関係があると聞きますが、いかがでしょう?
うめむら歯科医院 梅村匠先生(以下、梅村先生)
歯を抜けたままにしていて、しっかり咬めない状態であれば、充分に咀嚼できず、栄養もしっかり体内に運ばれなくなる傾向にあるでしょう。また、お口の中をケアしないでいると歯周病の細菌が口腔内から体内に入っていって心疾患を引き起こすこともあります。
たとえば、健康なお口のなかで息をひそめているPg菌は、歯肉の炎症で出てきた血をエサにして数百倍以上に増え、腸内フローラのバランスを崩す原因となり、なんらかの疾患を引き起こすリスクが考えられます。
リン
口腔環境は変化しやすくデリケートなのですね。ケアを続けてさえいれば大丈夫なのでしょうか?
梅村先生
しっかりとケアすれば歯肉が引き締まっていきます。歯肉が健康になれば歯肉病の細菌の数も減ります。反対に口腔ケアを怠っていれば、どんどん悪くなっていきます……。やはりケアは大事ですよ。
リン
お口のケアというと、毎日のブラッシングや歯科医院でのプロケアですね。プロケアは3ヶ月に1回の頻度で通うのがいいのでしょうか?
梅村先生
口腔ケアの適切な頻度は個人差があります。お口の状態に合わせて担当医と担当衛生士と決めていくようにしましょう。たとえば歯周病の病歴のある方は、最低3ヶ月に1回が目安とされています。また、しっかりとブラッシングができていて、お口がキレイで歯周病の問題もない方なら、もちろん定期的に通う必要はありますが、ペースは落ちて半年に1回の提案となるケースがあるでしょう。その中間位の方は4〜5ヶ月に1回……といったように、人それぞれお口の中の環境によって異なりますので、歯科クリニックとよく相談してくださいね。
歯医者さん選びのポイント~自分の感性に合う医院が◎~
リン
実際にどのような歯科医院が合っているのか迷う人が多いと思いますが、歯医者さん選びのポイントを教えてください。
梅村先生
患者さんが何を求めているかによります。たとえば、とりあえず虫歯1本だけを治したい方はその目的が叶う医院へ。お口の中をしっかりケアして1本1本の歯をできるだけ長く生かしたい方は、それに対応した治療ができる歯科医院がいいでしょう。
どちらにしても各医院の公式サイトやネット上の口コミは偏った不正確な情報もあるので、自分に合った歯科医院を見つけ出すのは難しいと思います。やはり、直接医院に行って、自分の感性に合っているか確かめましょう。
そのとき以下の2つのチェックポイントも参考にしてくださいね。
(1)歯科医院のコンセプト
医院の受付スタッフの対応の良さや笑顔などのサービスの部分のチェックをするのもいいですが、まず、患者さんにどのような価値を提供するのか、医院としてのコンセプトが自分に合っているかを見極めましょう。
(2)親身に対応してくれるかどうか
初診の段階でお口の中全体を検査してしっかりデータを集めてくれる医院なら心強いですよね。将来の健康まで包括的に見据えながら、親身に対応する歯科医師や歯科衛生士がいる医院がいいですね。
当院でも、検査の前に患者さんのご負担を念頭に置いて、なぜレントゲンを10枚も撮る必要があるのかなどの理由や、集めたデータに対する詳しい説明を重視しています。我々が正確な情報をしっかり提供すると「初耳だった」「もっとはやく相談すればよかった」という患者さんは非常に多くいらっしゃいます。
リン
患者さんも本心に病院がもっと親身に寄り添ってアプローチしてくれたら、さらに頑張って治療しようという意欲もわいてきますね。
上手な歯科衛生士さんを見つけるポイントとは?
リン
ところで、ベテランの歯科衛生士さんや、優れている歯科衛生士さんを見抜くポイントはありますか。
梅村先生
まず歯石を取ってもらっている時に痛くないかどうかは、重要なチェックポイントでしょう。ほかのクリニックの歯石取りで痛い思いをした方は、当院に来ても、トラウマから施術を嫌がる傾向にあります……。
あとは、ただ歯石を取るということではなく、患者さんの幸せのために歯石を取っているという意識がある衛生士であることもポイントの1つですね。歯石を取ることによって歯を長持ちさせて患者さんのQOLが上がれば、衛生士も患者さんの幸福に少しでも役立っているというやりがいを得られます。患者さんが、本当に自分のことを親身にやってくれると感じられればいい歯科衛生士といえるでしょう。
リン
歯科衛生士さんはもっとも患者さんと近い存在ですよね。
梅村先生
そう、もっとも近い存在です。当院のカウンセリングは、患者さんと歯科衛生士と私の3人でおこないますが、私が歯科医師として問題点の説明、治療の対応方法を説明したあと、私は離席し、細かいところについては担当歯科衛生士が私に替わって話をします。
患者さんも医師には緊張して言いにくいことも、担当歯科衛生士と信頼関係できていれば話しやすいものです。当院の衛生士はそのようにクッション的な役目もしています。
リン
自分に親身になってくれている歯科衛生士さん、治療の目的を丁寧に教えてくれる歯科衛生士さんというのがポイントですね。
記事の前半では、プロケアの魅力や、ぴったりな歯科医院選びのポイントについて取材しました。続く記事の後半では、うめむら歯科医院でおこなわれている患者さんとのコミュニケーションを重視した「担当衛生士制」についても詳しくインタビューしています!