はじめに

ものもらいとはどんなものでしょうか?

昨日まで何でもなかったのに、起きてみると目が痛い、赤く腫れている、ゴロゴロと違和感がある。
そんな経験を一度はしたことがあるのではないでしょうか?

そんなものもらいになってしまうと一日が憂うつになってしまうものです。

ものもらいという病名は良く知られていますが、詳しくはわからないという方へ、原因から予防法までを解説していきます。

ものもらいってどんな病気?

目を維持するためには、必要な液の分泌腺や保護機能が備わっていますが、その分泌腺や毛根などに細菌感染や炎症が起こることで症状が現れます。
目が赤くなる、かゆい、痛い、腫瘤ができる、違和感がある、など様々な症状を伴います。

ものもらいには、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の二種類があります。
ではなぜ「ものもらい」というのかご存知でしょうか?

なぜ、ものもらいと呼ぶのか?

日本の各地方での言い伝えに多少の違いや諸説あるようですが、できものは、人から何かもらうと治るという治療の手段を病名にしたという伝え話がそのまま広がったと言われています。

次に麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と霰粒腫(さんりゅうしゅ)の二種類について説明します。

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは?人に移る感染病なの?

私たちが、自然に瞬きをするたびに、涙腺からは涙が、マイボーム腺というところからは油分が流れ出ます。
涙は目の渇きを防ぎ、油分は涙が蒸発しないように保護する役割を持っています。
麦粒腫とは、このマイボーム腺やまつ毛の毛穴に細菌が感染することが原因で生じた状態です。

感染源は?

感染源である細菌は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。
特別に発生する菌ではなく、どこにでもいる常在菌と考えられます。
このブドウ球菌は感染力が弱い菌であること、接触感染であることから、感染した人のそばにただいるだけでは移りません。

例えば、目をこすり合わせたり、感染者が使用して菌が移っているタオルなどの共有などは感染源と考えられます。
しかし、それぐらいの接触状況でなければ、感染は起こりにくいといえます。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは痛い?自然治癒するの?

別名「めいぼ」とも言われます。
目には常時、涙という水分で満たされて乾燥を防ぎ、物体を理解するときに光として視神経に送ります。

このために必要な保護作用を担うのがマイボーム腺ですが、まぶたの上下に位置し、それぞれに20個ほどあります。

このマイボーム腺が、何らかの原因により通常は粘度の低いサラッとした液体が、粘りの強い液体となって溜まったものが固まってしまいます。これを霰粒腫といいます。

自然治癒は期待できるのか?

痛みがなく違和感だけなので、放置しておく人も多いと思いますが、細菌などによる感染などが起こってしまっては治療も複雑になるので、できれば初期段階で眼科受診することが良いとされます。
初期段階であれば、点眼や軟膏程度ですぐに治癒することが多い病気です。

ものもらいを自分で治す方法は?

病状に合った点眼薬をしっかり使用する

市販の目薬を使うのであれば、ドライアイや花粉症対策の目薬ではなく、ものもらい用の目薬を購入するようにしてください。

麦粒腫も霰粒腫も抗菌作用のあるもので、麦粒腫は細菌感染ですので直接菌をたたく。霰粒腫は、感染予防目的で使われます。

早期受診をする理由

病院での治療となります。
麦粒腫も感染してしまった霰粒腫であれば、どちらも炎症が生じていますので、抗生物質と抗炎症剤の目薬や飲み薬の投与治療になります。

しこりに対する切開などの外科的治療も、炎症が起きている場合は麻酔薬の効きが弱いため、いったん炎症が治まってからの施術となります。

悪化しないための3つの方法

できてしまった「ものもらい」を悪化させないために

清潔を保つ

きれいな流水で一日に数回洗浄したり、抗菌薬が含まれている洗浄綿花を使用するのもいいでしょう。
化粧をする段階でも、アイメイクはできるだけ避けるのが望ましいです。

患部のガードを心がける

普段コンタクトを使用している人などは、ものもらいにかかっている間だけでも眼鏡に変えるなどの対策が必要です。眼帯の装着なども外気との接触を避ける意味でも良いのではないでしょうか。
無意識に手が患部に行きやすくなるため、眼鏡や眼帯がカバーの役割を果たしてくれます。

患部の温度調整

麦粒腫は炎症が起きているので、痛みや痒みをおさえる効果も兼ねて冷タオルなどで令却すると良いです。
霰粒腫は、溜まっている液体を吸収させるために血行促進目的で温かいタオルなどで保温することが効果的となります。

ものもらいができやすい人にはこの予防法!

チェック項目

・汗をかいたり、プールなどで目が汚れた場合は、顔や目をしっかり洗浄する

・不潔な手でこすらないように心がける

・脂成分が異常をきたす原因にホルモンバランスが関与するので、疲れやストレスを溜めない。

・栄養バランスの良い食事で、免疫力をアップさせる

・用途のない点眼は菌の繁殖に繋がることがあるので避ける

・糖尿病の持病がある場合は、しっかり血糖コントロールを行う

・清潔なコンタクトレンズを使用する

・前髪などで、余計な刺激しない

・メイクをするときに粘膜や目を傷つけないように気をつける

まとめ

いかがだったでしょうか?

ものもらいは、単純な病気で治りも早いと思っていた方にとっては、驚きもあったのではないでしょうか?
目は生活をするうえで最も大切な部位です。

悪化させないようにするには、自己判断で留まらせずに、早めに専門医の診察を受けましょう。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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