人間は本来ネガティブ?

■命の不安からネガティブに

実は人の性質は、もともとネガティブだと言われています。

その理由を探るには、大昔にさかのぼります。狩猟などをして暮らしていた大昔の人間は、猛獣に襲われたり、毒のある動植物を食べてしまったり、土地を侵略されたり、台風や津波などの自然災害にあったりするなど、常に命の危険にさらされていました。

こういった危険に対する恐怖や不安から、もしかしたら死ぬかもしれない、襲われたり、奪われたりするかもしれないという思考につながり、ネガティブな性質になったと言われています。

ネガティブにはメリットも

しかし、ネガティブなのは悪いことばかりではありません。
人間には知能の高さがあり、怖いと感じたときはどうやって対処すればよいかを考えてきました。その結果、自分の身を守る方法を編み出し、さまざまな危険を克服してきたのです。

ポジティブな考え方ができる人がうらやましいと思うかもしれません。
確かに、ポジティブになるのはよいことですが、危険から身を守るネガティブな思考も生きるためには欠かせません。大切なのはバランスなのです。

ポジティブな人の特徴とは?

一見、ポジティブに見える人も、ネガティブになる時がないわけではありません。ネガティブにもなりますが、沈んだ気持ちを上手にアップさせるのがうまいと、周りからポジティブに見えるでしょう。
ここでは、そのような人の思考の特徴を見ていきましょう。

■過ぎたことをいつまでも考えない

ポジティブに見える人は「あの時こうすればよかったのに」と思っても、すぐ気持ちを切り替え、先のことを考えることができます。
失敗を後悔するのではなく、失敗から学んで次につなげる努力をしているのです。

■他人の目を気にしない

「変に思われたら嫌」、「笑われたくない」など、人の反応を気にする人がいる一方で、ポジティブな人は、そういうことをさほど気にしません。
どのような人だろうと、自分のことを決めつけることはできません。本当の自分を評価できるのは、自分だけだということを知っているのです。

■どんな状況でも受け入れる

ポジティブに見える人は、悲しくて逃げ出したいような状況でも、それに意味を見出すことができます。
さまざまな経験をしたり、さまざまな考えの人と交流したりすることで、自分の許容が広がり、物事に対して寛大になり、精神的にも強くなれます。

ネガティブな人の特徴とは?

なかなか気持ちを上向きに持ってくことができない、ネガティブな人の特徴を見てみましょう。

■自己否定をする

ネガティブな人には、自分の存在を肯定できなかったり、短所ばかりが目について自信が持てなかったりする人が多いです。
その結果、他人の目を過剰に気にしたり、褒められても受け入れられなかったり、常に不安をかかえたりしていまいます。

■一人で考えすぎる

何でも自己解決しようとして人に相談せず、一人で考え過ぎるのが、ネガティブな人の特徴です。一人で考えてもなかなか答えが出てこないため、結局深みにはまり、気持ちが沈んでしまうこともあります。

■目標を高く設定し過ぎる

ネガティブな人は、すぐには達成できなさそうな高い目標を掲げがちです。目標があるのはよいことですが、高すぎると、なかなか達成できずにやる気がなくなり、気持ちが沈んでしまいます。

■柔軟な考え方が苦手

人の考え方や助言を聞き入れず、自分の考えを曲げないのがネガティブな人の特徴の一つです。
日常のことでも、目標を達成するための行為でも、自分で考えたやり方で進もうとします。たとえ、そのやり方が間違っていたとしても、考え方を変えることができず、結局うまくいかないことで気持ちが沈んでしまいます。

前向きになるための方法

ここでは、ネガティブな考え方を抑え、前向きになる考え方をお伝えします。

■「何とかなるさ」の精神

失敗したらどうしよう、笑われたらどうしようと考えていたら身動きがとれません。
あれこれ考える必要はなく、とにかくやりたいことをやってみましょう。失敗を恐れず、「なんとかなるさ」と思うようにしましょう。

■とにかく行動する

難しい局面に立ったときに、一人で考え過ぎるのは、やめましょう。解決できないと、気持ちが沈んでしまいます。
考え過ぎたと思ったら、とにかく一度動いてみましょう。行動することにより、思わぬよい結果が起こるかもしれません。失敗してしまった場合は、もう一度考え、行動してみましょう。この繰り返しで、行動する癖がつきます。

■達成できる目標を設定する

高い目標がある場合は、今の自分とその目標との間に、低い目標をいくつか設定しましょう。徐々に目標を高めることで、少しずつでも成果を上げ、その都度、自分をほめてあげることができます。
それにより、モチベーションを保つことができ、考えも前向きになります。

■自分を認める

人がどんなによく見えても、自分は自分でいいのです。人をうらやんだり、人に羨ましがられたりする必要はありません。
自分の性格を理解して認めることで、少しずつポジティブになりましょう。

おわりに

自分がネガティブで嫌だなと思う人もいるかもしれません。でも、人はもともとネガティブな性質を持っているので、過度に心配する必要はありません。

大切なのはポジティブとネガティブのバランスです。気分が落ち込んだときは、この記事でご紹介した前向きになる方法をぜひ試してみてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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