冷え性の原因

冷え性の原因は、単に寒さだけではありません。
ここでは、代表的な原因を、3つご紹介します。

1. 運動不足

デスクワークや運転などで座ったままの姿勢が続いたり、身体をあまり動かさないでいたりすると、身体の血流が滞り、腹部や腰周りが冷えてきます。
また、背中が丸くなった猫背の方は、腹筋の働きが弱いため、血流が滞りやすく、冷えにつながります。

2. 筋肉量の不足

血液は酸素や栄養を運んだり、老廃物を回収したりするだけでなく、熱を身体全体に伝える大事な役割があります。
その血液を流すのを促すのが筋肉です。
そのため、筋肉量が不足すると、血液の流れが悪くなってしまい、身体が冷えてしまいます。

3. 寒い環境

冬や夏のエアコンなどで気温が低くなると、自律神経が反応し、手足を震わせて身体を温めようとします。
また、寒い環境では生命を維持させるために、内臓を優先して温めようと身体が働きます。その結果、手足の末端の血流が滞り、手足が冷えてしまうのです。

冷え性に効果的な入浴の方法

冷え性に効果的な入浴方法は、39~40℃のお湯を張った湯船に、15分間ほど入浴することです。

全身浴ではのぼせてしまう方は、半身浴をしましょう。
半身浴で身体が温まらない場合は、浴室が冷えている可能性があります。そのため、シャワーや暖房で浴室全体を温めてから、半身浴をすることをおすすめします。

この入浴方法により、太い血管が温まり、全身に熱が伝わりやすくなります。
特に、鼠径部(脚のつけ根)の『大腿動脈』や、脇の下にある『腋窩動脈』などを、意識して温めるようにしましょう。

入浴の効果

1. 温熱効果

身体をお湯で温めると、血管が拡張され、血流が促されます。
このことにより、むくみやコリなどが解消されたり、疲労回復効果があります。
さらに、内臓も温められ、働きが促進されます。

2. 浮力効果

身体は常に重力にさらされているため、何気なく姿勢を保つだけでも、筋肉は常に働いています。
しかし、入浴時は浮力が働いて体重を支えてくれるので、筋肉をリラックスさせることができます。

3. 水圧効果

水の中では、水圧を受けます。
特に、血流が滞りやすい足に圧力を受けることで、血液が押されて血流が促されます。その結果、むくみやだるさ、痛みを軽減することができます。

冷え性におすすめの入浴剤

温かいお湯につかるだけでも、さまざまな効果が得られますが、入浴剤を使うこで、さらにリラックスできたり、身体を効果的に温められたりします。
ここでは、冷えにおすすめの3種類の入浴剤をご紹介します。

1. 生薬

『生薬』とは、自然由来の植物などを使った薬で、食べたり飲んだりするだけでなく、お風呂に入れたり、塗ったり、香りをかいだりすることでも、効果が期待できます。

入浴剤としては、ヨモギ、ショウガ、トウガラシ、ユズなどがおすすめで、温熱効果を高める働きがあります。
そのまま入れてもよいですが、粉末や液体、いろいろな生薬を刻んで混ぜたものなど、様々なタイプの入浴剤も販売されています。

2. 無機塩類

『無機塩類』とは、一般にいう『ミネラル』のことです。

炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウムなどのミネラルは、温熱効果を高めるだけでなく、身体の清浄効果も高めてくれます。
生薬などと混ぜた粉末や顆粒タイプのものが、多く販売されています。

3. 有機酸類

『有機酸』とは有機化合物でできた酸のことで、クエン酸やコハク酸などの種類があります。

入浴剤によく使用されており、それらを炭酸ナトリウムなどと合わせることで炭酸ガスが発生し、入浴後の保温効果を高めてくれます。
錠剤や粒状タイプの入浴剤がよく販売されています。

おわりに

冷え性の原因と冷えに効く入浴方法、その効果と、おすすめの入浴剤についてご説明しました。

毎日入浴することで、リラックスしながら冷えを改善することができます。

また、入浴剤を入れることで、身体を温める効果も得られます。
最近では、いくつかの成分を合わせて作られた、複合タイプの入浴剤もあるので、効果や香りを見て自分に合ったものを探してみるのも楽しいでしょう。

冷え性に効果的な入浴方法と合わせて試してみてください。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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