1.はじめに

歩くたびにずきずきと痛む厄介なうおの目。誰もが一度は経験したことがあるはずですが、意外とその正体や、正しい治し方については知らないかもしれません。

今回は、身近な厄介者であるうおの目についてまとめていきます。

2.うおの目とは

うおの目とは、足の裏や指の皮膚の表面を構成している角質という部分が、繰り返される異常な刺激や、その他の原因によって増殖し、固く、分厚くなってしまうものを指します。
特にうおの目には中心に楔状の芯があり、それが神経に触って痛みを伴うことが多いとされています。

ちなみに、この芯の部分がまるで魚の目のように見えることから、うおの目と呼ばれており、正式には鶏眼という呼び名があります。

うおの目はまた、症状によって3種類に分類することができます。

1つ目が硬性鶏眼と呼ばれるもので、最もよくみられるタイプのものです。うおの目の周辺部分に厚くなった角質層があり、中心部分には芯がみられます。この部分が神経などに触ることで、痛みを伴うようになります。

2つ目は軟性鶏眼と呼ばれ、何らかの原因で指同士が圧迫された時などに、足の指の間に出来やすいうおの目です。比較的柔らかく、汗でふやけると白っぽい色になることも有ります。

3つ目が粒状鶏眼と呼ばれるもので、足の裏や指の上の部分にできる小さな芯のみで構成されたうおの目の事をいいます。周辺をかこむ厚い角質層がないことが特徴です。

3.うおの目の原因とは?

うおの目は、皮膚の特定の部分が繰り返し刺激を受けることによって出来ます。これは体が、よく刺激を受ける部分を、より丈夫にして怪我などを防ごうと働くためです。

特にうおの目では、一定部分に刺激が加わり続けることで、角質が皮膚の奥の方に向かってどんどんと分厚くなり、真皮という、血管や神経が密集している層に楔状に食い込んでいってしまうため、強い痛みを伴うことが多くなります。

刺激の具体的な原因としては、足に合っていない靴を履く、長時間歩く、足の変形、歩き方の異常などが挙げられ、特にクッションとなる脂肪や組織が少ない骨や関節部分でおきやすくなります。

また、特に以下に上げる4つの特徴を持つ足では、うおの目ができやすくなるとされています。

1. 開張足
開張足とは、足の指がベタッと横広がりになった足のことで、衝撃を吸収するためのアーチが崩れてしまっている状態となっています。
そのため、特に足の指の付け根の部分に力がかかり、うおの目ができやすくなります。
開張足の目安として、靴の中敷きの中指の付け根部分が汚れていたり、今まで履いていた靴の横幅がきつくなってきたような感じがする、ということがあります。

2. ハンマートゥ
ハンマートゥとは、足の人差し指から小指までの指の関節が、第二関節のところからくの字に折れ曲がって固まってしまっている足のことをいいます。
ハンマートゥでは曲がった指の背が靴にあたったり、指の付け根が靴底と接したりするため、うおの目ができやすくなります。

3. 巻爪
巻爪とは、爪の両端が内側に巻き込んでいたり、折れ曲がったりして皮膚に食い込んでいる状態のことで、先の細い靴を履いていることが主な原因となります。
この状態では、指同士がこすれあうことが多くなるため、うおの目ができやすくなるのです。

4. 内反小趾
内反小趾とは、足の小指の関節が薬指の方向に向かって変形している状態のことで、変形した小指の外側が靴にあたりやすくなるため、うおの目ができやすくなります。

4.うおの目の対処や治療法とは?

うおの目は、軽度から中程度のものであれば、市販の薬剤を使って治療することもできます。
薬によって固くなった皮膚の部分をふやかし、削りとってしまうことで芯がなくなり、うおの目を治すことができるのです。

ただし、角質の厚い部分が残ってしまうと、そこがまた刺激を受けやすくなり、うおの目が再発してしまう原因となるので、できるのであれば皮膚科の専門医にみてもらうのが良いと思います。また、うおの目だと思っていたら他の皮膚の病気であった、などということもありえるので、少なくとも一度は、皮膚科にかかって診断してもらうというのも大切です。

病院であれば他にも、液体窒素や電気を用いて角質を焼いたり、芯が深いうおの目の場合ではメスをもちいて外科的な切除を行ったり、レーザーを用いることもあります。
どの治療法を選択するかは、医師にかかった時に相談するのが良いでしょう。

5.子供にもうおの目は出来るの?

子供にもうおの目ができる可能性は有りますが、15才以下の場合、ほとんどがうおの目ではなくイボである可能性が高いといわれています。

イボはうおの目とは違う治療を行う必要があるため、子供にうおの目のようなものが見られたらむやみにいじらず、病院にかかるようにしたほうが良いでしょう。

6.うおの目とタコ・イボの違いとは?

うおの目、タコ、イボは見た目はよく似ているものの、実際はかなり違った病気となっています。

うおの目とタコの場合、刺激が原因となることまでは同じなのですが、うおの目が芯を持ち、強い痛みを伴うことが多いのに対し、タコでは皮膚の表面が全体的に厚くなっているため痛みはなく、むしろ感覚が鈍っていることのほうが多いと言われています。

また、タコは足だけでなく、生活習慣、職業、癖などに応じて、体の様々な部分でみられ、代表的なのがペンダコや座りダコなどと呼ばれるものです。

タコの治療法はうおの目とそれほど変わらず、厚くなった皮膚を取り除くことが主となります。ただ、痛みを伴わなければ積極的に治療する必要はなく、刺激がなくなれば自然ともとの状態に戻ることもあります。


うおの目とイボの場合では、原因がまず異なっています。
うおの目が物理的な刺激によってできるのに対し、イボではウイルスが原因となっています。イボは、ヒトパピローマウイルスというウイルスが、小さな傷口などから皮膚の入り込み、感染を起こすことでできるのです。

多くの場合自然に治ってしまいますが、無理にいじったりすると悪化したり、ヒトにうつしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
治療法には、うおの目と同じ液体窒素や電気を用いた方法に加え、塗り薬や飲み薬を用いることもあります。

7.うおの目にならないための予防法

うおの目を予防するには、まず、足への刺激を取り除くことが一番です。

靴があっていないのであれば、靴を変えるか、クッション性のある中敷きを使い、刺激が特定の部分に加わらないようにします。
また、ハイヒールや、底の極端に薄い靴もうおの目の原因になるため、なるべく避けるようにしたほうが良いでしょう。

そういった靴を履く機会が多い場合は、お風呂に入った時などによく足をマッサージし、血行を良くするのも効果的ですし、新陳代謝を上げて古い角質をはがれやすくするために睡眠や食生活に気を使うのも大切です。

それでも改善されず、足の変形や歩き方の異常が疑われる場合は、自力で対処するのは難しいため、整形外科などにかかるのがおすすめです。

おわりに

うおの目はかなり身近なものですが、タコ、イボとの違いなど、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。

今回の記事でうおの目に対する正しい対処法、予防法を理解して、いつでも快適なウォーキングライフを送れるようになれれば良いですね。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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