はじめに

フットケアとは、名前の通り足を手入れすることです。
足の爪を切ることや、硬くならないための保湿、血行をよくするためのマッサージを行うことです。

高齢者のためのフットケアとはどのようなものかご存知ですか?
若い人が行うフットケアは、ペディキュアなどオシャレをするために行うこともありますが、高齢者のためのフットケアは足を良い状態に保つことで歩行しやすくすることが目的です。
フットケアの方法を知って、いつまでも自分で歩ける健康な足を手に入れましょう。

高齢者のためのフットケアとは

高齢者のためのフットケアで一番大切なことは足の爪です。
足の爪には体全体を支えて安定させる役割があります。歩くときにも足の指先が蹴りだす力を、爪が上手く伝えて歩いているのです。つまり爪は立ったり歩いたりする上で、力のバランスをとるために大事な役割を果たしています。

高齢者になると皮膚と同様に爪も乾燥してきます。乾燥することによって爪は硬く、厚みが出てきます。また、高齢者になると新陳代謝も衰え、爪が伸びづらくなることで、割れたり、切りにくくなります。爪の状態が悪いと体のバランスを崩し、力を入れにくくなったり、痛みが出ることがあります。この状態を放っておくと症状が悪化するだけでなく、歩くことが困難になり、転倒しやすくなります。

そうならないためにも足をきちんといたわってあげることが大切です。若い人のようにオシャレのためにフットケアをするのではなく、高齢者のためのフットケアとは

・足にたこなどができていないかなどを確認する「皮膚のケア」
・「爪水虫」と呼ばれる爪に水虫ができてないかなど見るための「爪のケア」

大きくわけて上記の2つがポイントです。それ他にもフットケアをすることによって隠れている病気を発見することもできるのです。

高齢者のためのフットケア方法

高齢者のフットケアの方法はいくつかのポイントがあります。
フットケアの方法だけでなく、フットケアを行うために大切なポイントもありますので、一緒に覚えておくとよいでしょう。

高齢者のフットケア方法

1. お風呂上りで濡れている足を、指の間までよく拭き、水分が残らないようにする
2. 足を拭いているときに爪の状態をよくみる。爪が伸びているときは切る
3. ボディークリームなどを塗り、足を保湿して乾燥を防ぐ
4. 足の血行が悪くならないようにマッサージをする

フットケアをするタイミング

日中に毎日足を洗うことは家事や外出予定があると難しいので、お風呂上がりで大丈夫です。また、お風呂上がりの方が硬くなっている爪が柔らかくなり、古い角質も取れて保湿しやすくなります。ただし、マッサージをすることはお風呂上りだけでなく、朝起きたときや空いた時間に行うのことも効果的なのでオススメです。

高齢者の爪の切り方

高齢者の爪を切る際、一度に切ってしまうと、もろい爪の場合は爪自体がすべて剥がれてしまう可能性があります。爪を切るときは「2段階カット」をするようにしましょう。

1. 伸びている爪の部分を水平に切る
2. 残っている爪の両方の角を切る
3. 伸びている爪をある程度切ったら、爪の両端から真ん中に向かってヤスリをかける

高齢者の爪切りのポイント

・爪の長さは、足の指先を平らなものに当てても爪が当たらない長さに切る
・痛みが出たりするため歩きづらくなるため、深爪にしない
・小指の爪は小さいので無理に切らなくてもよい
・足の指の形に合うように爪を切る
・高齢者の爪は厚みがあり硬いため、ニッパー型の爪切りなどを利用する

高齢者の足の保湿方法

足の乾燥を防ぐため、乾燥している場所だけでなく爪や足全体にボディークリームなどの保湿剤を刷り込むように塗ります。

高齢者の足のマッサージ方法

高齢になると足の先まで血液が流れず、血行不良を起こします。改善するためにマッサージをしましょう。

1.左手にかかとを乗せ、ゆっくりと左右に回します
2.足の裏にらせんを描くように指や器具でマッサージします
3.足の裏と同様に、足の甲もらせんを描くようにマッサージします
4.指の側面を指先に向かって、自分の手でしごくように1本ずつマッサージし、終わったら根元から指先に向かって軽く引っ張って瓶の栓を抜くイメージで1本ずつマッサージします
5.爪の周りを手の指で押してマッサージをする

マッサージは体調がよいときに行うようにし、マッサージをすることで痛みを感じた場合は、無理に行わないでください。
また、ご夫婦、ご家族、ご友人にマッサージをしてもらうこともヒーリング効果が得られてよいでしょう。

高齢者の足をチェックするポイント

高齢者のフットケアをする際、具体的に足のどの辺りをチェックすればよいのでしょうか。
チェックするポイントをお教えしますので、お役立てください。

足の色を見る

足の色は健康な時は肌色をしていますが、病気などにより黒っぽい色をしていることがあります。その状態は、なんらかの原因で血流が滞ってしまう「チアノーゼ」を引き起こしている可能性がありますので、病院を受診することをオススメします。

足を触って温度を確かめる

足を触ったときの温度でも健康状態を見ることができます。例えば、足が冷たいときは血液の流れが悪くなっている状態です。このような状態の足は痛みを感じにくいため、異常を自覚しづらくなります。また、赤くほてっているときは炎症が起きている可能性があります。また、よく見ないとわからないような大きさの傷が原因で、足全体が腫れている場合もあります。

かかとの状態を見る

かかとがひび割れをしているときは、乾燥だけでなく水虫の可能性もあります。水虫と聞くと、かゆみを連想する方もいますが、かかとにできる水虫はかゆみが少ないことが多く、季節にも関係なくできるため自覚症状のない人もいます。

足の指の間の状態を見る

足の指の間の皮がめくれている場合は、水虫になっていることが多いです。その際、かゆみを伴うことがあります。水虫は最初に薬指と小指の間にできることが多く、放っておくと他の指の間にもうつる可能性があります。

爪の状態を見る

爪が白濁として厚みがあり、内側が崩れるような状態は白癬菌が侵食することにより発症する「爪白癬(つめはくせん)」になっている可能性があります。放っておくと爪自体がぽろっと剥がれることもあります。また、靴の圧迫などが原因で、巻き爪や厚硬爪(こうこうそう)と呼ばれる、異常に厚くて硬いになっている可能性があります。
この他にも外反母趾や、たこ、魚の目ができている場合もあります。そのまま放っておくと、痛みやかゆみなどの原因にもつながり、歩きづらくなる可能性もあります。そうならないためにも、日ごろから足をチェックする習慣を身に付けるとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
高齢者のためのフットケアについてお分かりいただけましたか?
高齢者のフットケアとは足や爪を清潔に保つだけでなく、隠れている病気を発見したり、足の健康を守っていつまでも自分の足で歩行できるようにするためのものです。
皆さんの健康のために毎日の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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