美容鍼とは

皮膚の組織や細胞、血管、神経を専用の鍼で刺激して働きかける美容法を美容鍼と言います。胃や腸の改善、体全体のバランスを調整していく過程で肌そのものが持つ回復機能を活性化することによって老化防止へと導いていきます。

東洋医学をベースにして鍼でツボを刺激することによって、顔や胸などを美しく整えていく鍼治療です。世界保健機構で美容鍼治療は、副作用がなく安全な治療法として正式に認められていることにより、年齢を重ねても美肌を求めている世界中の多くの人たちに好まれています。

美容鍼と美容鍼灸の違い

美容鍼だけのサロンの中には、美容鍼に灸が含まれていないことがあります。鍼灸の施術を行うには国家資格必要です。鍼師と灸師はまったく別の国家資格で、鍼師の国家資格があっても灸師の国家資格がなければ灸の施術はできないことになっています。そして「鍼灸師」という資格はないけれど、鍼師と灸師の国家資格を持っている人は「鍼灸師」と呼ばれています。

美容鍼や灸の即効性

美容鍼や灸の治療は、基本的に全身に361以上あると言われている「ツボ」の中で、皮膚の「冷え」が生じて不調になっているツボには灸で熱を補い、皮膚が硬くなって「張り」が生じて不調になっているツボには、美容鍼を施して気の流れを促します。その時の不調に応じた適切なツボにより近づくことによって即効性が期待できます。ただし効果を持続させるためには定期的な治療が必要になります。

美容鍼や灸の即効性が期待できる理由として、体のツボや皮膚の深い部分にある真皮と呼ばれている層に美容鍼を使ってより近づいてアプローチができるからです。東洋医学では、命を維持していくために「気」、内臓に栄養素を運ぶ「血(けつ)」、血液以外の体液のことを「水(すい)津液(しんえき)」、体液の通り道を「経絡(けいらく)」と呼ばれています。体液の通り道の流れが順調であれば心身の健康を維持できますが、気、血、水の流れが悪いと心身に不調が起こります。美容鍼や灸では経路にあるツボを刺激して気、血、水の流れを順調にすることで心身の状態を改善していきます。

美容鍼でほうれい線のリフトアップ

美容鍼は、ほうれい線の自然な改善を促します。特に最近では、美容鍼がほうれい線を改善することが注目されています。効果をお伝えする前に、なぜほうれい線ができるか理由を説明します。

肌の栄養不足

一つ目に原因として考えられるのが、筋肉の固さや結構不足による肌の栄養不足です。胃腸の働きを整えるツボへ鍼を刺して血行を良くしたり栄養の吸収を高めます。肌の隅々まで栄養が行き届くようになってくると、次第にほうれい線も目立たなくなってきます。

老廃物の蓄積

二つ目のほうれい線の溝ができる原因として考えられることは、頬にある筋肉や脂肪に老廃物が蓄積ことにより、その固さや重みによって頬が下がりほうれい線が目立つことです。したがって、鍼を刺して美容鍼の施術を受けた時に、刺激によって蓄積した老廃物を流すことになります。術後は、ほうれい線の溝が目立たなくなったことを実感することができます。

心身に作用する美容鍼灸の効果

肌の新陳代謝を正常な状態を保つには、美容鍼が効果を発揮します。通常の新陳代謝の周期は28日程度で、この周期が正常な時は肌年齢が若くなるということです。したがってニキビ、シワ、シミ、クマ、ほうれい線の悩みやトラブルの多くは、肌の新陳代謝の乱れからきているのです。
そのため、美容鍼の効果は治療を重ねることによって持続時間が長くなる傾向があると言われています。なぜなら、皮膚への刺激を重ねることでコラーゲンやセラミドの分泌が改善するためだと考えられているからです。そして美容鍼灸の治療を受けて自律神経のバランスを良くすることで、強度のストレスや心の不調を治療によって軽減できることもあると言われています。

おわりに

美容鍼の治療を受ける時のリスクとして、内出血を100パーセント防ぐこことができないことを知っておくべきです。特に顔は、他の体の部分より毛細血管が多くて内出血を起こしやすい部分になります。美容鍼を刺す施術者は気をつけて施術していますが、全てを防ぐことは不可能です。
美容鍼を受ける際に、内出血のリスクをより避けたい方は、美容鍼の治療を受ける前に気を配ることをおすすめします。特に飲酒などは厳禁です。薬を服用している場合や持病がある方はあらかじめ担当者に伝えましょう。

美容鍼に使用する鍼もかなりの種類があります。細い鍼ほど痛みと内出血のリスクが少なくなると言われています。また、美容鍼の治療中や治療後にだるさや眠気を感じることがあります。
このような場合に鍼灸師が「体質が良くなる好転反応」と説明することもありますが、無理をせずにだるさや眠気がひどい時は美容鍼治療が体質に合っていない場合もあるので、担当の鍼灸師に相談しましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者