クランチとは

クランチは、腹筋を鍛えるトレーニングです。
仰向けに寝た状態から身体を起こす基本のクランチから、捻りを入れる『ツイストクランチ』や『バイシクルクランチ』、横向きに寝た状態から身体を起こす『サイドクランチ』など、たくさんの種類があります。
いずれも頭から起こし始め、肩甲骨が浮くところまでを動かすのが基本で、腰部は床につけたままにします。

これに対し、『シットアップ』や『上体起こし』と言われるトレーニングは、腰も床から浮かせ、胸と太ももがつくあたりまで上体を起こします。
これがクランチとほかの腹筋トレーニングの違いで、クランチの方がより腹筋上部の収縮を促すことになります。

クランチのメリット・デメリット

また、頭から肩甲骨までしか浮かさないので、腰部への負担が減るというメリットがあります。腹筋トレーニングによる腰痛を予防でき、トレーニング初心者には、特におすすめです。

一方で、基本のクランチは、下腹部腹筋への刺激はほかのトレーニングに比べて少ないため、下腹を引き締めたい方などにはあまり適していません。

1. 基本のクランチのターゲット部位とやり方

基本のクランチのターゲット部位

基本となるクランチでは、みぞおちから恥骨まで腹部正面をまっすぐ走行している『腹直筋』の上部が、主に鍛えられます。
腹直筋は腹筋群の中で、最も表層にある筋肉です。腹直筋が発達していて体脂肪も少ない方は、皮膚の上からでも『シックスパック』と呼ばれる、腹直筋の盛り上がりがはっきりと見えます。

基本のクランチのやり方

① 両膝を立てて仰向けに寝ます。
② 両手を頭の後ろ、または胸の前に組み、おへそをのぞくように頭、肩甲骨の順に持ち上げます。
③ 肩甲骨までしっかり持ち上げたら、肩甲骨、頭の順にゆっくり下ろします。
④ 手順②、③の動きを繰り返し行います。

2. ツイストクランチのターゲット部位とやり方

ツイストクランチのターゲット部位

ツイストクランチでは、基本のクランチに捻りが加わり、腹直筋の両側に斜めに走行している『腹斜筋』が、主に鍛えられます。

腹斜筋には『外腹斜筋』と『内腹斜筋』があり、左右それぞれ外腹斜筋は、横腹から正面に向けて斜め下に下りるように走行しています。一方、内腹斜筋は正面から横腹に向けて斜め下に下りるような走行をしています。
その走行から、身体を右に捻るときには、左の外腹斜筋と右の内腹斜筋、身体を左に捻るときには、右の外腹斜筋と左の内腹斜筋が、主に働くことになります。

ツイストクランチのやり方

① 両膝を立てて仰向けに寝ます。
② 両手を頭の後ろまたは胸の前に組み、左肘を右膝につけるように斜めに捻りながら、ゆっくりと起き上がり、仰向けに戻ります。
③ 今度は右肘を左膝につけるように斜めに捻りながら、ゆっくりと起き上がり、仰向けに戻ります。
④ 手順②、③の動きを繰り返し行います。

3. サイドクランチのターゲット部位とやり方

サイドクランチのターゲット部位

サイドクランチでは、主に『腹横筋』という腹筋群の中で、最も深層にある筋肉が鍛えられます。

腹横筋は肋骨と骨盤の間の胴体部分にぐるぐると巻きついており、腰のコルセットのように走行しています。インナーマッスルとして腹圧を高め、体幹部を安定させたり、腰痛を予防および改善したりするような働きをしています。
サイドクランチは腰痛予防や、体幹を安定させることによる競技パフォーマンスの向上が期待できます。このほかにも、腹直筋や腹斜筋のトレーニングではなかなか引き締めることができない、横腹の引き締めにも効果的です。

ただし、基本のクランチやツイストクランチに比べ、やや難易度が高いので、それらのトレーニングがある程度できてから、行ってもよいかと思います。

サイドクランチのやり方

① 左を下にして横向きに寝ます。
② 頭から骨盤までが一直線になるようにし、両膝を軽く曲げておきます。
③ 左手を右の骨盤の上に置き、右手は頭の後ろに置きます。
④ 腰を捻らないように、右の脇腹を縮めるイメージで上半身を持ち上げます。
⑤ 左の肩甲骨が浮くくらいまで持ち上げたら、再びゆっくりと上半身を下ろします。
⑥ 手順④、⑤の動きを繰り返し行い、左右を変えて反対も同じように行います。

4. リバースクランチのターゲット部位とやり方

リバースクランチのターゲット部位

基本のクランチが頭から肩甲骨を浮かせるのに対し、リバースクランチでは上半身を床につけた状態から、脚や骨盤を浮かせます。
主に鍛えられる筋肉は、基本のクランチと同じく腹直筋ですが、基本のクランチで主に上部線維が鍛えられるのに対し、リバースクランチでは主に下部線維が鍛えられます。
ぽっこりとした下腹を引き締めたい方には、おすすめのトレーニングです。

リバースクランチのやり方

① 仰向けに寝て、両手を体側に沿わせるようにし、手のひらを軽く床につけておきます。
② 両足を天井に向けて上げ、上半身と下半身がおよそ90度に曲がった形にします。
③ 膝を軽く曲げ、腰や背中はしっかり床につけておきます。
④ 両足の裏が天井に近づくように、腰から下背部を垂直に持ち上げます。このとき、手で床を押して腕の力で持ち上げないように注意します。
⑤ 一気に力を抜かず、背中から腰をゆっくりと床につけていくように身体を戻していきます。
⑥ 手順④、⑤の動きを繰り返し行います。

5. バイシクルクランチのターゲット部位とやり方

バイシクルクランチのターゲット部位

バイシクルクランチは腹斜筋と腹直筋の下部を同時に鍛えるハードなトレーニングです。
片方の足を伸ばして腹直筋下部を鍛えながら、反対の上半身を捻って逆の膝に引き付けることで、腹斜筋も鍛えます。

今までご紹介したクランチは、全て1回ごとにスタートの肢位に戻るため、脱力できる瞬間があります。しかし、バイシクルクランチは常に左右どちらかの足を伸ばし、反対の上半身を捻り起こしているので、脱力できる瞬間がありません。
難易度が上がり、フォームも安定しにくいトレーニングなので、基本のクランチやツイストクランチが安定してできるようになった上で、フォームが崩れていないか確認しながら、ゆっくりと始めてください。

バイシクルクランチのやり方

① 仰向けに寝て両足を浮かせ、股関節と膝関節が90度になるように曲げます。
② 両手を頭の後ろに組み、頭を軽く起こします。
③ 上半身を軽く左に捻りながら、左膝を右胸に引き付けるとともに、右膝を真っ直ぐに伸ばしていきます。
④ 右膝が伸びきったら、今度は反対に上半身を軽く右に捻りながら、右膝を左胸に引き付け、左膝を伸ばしていきます。
⑤ 手順③、④の動きを安定する速さでスムーズに繰り返します。

おわりに

今回は腹筋のトレーニングであるクランチについて、様々な種類とそれぞれのターゲット部位、注意点についてご紹介しました。

正しいやり方やフォームで行うことと、そのとき鍛えられている部位をしっかりと把握して意識することで、筋力トレーニングの効果は格段に上がります。
今回の内容を参考に、ぜひ正しく、効果的なトレーニングを行っていただきたいと思います。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

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