はじめに

皆さんは、馬油をご存じですか?
「馬油」の読み方は「マーユ」「バーユ」です。
馬油は昔から肌トラブルなどに使われていて、現在でも薬局などで簡単に手に入れることができるため手軽に使うことができます。

馬油とは

馬油とは名前の通り馬の皮下脂肪を原料とした動物性油脂のことで、中国で約4000年前から使われていたものが、約400年前に日本に伝わってきました。

馬油には「オレイン酸」「パルミチン酸」「パルミトレイン酸」「リノール酸」「リノレン酸」などを多く含んでおり、昔から皮膚治療のための民間薬として用いられてきました。

馬油は人の皮脂とよく似た性質を持っており「浸透性」「保湿」「保護」の効果があります。そのため皮膚の健康を維持する目的での外用薬として適しています。通常は固形ですが、溶けやすいため冷蔵庫で保存する必要があります。

このように馬油は薬などなかなか手に入らなかった昔から民間療法として使われており、肌トラブルなどに使用していました。

馬油の主な効果と使用方法

民間療法で外用薬としても使われていた馬油ですが、どのような使用方法で効果を発揮していたのでしょうか。馬油の効果と使用方法についてご説明します。

<馬油の効果>

馬油は肌に塗るとさまざまな効果を発揮します。
大きく分けて3つの効果をご紹介します。

1.抗酸化作用と殺菌作用

馬油は肌への浸透力が高いため、素早く皮膚に油膜を作ります。皮膚の表面に油膜ができると外部からの雑菌などの侵入を防ぎます。
また、油膜ができると酸素が入らないことから、雑菌の繁殖や酸化も抑制されるため、殺菌の効果も見込めます。

2.炎症の防止と予防

馬油は昔からやけどの治療に使われています。
馬油をやけどした箇所に塗ることで炎症を抑え、余分な熱を取り除く効果があります。

3.保湿や保温と血行促進

馬油を肌に塗ることで表面に油膜を張ることで、肌の保湿や保温に効果があります。
また、馬油はその浸透力の高さから、塗った場所を素早く保温し、血流の流れを良くします。

<馬油の使用方法>

続いては、上記の効果をいかした馬油の使用方法についてご紹介します。

1.やけどや傷のケア

外用薬として一番ポピュラーな馬油の使い方はやけどや傷のケアです。
馬油を塗ることで、痛みを抑えたり、殺菌作用、自己治癒力を高める効果があります。

<使い方>
1.やけどや傷の汚れを水で洗い流す。やけどの場合は5分ほど冷やす
2.やけどや傷の箇所に馬油を塗り、サランラップで密着する

サランラップではなくガーゼを使用すると、浸透力に欠けるため自己治癒力を高めるためにはサランラップの方がオススメです。
ただし、患部が広範囲の場合や程度が酷い場合には病院で治療してもらいましょう。

2.スキンケア

馬油は肌のスキンケアにも効果的があります。
馬油には保湿効果があるため日頃のスキンケアに使うことで潤いのある肌にすることができます。
保湿オイルとして使用することもできますが、今回は洗顔に用いる方法をご紹介します。この方法は朝の洗顔時や、また夜はメイク落としとしての効果もあります。

<使い方>
1.ティースプーンに約1杯の馬油を顔に塗る
2.指の腹で何度も円を描くように、ゆっくり顔全体をマッサージする
3.5分程度そのままにする
4.ティッシュペーパーなどで馬油を軽くふき取る
5.水やお湯で顔を洗う

乾燥肌の方はべたつきがなくなるまで洗い流して完了です。
べたつきが気になる肌質の方は、その後に泡洗顔で軽く洗うようにするとよいでしょう。

3.頭皮ケア

最後に馬油を頭皮のケアに使う方法をご紹介します。
馬油には血行促進の効果を利用し、薄毛などが気になる方の頭皮ケアに用います。馬油が頭皮の血流を促進し抜け毛を予防する方法ですが、頭皮が乾燥しやすい方にも効果的です。

<使い方>
1.髪の毛が絡まないようにブラッシングする
2.乾いている頭皮に馬油を塗り、なじませる
3.5本の指の腹を使って、頭を握るイメージで約3分頭皮全体をマッサージする
4.蒸しタオルやシャワーキャップなどで馬油をつけた頭を覆う
5.10分~15分間放置する
6.馬油を洗い流し、その後通常通りシャンプー、トリートメントなどを行う

マッサージした後、蒸しタオルなどで頭を覆うことで汚れが浮き出しやすくなるため、なるべく覆うことをオススメします。
馬油の使い方は、やけどや傷・肌や頭皮のケアだけではなく、他にも「痔の症状の緩和」「おむつかぶれ」「便秘解消」などにも使うことができる万能薬です。

馬油を使う上で注意すること

馬油のさまざまな利用法をご紹介しましたが、使用する上でいくつかの注意点がありますのでご参考にしてみてください。

1.馬油を使用する量に注意する

肌質の改善に効果がある馬油ですが、その効果を得るためにたくさんぬったからといって効果が上がるわけではありません。馬油を塗りすぎると毛穴が詰まる原因にもなりますので、米粒大くらいの量を目安に薄く伸ばして使ってください。
馬油の成分は肌に馴染みやすく浸透効果が高いので、べたつかない程度の少量を使用するだけで、十分に効果を発揮することができます。

2.赤ちゃんに使う時は様子を見ながら使用する

馬油は副作用がないといわれているので、子供から大人まで誰でも使うことができます。
しかし赤ちゃんは大人よりも皮膚が薄いため、赤ちゃんによっては肌に合わない場合があります。

赤ちゃんに使用する際は最初から肌全体に使わずに、様子を見ながら少しずつ使うようにしましょう。
もし、肌に合わない時は使用を中止し、かぶれや赤みを帯びた場合は病院を受診しましょう。

3.馬油の保管方法

食用としても使うことができる馬油には添加物などが入っていません。そのため腐ることがあるので保管場所にも注意が必要です。保管する際は高温多湿を避け、冷暗所に保存して早めに使用しましょう。馬油が腐ると特有の腐敗臭がするので、少しでも異変を感じたら使用を控えましょう。
また、市販の馬油の多くは、ビタミンEが酸化防止剤として入っていて酸化しづらくなっています。

まとめ

馬油に今まで知らなかった意外な効果や使い方があった方もいるのではないでしょうか。
馬油は薬局などでも簡単に手に入り、手軽に使用することができますので、一度お試しいただいてみてはいかがでしょうか。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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