はじめに

運動前にケガの予防を目的としてストレッチを行ったり、柔軟性を高めるために日常的にストレッチを行う方は多いかと思います。一方で、重要なのに意外と忘れられているのが運動後のクールダウンのためのストレッチです。今回は、クールダウンストレッチについて正しいやり方や効果、必要性について説明していきます。

クールダウンストレッチとは

『クールダウンストレッチ』とは、運動後にクールダウンとして行うストレッチのことを言います。『ストレッチ』は筋肉を引き伸ばすことです。静かに筋肉が伸張される姿勢をとる『スタティックストレッチ』や関節を大きく積極的に動かすことで筋肉を伸張し、可動域を拡げていく『ダイナミックストレッチ』などがあります。

『クールダウンストレッチ』は運動後に行うことで疲労回復を促進したり、固くなった筋肉をケアすることを目的としているので、前者の『スタティックストレッチ』を行います。

上半身のクールダウンストレッチのやり方

ここで代表的な上半身のクールダウンストレッチをご紹介します。
前にも述べたようにクールダウンストレッチでは、『スタティックストレッチ』を行います。伸ばしたい筋肉を引き伸ばした肢位で20~30秒静止してゆっくりと呼吸を続け、終わったらゆっくりと筋肉を元の位置に戻すようにしてください。

肩関節後ろ(三角筋後部)

1.ストレッチする側の腕を体の前を通して反対の肩に触るようにします。
2.肩を触られている方の手でストレッチする側の肘を押さえ、ストレッチする腕が体の方に近づくようにします。
3.ストレッチする側の肩の後方に伸張感を感じたところでストップさせて静止します。

二の腕(上腕三頭筋)

1.ストレッチする側の手の肘をしっかりと曲げた状態で頭の後ろに持って行きます。
2.反対の手でストレッチする側の肘を持ち、反対側にゆっくりと引っ張ります。
3.ストレッチする側の上腕から肩の下あたりに伸張感を感じたらストップさせて静止します。

脇腹(広背筋)

1. 両方の手を頭の上で組み、肘をしっかりと伸ばします。
2. 下半身がバランスを崩さないようにしっかりと立つか座るかした状態で、ゆっくりと体を横に倒します。
3. 体を倒した逆側の肩の下から脇腹あたりに伸張感を感じたらストップさせて静止します。

下半身のクールダウンストレッチのやり方

次に、下半身のクールダウンストレッチをご紹介します。
静止する時間や呼吸などストレッチの基本は上半身のストレッチでご紹介した通りです。

お尻(大殿筋)

1. 仰向けに寝てストレッチする側の膝を約90°に曲げ、反対の脚の膝の上あたりにひっかけるように置きます。
2. ストレッチする側の脚をひっかけたまま、反対の膝も曲げてゆっくりと持ち上げ、両手でひっかけられた方の太ももを抱えるように持ち、できる限り自分の胸に近づけるようにします。
3. ストレッチする方のお尻の筋肉に伸張感を感じたらストップさせて静止します。

もも裏(ハムストリングス)

1. 地面にお尻をつけて座り、片方の脚はあぐらをかくように曲げます。
2. ストレッチする側の脚は膝をしっかりと伸ばし、開脚します。
3. ストレッチする側の足先を両手で持ち、体を倒します。
4. ストレッチする脚のもも裏に伸張感を感じたらストップさせて静止します。

太もも前(大腿四頭筋)

1. バランスを崩さないようにどこかにつかまって立ちます。
2. ストレッチする側の膝を曲げて手で足先を持つようにします。
3. 足先を持った手を少しずつ後ろに引き、ストレッチをする側の太ももの前側に伸張感を感じたらストップさせて静止します。このとき、ストレッチする側の膝が外に開かないように注意します。

ふくらはぎ(腓腹筋)

1. 壁などの前で、両足を前後に開いて立つ。
2. 両手は壁につき、両方の足先がしっかりと進行方向を向くようにし、徐々に体を前に倒していく。
3. このとき、後ろに引いた方の脚は踵がしっかりと地面につくようにし、膝は伸びた状態とする。
4. 後ろに引いた方のストレッチする方のふくらはぎに伸張感を感じたらそこでストップして静止する。

クールダウンストレッチのコツ

クールダウンストレッチの目的は、疲労回復を促進したり、使った筋肉のケアをすることなので、その目的が達成されるようにクールダウンストレッチのコツをご紹介します。

反動を利用しない

ストレッチに慣れておらず、体の硬い方に多いのが反動を利用することです。反動を利用すると早く柔軟になる気がしますが、反動を使ったストレッチでは筋肉の両端にある腱の部分の弾力を高めているだけになってしまい、実際に筋肉の部分はしっかり伸張されていません。ですから、しっかりと筋肉が伸張された肢位で静止し、筋肉をゆっくりと引き伸ばしてあげることが重要です。

痛みがでるところまで引き伸ばさない

ストレッチをするときに、痛みを我慢してしっかり伸ばした方がよいと思われている方もいるようですが、それは間違いです。人間は痛みを感じると、本能的に防御しようとして筋肉に力が入ってしまうので筋肉がきちんと伸ばせません。

また、やりすぎてしまうと筋損傷(軽い肉離れ)をおこしてしまうこともあります。ですから、痛い一歩手前の脱力していられる範囲で行うことが重要です。

呼吸を止めない

呼吸を止めてしまうと脱力ができず、結果として筋肉を緩めることができません。ゆっくりと深い呼吸を続けながらしっかりとリラックスした状態でストレッチを行うようにしましょう。

クールダウンストレッチの効果

クールダウンストレッチの重要性を再確認していただくためにクールダウンストレッチの効果を詳しく説明します。

心拍数や血圧の緩やかな低下

激しい運動を急にやめると、筋肉で必要になる血液の量が減り、心拍数や血圧、血流が一気に低下します。
運動中は筋肉を収縮させることで血液が心臓に戻っていきますが、運動をやめることで上下肢の末端に滞り、中枢に返ってきにくくなります。

その影響が大きい場合、めまいや貧血、失神を起こしてしまうこともあります。急激に運動をやめるのではなく、ウォーキングやクールダウンストレッチを行いながら徐々に心拍数や血圧を低下させてあげることでそのような状態を防ぐことができます。

老廃物の代謝促進

運動後には、疲労物質と呼ばれる乳酸や老廃物が筋肉内にたまってしまいます。クールダウンストレッチによって血流量の急激な低下を防ぐことで、それらの物質を早く排除することができ、回復を促進します。

筋肉のケア・柔軟性向上

運動中に筋肉は幾度となく収縮し、微細断裂を繰り返しています。運動後にクールダウンストレッチでダメージを受けた筋肉を伸張させてあげることで、緊張した筋肉を緩め、修復を促します。また、運動後は筋肉がしっかりあたたまっているため伸びやすく、柔軟性を向上させるのにも適した環境になっています。筋肉の柔軟性を高めることで、今後のケガの予防にもつながります。

おわりに

今回は、運動後に行うクールダウンストレッチの正しいやり方や効果についてご紹介しました。
運動中のトレーニングだけでなく、運動前後のこのようなケアもパフォーマンスの向上やケガの予防に重要な役割を果たしますので、是非ゆっくりと時間をかけてクールダウンストレッチを行っていただきたいと思います。

参考文献・参照
https://stretchpole-blog.com/how-to-cool-down-after-exercise-21582 クールダウン・最も効果的なストレッチ等の種目別方法と5つの知識
https://stretchpole-blog.com/stretches-after-muscle-workout-7575 クールダウンに最適な静的ストレッチで疲労軽減&筋発達促進

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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