はじめに

顔や腕、肩、背中等、至るところにできてしまうほくろが気になってしまう人もいるのではないでしょう。特に大きいほくろや色の濃いほくろ、真ん中から毛が生えてしまっているほくろ等は、除去できるものなら除去したいと思っている方が多いのではないでしょうか?

そんな厄介なほくろを除去する方法を解説していきます。

ほくろとは

ほくろとは医学的な正式名称は『母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)』、もしくは『色素性母斑』と言います。母斑細胞という細胞が集まってできた、良性の皮膚病変なんですね。メラニンを有することが多いため、褐色や黒色、時に青色のものが多いですが、皮膚と同じ色をしているものもあります。

ほくろには生まれつきある先天性のものと、途中でできてしまう後天性のものの2種類ありますが、皮膚構造上に違いはありません。当然、個人差はありますが、先天性のほくろは1.5センチと大きなものもある一方で、後天性のほくろは比較的小さなものが多く見られます。

病院でできるほくろ除去の種類と方法

ほくろを除去する方法は切除縫合術や、黒い色に反応するレーザーを使用した方法、電気メスやCO2レーザーによって削る(蒸散する)等、様々な治療方法があります。その方法を具体的に紹介します。

くり抜き法

くり抜き法とは、医療用のパンチのような特殊な道具やメスを使ってホクロを円形にくり抜き、周囲を巾着状に縫い縮める方法です。特に顔面は皮膚の修復力が高いので、この方法を選ぶ場合があります。大きさは約5~6mm以内のものが対象になります。

切除縫合法

切除縫合法は名前の通り、メスを使用してホクロを切除します。その後縫合して抜糸するという一番基本的な手術方法です。通常ホクロの3倍程度の長径の木の葉型に切除し、線状に縫合します。皮膚のゆとりがない場合や、ホクロが大きい場合は皮弁術などを用います。

レーザー治療

レーザー治療は、黒い色に反応するレーザーでほくろの細胞を破壊したり、水分に反応するレーザーで電気メスのように削る治療です。レーザー治療には削るタイプと削らずにできるタイプがあります。その違いを以下にまとめました。

・炭酸ガスレーザー(削るタイプ)
皮膚内にある水分に反応する炭酸ガスレーザーを用い、ほくろを組織ごと蒸発させる方法です。5~10mm以下の比較的小さなほくろが対象です。

・Qスイッチレーザー(削らないタイプ)
メラニン色素のみに反応するレーザーで、母斑細胞が持っているメラニン色素を破壊することによって、ほくろの色を薄くすることにより除去するレーザーです。おもに1~2mm程度の小さく平らなほくろに用います。上手く反応すれば施術後は傷になる事はなく、早くほくろを消失させることができますが、再発しやすいデメリットもあります。

・ロングパルスレーザー(削らないタイプ)
ロングパルスレーザーには、YAGレーザーやアレキサンドライトレーザー、半導体レーザーがあります。Qスイッチのようにピンポイントで短時間照射する方法に比べ、熱の広がりは大きいですが、高いパワーで限局的に使用することで同様の機序によりほくろの色を薄くすることが可能です。Qスイッチレーザーと同様、通常は数回の照射でほくろの色は消えていく、または薄くなります。

病院でできるほくろ除去の費用と期間

ほくろを除去する費用は保険適応のほくろか、保険適応外のほくろかで変わってきます。ほくろの除去に健康保険が適用できるかの条件についてですが、「ほくろが悪性のものであるかどうか」と「ほくろが日常生活に支障をきたすものであるかどうか」を医師が判断し、どちらか、またはどちらの条件ともに満たした場合に健康保険が適用されます。

それを考慮した上でのほくろ除去にかかる費用をご紹介します。

・くり抜き法
保険適応の場合、相場で1万円前後、保険適応外ですとクリニックによって料金設定は様々ですが、大体3万円未満のところが多いようです。

・切除縫合法
ほくろをメスで切除する治療方法の費用の目安は、初診料や麻酔代、ほくろが悪性であるか良性かの病理検査代などを含めて、おおむね2~5万円程度というケースが多いようです。金額にやや開きがあるのは、健康保険を適用できた場合には2~3万円ほどで済み、保険の適用ができなかった場合には4~5万円ほどになるクリニックが多いためです。

・レーザー治療
レーザー治療によるほくろ除去の費用の目安は、ほくろの大きさや形状にもよりもますが、1回のレーザー照射につき2,000~15,000円ほどというクリニックが多いです。

ほくろのタイプ別除去方法の選び方

ほくろといっても平べったいものや盛り上がっているもの、大きさ等によって除去するのに適した方法は異なります。その種類による、ほくろ除去の選択方法の目安をまとめました。

・くり抜き法
くり抜き法でキレイに除去できるほくろは、6mmのほくろに限ります。

・切除縫合法
切除縫合法でキレイに除去できるほくろは、6mm以上で大きく膨らんでいるほくろになります。ただ、切除縫合法は治療に時間がかかりますし、メスを用いて切り取る方法ですので、服などで隠れる部分か、脇下や鼠径部などのあまり他の人から見えない部分などの治療のための最終手段だと思った方が良いかもしれません。

・レーザー治療
レーザー治療には主にQスイッチレーザー、炭酸ガスレーザーの2種類の方法があります。ほくろの状態によって適応できる方法が変わりますので、そこは医師の判断に任せると良いでしょう。対象となるのはQスイッチレーザーでは平らな小さいほくろ、炭酸ガスレーザーは5mm以下で盛り上がっているものになります。
この方法は一番リスクが少ないのが最大のメリットといえます。

ほくろ除去方法・病院選びの注意点

ほくろを除去して貰うための病院選びで最も重要なことは、ほくろ除去に実績があるか、熟練された医師がいるか、そしてアフターフォローをしっかりしているクリニックか、万が一、悪性だった場合の病理診断をきちんと行ってくれるか、そして悪性だった場合も対応できるかです。

キレイにほくろを除去して貰う為にはやはり医師の腕が肝になりますので、しっかり調べてから受診するようにしましょう。

まとめ

ほくろを除去する方法は、くり抜き法、切除縫合法、レーザー治療の3つがあります。方法によって費用は異なりますが、ほくろの除去の場合、保険が適応対象の場合と適応対象外の場合があるので、しっかり医師とに確認を取りましょう。

また、ほくろの種類によっても治療の方法は異なりますので、気になる事は治療を受ける前に相談する事をおすすめします。そしてほくろを除去して貰う為の病院選びは、慎重に行いましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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