はじめに

久しぶりに運動をした時や夜寝ている時に足をつった経験ありませんか?
長時間痛みが続かないとはいえできれば避けたいものです。

そこで今回は足がつって痛い思いをしない為にも足がつっている時の体の状態を知り対策と予防法を身につけましょう。

足がつるとは

筋肉の種類

私たちの体には心筋、平滑筋、骨格筋という3種類の筋肉があります。心筋は心臓に分布し、平滑筋は胃や腸などの内臓に多く、骨格筋は手足・腹筋・背筋などに多く分布しています。平滑筋や心筋は自分の意志では動かすことのできないため不随意(ふずいい)筋と言い、骨格筋は自分の意志で動かすことができるため随意筋と言います。つまり、足がつるという状態になるとき、本来であれば自由に収縮と弛緩(しかん)させることのできる骨格筋に異常が生じていることになります。

骨格筋の構造

骨格筋は筋細胞によって構成されています。さらに筋細胞はいくつもの筋繊維が束状に連なってできています。筋繊維には大量のカルシウムイオンが蓄えられていて、筋肉の収縮に重要な役割を果たしています。

骨格筋の収縮

私たちは骨格筋を収縮させたいとき、脳から収縮しなさいという司令を出します。この司令は運動神経を通じて骨格筋に伝わります。すると筋繊維からカルシウムイオンが放出され、骨格筋が収縮します。
 このように筋肉の収縮に欠かせないカルシウムイオンは、食事から摂取する他、ホルモンバランスによってその濃度が一定になるように保たれています。

骨格筋の筋痙攣(きんけいれん)

足、例えばふくらはぎがつることを医学的には腓腹筋(ひふくきん)痙攣と言います。こむら返りと呼ばれることもあります。文字通り腓腹筋という筋肉に痙攣が起こっている状態です。筋痙攣とは、自分の意志とは無関係に突然起こる不随意収縮で、何らかの原因によって運動神経の一部(運動神経末端)に不具合が生じるために起こります。ふくらはぎの他にも、太ももの前面(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)、太ももの後面(大腿二頭筋:だいたいにとうきん)に起こりやすいです。

筋痙攣が起こると目が覚めるほどの激しい痛みを伴い、歩行が困難になります。通常数秒から数分間続き、筋痙攣の後も不快感、違和感が数日残ることがあります。

足がつる原因

前述したような筋痙攣が起こるのには、いくつかの原因があります。

筋肉疲労

筋痙攣の多くは、筋肉を使いすぎたことによる筋肉疲労によって引き起こされます。その場合は、運動中や運動後に起こります。運動とはスポーツだけとは限りません。運動不足で筋力が低下していたり、肥満気味で足への負荷が大きくなる場合、ただ長時間立つという動作や少し歩いたという動作でも筋痙攣を起こすことがあります。

水分・電解質のバランスの乱れ

大量に汗をかくと水分だけでなく、カルシウムを始めとした体内の電解質も失われます。水分・電解質のバランスの乱れが原因となって筋痙攣を引き起こすことがあります。カルシウム以外の電解質としてはナトリウム、カリウム、マグネシウムなどがあります。
 水分・電解質バランスが乱れるような要因としては、①脱水、②熱中症、③嘔吐・下痢が続いている、④人工透析を受けている人、⑤利尿剤・降圧剤を服用中の人などです。

血流障害

カルシウム濃度などを調節しているホルモンは血液中に分泌されます。この血液の流れに異常をきたすと、筋痙攣を起こします。血流障害を起こす要因としては、①冷え、②加齢、③運動不足などです。
 加齢に伴い筋力は徐々に低下していきます。若くても運動不足の人は、そうでない人に比べて筋肉量は少ない状態です。こうした筋力低下は血流を悪くし、筋痙攣を招くことがあります。

ホルモンバランスの乱れ

筋肉の収縮に関わるカルシウムを始めとした電解質の調節を行うホルモンのバランスが乱れると、筋痙攣を引き起こすことがあります。妊娠中にはホルモンバランスが大きく変化するため、筋痙攣を起こすこともあります。

足がつってしまったときの対処法

ここでは足がつってしまったときの対処法について説明します。(ただし、頻繁に足がつるという場合は、背後に糖尿病などの病気が隠れていることもあります。気になる人は近所の医療機関を受診するようにしましょう。)

患部を温める

筋痙攣が治まった直後も筋肉痛のような鈍い痛みが続くものです。そういったときは患部を温かいタオルやカイロなどで温めましょう。

患部を安静にする

筋肉痛のような不快感が治まるまでは、あまり負荷をかけず患部を安静にしましょう。(運動不足によって筋痙攣を起こしているような場合、不快感が治まった後は適度な運動が大切です。)

水分・電解質を補給する

予防法でも言えることですが、スポーツドリンクなどの電解質を含んだものを補給するようにしましょう。

筋肉を伸ばす(ストレッチ)

ふくらはぎがつってしまった場合は、足の親指を反らせます(膝方向に向けて引っ張る)。太もも後面の場合は、かかとを床につけた状態からつま先を天井にピンと伸ばします。太もも前面の場合は、仰向けに寝て膝を折ります(バランスに自信がある方は立ったまま行っても構いません。)つまり、つっている筋肉を伸ばす・ストレッチします。激痛のため、この行為を行うまでが辛いですが、一端筋肉を伸ばし始めて10秒も経つと痛みが軽減してきます。

足がつらないようにするための予防法

こまめな水分補給を行う

大量に汗をかくような場面では、こまめに電解質を含んだ水分を補給するようにしましょう。スポーツドリンクに含まれる糖分が気になる方は、お茶でも構いません。

ビタミン・ミネラルを食事からも摂る

日頃の食事からビタミン・ミネラルを摂ることも筋痙攣を予防ためには重要です。カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムを含むものとしては豆乳がお勧めです。しかし、一つの食品に偏らず野菜、豆類、海藻を毎回の食事で摂れるようにしましょう。

運動前後のストレッチをする

運動前にストレッチを行うことで血流が良くなり、筋痙攣が起こるのを防ぎます。また運動によって特定の筋肉に負荷がかかり続けると、その部分の血流が低下します。したがって、運動後改めてストレッチを行うことで血流を改善できます。
 睡眠中に筋痙攣を起こすという人は、就寝前にストレッチを行いましょう。

ゆっくりお風呂に浸かる

冷えによる血流障害や筋肉疲労が原因の場合は、ゆっくり湯船に浸かって体を温めるようにしましょう。一緒にマッサージなどを行うのも効果的です。

適度な運動をする

加齢や運動不足によって筋力低下がある人は、普段の適度な運動が大切です。かかと上げ運動やスクワットなど下半身の筋力トレーニングを中心に行うと、血流アップもでき一石二鳥です。

まとめ

いかがだったでしょうか。足がつるのは運動をして筋肉の疲労が原因であったり、水分や電解質が不足したり、栄養が不足したりするのが主な原因です。
足がつる原因を理解すれば未然に防げるのではないでしょうか?

また、もしつってしまった時は本記事を参考にストレッチなどで対処をしていただければ幸いです。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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