はじめに
お酒が好きで毎日の晩酌を欠かさないという方もいるのではないのでしょうか?お酒を飲んだ翌日に肌の調子が悪いと思ったことはありませんか。今回は、お酒の肌に与える影響について説明したいと思います。
どうしてお酒は肌に悪影響なのか
飲み会の翌日や「飲みすぎたな」と思った翌日に肌が荒れていると感じたことはありませんか?お酒を飲んだ後に肌がガサガサになっていたり、吹き出物が増えているなどお酒は肌に悪影響を与えることがあります。なぜアルコールは肌に悪影響なのでしょうか?
栄養分の不足
アルコールを分解する時にはビタミンやミネラル成分などを使いながら処理をしますが、分解する時にそれらの栄養素が奪われるため肌荒れを起しやすくなります。特にアルコールの分解にはビタミンCが多く使われるため、肌が栄養不足になりやすいのです。
肌が脱水状態
アルコールを飲んだ後や翌日に喉が渇くことはありませんか?これは体が水分を要求しているサインです。アルコールは肝臓や小腸などで分解、吸収されるときに水分を必要としますが、アルコールには利尿作用もあり水分がどんどん体の外に排出されてしまいます。水分が体の外に出てしまうと肌の保湿機能も低下して肌に悪影響を及ぼします。
脂肪分や糖分の多い食事
お酒を飲むと胃が刺激され食欲が増進します。その結果、唐揚げやてんぷらなど脂分の多い食べ物を多く摂取するなど吹き出物などができやすくなります。また、飲んだ後に甘い物が欲しくなるのは、アルコールを分解するときに糖分を必要とするためです。血糖値も下がるため、いつもより甘い物を食べ過ぎてしまい肌が荒れてしまいます。
お酒による肌トラブル
お酒は肌に悪いことは分かりましたが、どのような影響があるのでしょうか?
肌の乾燥
お酒を飲み過ぎると水分が体の外に出ていくため体内は水分不足になります。お酒を分解する時に多くの水分を必要とし、肌の保湿に大切な水分も使われてしまいます。また肌の乾燥はしわの原因にもなります。水分量が少ない目の周囲や口周りは特に注意が必要です。
肌の弾力の低下
水分が不足するということは、肌の弾力も低下するということです。お酒を分解する時は水分のほかビタミンやミネラルなどの成分が必要になると説明しましたが、肌に必要な栄養素が失われやすくなるため肌の弾力も低下します。またアルコールには肌のたるみの原因となるコルチゾールという物質が分泌され肌の弾力が失われてしまいます。
吹き出物
お酒のつまみに揚げ物や糖分が多い物を食べることがあるかと思います。偏った栄養や睡眠不足は肌に必要が栄養が行き渡らず、また睡眠不足は肌の細胞が休まらないため吹き出物やニキビができてしまいます。
お酒による肌トラブルの予防法
お酒は肌荒れの原因となりますが、早めに予防することで肌荒れを回避することができます。
水分補給
お酒を飲むとアルコールを分解する時に多くの水分を必要としたり、利尿作用から水分がどんどん体の外へ出てしまいます。アルコールを飲むときは、お水を飲みながらお酒を飲むと失った水分が補われ水分不足による肌のトラブルを防ぐことができます。
栄養バランスの良い食事
アルコールの分解にはビタミン類などの栄養素が使われます。ビタミン類は肌を健康に保つ作用があり、不足すると肌荒れを起しやすくなります。良質のたんぱく質やビタミン、ミネラルなど日頃から積極的に摂るようにして肌荒れを防ぐようにしましょう。また糖分の摂り過ぎはニキビや吹き出物などの原因になります。
適度に飲む
お酒を楽しく飲みのは良いことですが、飲むすぎると体調を崩すだけではなく肌にも悪影響を及ぼします。赤ワインをグラスに1杯程度なら健康を損ねることなく飲むことができます。飲み過ぎは肌が荒れるだけではなく健康にも悪影響です。
ストレスを溜めない
ストレス解消代りにお酒を飲んでいる方はいませんか?ストレス発散目的で飲んでいると、飲み過ぎてしまい、肝臓での代謝や必要な栄養素が消失して体が乾いた状態になってしまいます。またストレス自体、肌に良い影響を与えません。
メイクを落とす
お酒を飲んで帰宅するとメイクを落とすのが面倒になってしまいます。お化粧を落とさず寝てしまうと肌の細胞が呼吸できず、肌に負担がかかってしまいます。お酒を飲んだ後は乾燥しやすい状態なので洗顔したら化粧水や美容液などでしっかり保湿してください。
お酒による肌トラブルの対処法
肌あれを起さないようにするには飲み過ぎないことが大切ですが、荒れてしまった肌はここで紹介する方法で対処しましょう。
お酒を少しの間止める
ニキビなど肌荒れがひどい場合は少しの間お酒を止めてみましょう。お酒を止めることで体に水分やビタミンなどの栄養素が保たれ、肌の状態が改善します。
ローションパック
お酒を飲んで肌が乾いているなと感じたらローションパックをしてください。コットンに普段使用している化粧水をたっぷり含ませ、約5分くらい肌になじませます。水分が肌に浸透してしっとり感が実感できます。
おつまみに注意する
お酒を飲むときに揚げ物などを多く食べることはありませんか?揚げ物などは満腹感が得られ美味しいですが脂分も多く、また吹き出物やニキビなどができやすくなります。サラダや野菜類もおつまみとして食べるようにしてください。
ビタミンを多く摂取する
アルコールの分解で消費されるビタミン類を多く摂取するように心がけてください。枝豆やサラダ、焼き鳥、レバー刺身など脂肪分の少ない和食系おつまみにすると良いでしょう。
糖分の少ないお酒を選ぶ
ワインや日本酒、ビールなどには多くに糖分が含まれています。適度に飲むには問題ありませんが、飲み過ぎは肌荒れの原因ちなります。できればウィスキーや焼酎など糖分の少ないお酒を選ぶようにします。
終わりに
適度なお酒はリラックス効果も期待できますが、飲み過ぎは肌のトラブルにつながるので注意しましょう。お酒を飲んだ日はいつもより多めに水やお茶などの水分を摂取して脱水からお肌の乾燥を守るようにしてください。
総合診療医
経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。
資格
医師免許
所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会