はじめに

朝がだるくて会社や学校がつらい…そう感じている方も多いのではないでしょうか?
朝は時間に追われ、満員電車などのストレスフルな環境に身を置かなければなりません。
だからこそ自分の身体はきちんと管理して万全な状態でいることが大切です。

今回は、朝のだるさの原因や対処法についてご紹介します。

朝のだるさの原因は?

朝、起きた時から体がだるい、疲れを感じるという人は意外に多いのではないのでしょうか。

しかし、疲れを癒すために寝ているのに、朝から疲れを感じるという状況はよく考えると、異常な状態です。という事は、睡眠の仕方や生活に問題があるのかもしれません。

朝のだるさの原因から対処法を考えて、貴重な時間である朝の時間を快適に過ごしてみましょう。朝のだるさの要因は疾患以外に主に以下の3つがあげられます。

肉体的、精神的疲労

疲労には大きく分けて体を酷使したことによる肉体的疲労と長時間の緊張や集中を強いられたことによる精神的疲労があります。では、なぜ疲労を感じるのでしょうか?それには、2つの要因があります。

1つは、肉体労働による筋肉の過使用によって発生した乳酸や活性酸素など多くの筋疲労物質が処理できずに疲れを感じるものです。ただ、この場合の疲労感は、一時的なことが多く、慢性的疲労につながることは少ないと言われています。

もう1つは、肉体的疲労、精神的疲労どちらでも、脳の視床下部や前部帯状回に活性酸素が蓄積することで疲労が生まれるというものです。

この脳領域は心拍数を上げる、呼吸を早くする、体温調節、汗をかくなど生命維持装置があります。また、交感神経と副交感神経の調整もしています。

この部位の活性酸素の蓄積が慢性的な疲労を生み出し、体の生命維持装置の機能を狂わせるで、朝のだるさを生み出す要因になります。

睡眠の質が悪い

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の2つで構成されています。レム睡眠とは「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の頭文字REMを取ったもので、寝ている時に眼球が活発に動いています。いわゆる浅い眠りの状態で、体は休息していますが脳は活発に動いています。

このレム睡眠時に脳は、海馬という部分と大脳新皮質という部分で情報をやり取りして記憶の整理を行い、記憶を長期脳に保存できるようにしています。ノンレム睡眠(Non Rapid Eye Movement)とは、レム睡眠でない状態を表し、眼球は動かずぐっすり寝た状態で、脳の休息時間だと考えられています。

ぐっすり寝ている状態のノンレム睡眠中に起きたり、起されると熟睡が出来なかったと感じたりすることがあります。レム睡眠とノンレム睡眠を1セットとすると、約90分のサイクルで繰り返されています。このレム睡眠とノンレム睡眠を1セットとして、4回繰り返す事が理想と言われています。

そうすると、人によっても違いはありますが、約6~7時間程度の睡眠をとる事が理想となります。(最新の研究で、遺伝子によって短眠でも良い人もいるようです。)睡眠の質はこの睡眠時間が習慣的に確保できているか、レム睡眠とノンレム睡眠がリズムよくとれて、起床の際にレム睡眠で目さめているかがポイントとなります。

自律神経の興奮バランスが悪い

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。体を戦う態勢にしろという指令を伝えるのが「交感神経」です。「交感神経」が興奮すると血管の収縮、血圧上昇、心拍数の増加、消化機能を抑制、瞳孔散大、発汗の促進などがおこります。

精神的緊張したり、スポーツをしたりする時の体の反応と思っていただくと分かりやすいと思います。逆に、体を休める指令を出すのが「副交感神経」です。

「副交感神経」が興奮すると、食べ物の消化を促進したり、体の損傷を回復させるのを促進したりする作用が強まります。この2つの神経は常に両方とも興奮しているのですが、一日の中でも「交感神経」が「副交感神経」より多く興奮している時もあれば、逆もあります。自律神経機能は、一日中「交感神経」と「副交感神経」が一定の緊張を維持するわけではなく、日内変動(サーカディアンリズム circadian)しています。一日の自律神経の変動は一定のリズムで変化をしています。

自律神経は入眠時に「副交感神経」が優位になり、起床時から「交感神経」が優位になっていきます。この一日の自律神経の変動リズムが崩れて起床時に「交感神経」が優位にならないと、寝起きが非常に悪くなります。よく「私は低血圧で寝起きが悪い。」と言っている人がいますが、実は低血圧と寝起きは直接関係がありません。

寝起きはこの自律神経によってコントロールされています。そのため、自律神経の興奮バランスが悪いと朝のだるさの要因になる可能性があります。

朝のだるさの対処法は?

肉体的、精神的疲労が要因の場合

・軽い運動とストレッチをする。
スポーツ選手が試合後や練習後に軽くランニングをしてからストレッチなどをしているのを皆さんはご存知でしょうか。スポーツなどで蓄積した疲労物質を処理しやすくするためです。これは肉体的疲労でも精神的疲労でも効果的です。軽い有酸素運動は活性酸素の除去を向上させるというデータもあります。お勧めは、20分程度の散歩かランニングを行いその後にストレッチするメニューです。これを、週2回程度行うだけで十分です。それだけで睡眠の質を向上させ、疲れの要因となる活性酸素の除去が効果的に行われます。これは通勤とは別に考えて下さい。通勤では動きにくい服に、重い荷物を持って歩いているため、散歩やランニングの効果を半減させています。

・過食をやめる。
特に注意して欲しいのが、糖質の過剰摂取です。糖質の摂取で急激な血糖値上昇と急激な血糖値の下降を起します。この血糖値の上昇と下降は大量のホルモンを使うために、体に相当の負担がかかります。糖質制限をして、体が疲れにくくなるのは、この血糖値の急激な上昇と下降が少なくなるからです。また、世界で最も権威のある医学雑誌の「ランセット」で炭水化物の摂取が多いほど死亡のリスクが上昇し、脂肪の摂取が多いほど死亡率が低下するのが分かっています。朝のだるさのある人は食事を見直す事も重要です。

・睡眠の質が要因の場合

・寝具の見直し
寝具が悪いと寝返り動作の際に動きが大きくなったりして睡眠の妨げになります。気持ちが良い寝具も大事なのですが、「寝返りがしやすいかどうか」という寝具選びで最も重要なポイントを意外に見逃している人は多いと思います。ベッドやマットの硬さは、畳に布団を1~2枚敷いた程度の硬さが理想です。枕の柔らかさは、心地よさより寝返りのしやすさで決めて下さい。枕の高さも実際に寝返りをして決めます。丁度良い高さの枕が無い場合は玄関マットを切って枕の下に敷くと枕が動かずお勧めです。寝返り動作が自然と楽にできるようになると肩凝りや腰痛も軽減する事があります。朝のだるさと痛みを感じるようなら寝具を見直す良いと思います。

・寝る1時間前にしてはいけない事
良質の睡眠にはメラトニンという脳内物質が必要なのですが、睡眠前にテレビやスマホなどのブルーライトを浴びると、そのメラトニンの分泌が抑制されるため、寝る1時間前は使用をやめましょう。また、寝酒は睡眠の質を下げるためやめましょう。

・自律神経の興奮バランスが悪い場合

・朝起きた時に取り入れたい習慣
朝起きた時に息が上がるくらいの運動をすることで脳がベストな状態に覚醒するという研究をハバード大学レイティが報告しています。寝て起きたら腹筋運動や腕立て伏せをしたり、掃除をしたりすると脳が適度に覚醒します。また、朝のシャワーも効果的です。41度の熱めのシャワーを浴びる事で自律神経が整てくると千葉大学の研究で報告されています。水流を強くして3~5分浴びると更に効果的なようです。逆に、1分の冷水シャワーを褐色細胞の分布する首の回り、腋の下、肩甲骨回り、心臓、腎臓に冷水を当てて褐色細胞に「冷たくなった」と判断させると脂肪燃焼を促し、交感神経を刺激します。朝は交感神経優位なので、夏の暑い朝には効果的かもしれません。

・寝る前に丹田呼吸法、マインドフルネス瞑想、自律神経訓練法をやってみる。
丹田呼吸法、マインドフルネス瞑想、自律神経訓練法はストレスを軽減し、ストレスに伴う体の悪影響を除去し睡眠の質が向上する事も科学的に分かっています。ストレスを感じている人、寝つきが悪い人で、朝にだるさを感じる人は取り入れてみましょう。

快適な朝を過ごすための朝のだるさの予防

朝のだるさを感じず快適な朝を過ごすために最も重要なことは、出来るだけ同じリズムで生活を送る事です。現代人にとってすごく難しい事ですが、最も健康を維持するのに重要なことです。同じリズムで生活することで多少の疲れやストレスも自然と体が慣れて対処できるようになります。

それに、同じリズムで生活すれば、朝のだるさが出た時に、どんな要因で朝のだるさが出たのか対策が出来ます。また、朝のだるさを改善するために行った対策も効果があったか確認することが出来ます。

そして、朝のだるさの予防法は対処法と同じです。健康な体を作る事が将来の最も良い投資になります。是非、朝のだるさを感じた時に生活習慣を見直してみましょう。

まとめ

みなさん、朝のだるさの原因と朝のだるさの対処法について知っていただけたでしょうか。
朝のだるさの原因として、肉的・精神的疲労、睡眠の質、自律神経の興奮のバランスの3つがあります。
またそれらの対処法に関しては運動、食生活、睡眠の改善などが本記事では挙げられています。
これらを参考に快適な朝を過ごせるようにしましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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