はじめに

病気は大きくても小さくても、怖くて不安なものです。医師を信じてはいるものの、治療方針に疑問を持った場合は、怖さがなくなるように納得できるということが大切です。

そんな場合にはセカンドオピニオンという方法があります。
セカンドオピニオンの基本をご紹介します。

まずは、セカンドオピニオンを知りましょう

何のため?

一生涯病気にかからないという人はいないでしょう。
時代の流れとともに、医学の発達も目まぐるしくなってきました。その中で、病気一つに対して、全ての医師が同じ治療方針を下すとは限りません。

また病気に関しては、100%医師にお任せするという時代は終わりました。自分の身体に関しては、自分も病気と治療方針を知ったうえで、治療にあたるという参加型のシステムが導入されました。それが、セカンドオピニオンの目的です。

患者として自分は何をする?

セカンドオピニオンとは、通常は初めに診察をした医師がたいていは主治医となり継続的に診断診療を行う流れとなることに対して、診療方針を打ち出した時点で患者である自分が納得がいかない、他にも選択肢があるのではないかと考えた時に、主治医以外の医師の意見を聞く機会を持つことです。

ちょっと言いにくくて…

もちろん、主治医の診察に反抗するような形になってしまって、プライドを傷つけるのではないか、怒られるのではないかという懸念もあるでしょうが、患者側がこうした精神的な支障を受けないためにも、当然の権利としてシステム化されたものなのです。

セカンドオピニオンはもともと、米国で発信されてはいましたが、日本で導入され始めてからは、まだそれほど長い歴史にはなっていません。そのため、全ての医師がこういう内容を積極的に把握して推進するかという点では、まだまだ浸透性が低いと思われます。

しかし、病気と闘うのは自分自身です。納得できる診療を受けることが大事です。納得ができない場合は、セカンドオピニオンの検討を取り入れても良いかもしれません。

セカンドオピニオンの事例から、必要な心構えを学ぼう

セカンドオピニオンを受けることは、自分の身体を、医師と患者が一体となって治療に専念するための一つの過程ではありますが、結果としてすべて成果を実感するかということでは、意見が分かれます。

ここでは、受けて良かったというケースと、反対に思ったほど良い結果にならなかったケースをご説明します。

セカンドオピニオンを受けてよかった

・主治医の説明がよく理解できなかったので、セカンドオピニオンに協力的な医師を探して実行したところ、治療に対しての根拠や、デメリットを説明してくれてよく理解ができた。

・大きな病気だったため、余儀なく手術しかないという主治医の話に納得できず、他の方法もあるのではと思い、セカンドオピニオンを受けた。結果、手術を即決とするのではなく、継続的な検査を受けながら、保存的に治療する方向性となった。

セカンドオピニオンを受けなければよかった

・主治医の診断内容に納得できないために、セカンドオピニオンを受けたが、そちらの医師の説明の方が専門的すぎて理解できなかった。

・小さな病院で、医師も普通だったため、大型病院の有名な医師のセカンドオピニオンを受けたが、どっちも同じだから戻ったほうが良いと邪険に扱われた。


セカンドオピニオンを受けたことで、治療手段が変わる事だけを期待すると、ただの大きな落胆や希望する結果でないことへの憤りしか残らなくなります。

より詳しく知ることで安心感を得る、治療の選択肢を広げたい、主治医との信頼関係を深くしたいなど、目的をしっかり持ってセカンドオピニオンに臨まなければ意味がありません。

また、セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師の意見を聞く機会なのであって、自分の考えと同じことを言ってくれる医師と会うことではありません。

セカンドオピニオンの医師についても、良い判断をしてくれる医師と出会うためには、事前に調べることが必要ということもしっかり頭に置いておきましょう。

セカンドオピニオンの初めから終わりまでの一連

①治療方針を打ち出されたが、もっと奥深く知りたい。治療の選択肢は他にはないかなど、もっと幅広い意見が欲しいという趣旨であるか自己確認する。

②セカンドオピニオンを受ける病院または医師を探す。

③主治医に、セカンドオピニオンを受ける意を申し出る。

④セカンドオピニオンを受ける病院、または同じ病院の他科外来の予約をとる。

⑤主治医から、検査データーなどの資料をもらう。

⑥セカンドオピニオンを受ける。

⑦セカンドオピニオンの結果を持って、主治医と今後の治療法について話しあう。

⑧最終的にどの病院でどんな方法をもって治療に挑むか決める。

セカンドオピニオンを受ける前の準備

セカンドオピニオンをする先の病院では、話をすすめるための資料が必要です。
すでに主治医のもとで、検査の結果物が揃っているならばよいのですが、不足な場合は、事前に更なる検査を要求されるかもしれません。

セカンドオピニオン目的の病院では、あくまでも「相談をする」という治療以外のことですので、保険適応外になり、全額自己負担となります。
病院によっては、一回1~2万などと定額制のところや、相談時間での請求となるところがあるようです。

相談前には、料金を調べておくことが必要です。
質問するため、または答えてもらった内容を理解するためにも、病気に関しては簡単にでも調べておくことが良いと思われます。

まとめ

提供された診療方針に疑問を持つには、ある程度は病気について勉強することが必要です。少しでも合点がいかない点があれば、セカンドオピニオンを使って、納得のいくまで診療を受けるのも良いかもしれません。自分の身体は自分のものです。自分を守るのも自分です。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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