はじめに

「食べる」この言葉をどうやって受け止めますか?単純においしいものを食べるだけのことでしょうか?人が「食べる」ことをするのは生きるためです。生きるには健康であることが必要です。生命を維持するには原動力となる食が必要です。

「食」と「健康」をむすびつけて考える機会は意外にも少ないと思いますが、当たり前のことだからこそ一度じっくりと見なおしてみてはいかがでしょうか。

健康と食事はこうしてつながっている!

「食」は私たちにとってどういった影響を与えているのでしょう。
食べた物は体の中のそれぞれの器官において、分解と消化吸収を経て燃料になります。
燃料を燃やす道具や発火材料もまた、食べ物から作られます。

これらを集める役割も処理する役割も食べ物が原料となります。
呼吸をすること、内臓を動かすこと、頭で考えることは、こういった食物の働きによって成り立つものなのです。

何を食べても同じように身体が維持されることではありません。
それをコントロールするのが私たちの食生活にあたります。

一日3食摂取することが身体本来のシステムになっているところに、1日1食しか摂らなければ、次の飢餓に備えて脂肪をたくさん蓄えるようになります。
食べる時間が寝る前になると内臓に負担がかかってしまいます。

食事内容が偏食になってしまうと機能できなくなる部分が生じます。それをカバーするために二次被害がでたり、消化吸収の流れ作業上、次の工程場所には2倍の支障が出たり、身体の中は私たちが実際に働いている会社や社会のシステムと同じなのです。


健康は特別なものではありません。
普通に1日3食、身体の負担にならない時間帯の食事、偏らない食事内容、これを行うことで私たちの健康は維持されるのです。

糖分、鉄分、たんぱく質、ビタミンの過剰摂取ではどんな影響が?

糖分を摂り過ぎてしまうと?

糖質は脂肪よりも先にエネルギー源となり消費されます。
しかし使用量が少なければ残ってしまい、脂肪として蓄えられ肥満や糖尿病の原因になります。

またタンパク質と結合することで糖化タンパク質が生成されて老化が促進されます。
見た目の老化だけではなく骨や血管の老化も促進するので、脳血管障害や心臓病などにも発展する可能性があります。

鉄分を摂り過ぎてしまうと?

肝臓は鉄分を蓄積する働きがあります。
過剰な鉄分は肝臓で活性酵素を発生させて、肝臓を傷つけることになります。その結果肝臓の炎症が生じ、肝硬変などの重篤な病気につながっていくのです。

タンパク質を摂り過ぎてしまうと?

ビタミンの中でも脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の摂り過ぎは、
肝臓への負担が懸念されます。
ビタミンの種類によっては大きな病気の原因にもなります。

糖分、鉄分、たんぱく質、ビタミン不足ではどんな影響が?

糖質不足

糖質が不足するとエネルギーとなるものは、蓄えられていた脂質を燃料とします。

しかしこの時に、ケトン体という物質が過剰発生します。
それにより、体が酸性になることでインスリン分泌異常を抱えている人などは、重篤な状態になることがあるので注意が必要です。

また脳のエネルギーとなる、ブドウ糖が不足すると集中力が低下したり、時には脳内ホルモンが減ることで、うつ病や不眠症になることもあります。

鉄分不足

酸素を運ぶヘモグロビンを生成するのが鉄分の役割です。この鉄分が不足すると(鉄欠乏性貧血)体の中で酸欠が起こり色々な症状となって現れます。
集中力の低下、倦怠感の持続、吐き気、血行不良、冷え性など。

タンパク質不足

冷たい、痛いなどといった感覚や状況を脳に伝える伝達物質というものがありますが、これもタンパク質からできているものなので不足してしまうと、ボーッと感や集中力低下などが生じます。

また免疫力を維持するのになくてはならないタンパク質。これが不足すると外からの菌やウイルスを受けやすくなります。

ビタミン不足

ビタミンの種類によって現れる現象は違いますが、インスタント食品やおやつばかり摂っているとどうしてもビタミン全般の不足になります。
すぐに現れるのは、肌や口の荒れ、体のだるさ、抵抗力の低下です。

5大栄養素をバランスよく組み込む食事

一日30品目を目標にバランスよく食べるということは、ご存知の方も多いと思います。
偏りがなく、脂質も少ない料理ということで「一汁三菜」という日本食が注目されています。
「ご飯、汁もの、主菜、副菜、副菜」の組み合わせです。
脂質、糖質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのバランスが整ったセットです。

例)
・主食  ご飯
・味噌汁 わかめ、豆腐、長ネギ
・主菜  豚の生姜焼き炒め、キャベツの千切り、トマト
・副菜  ひじきの煮物
・副菜  ほうれん草の胡麻和え

まとめ

やがて体は衰えていきます。健康なんか関係ないと考える人は、不健康の辛さを知らないからなのです。
食は体だけではなく、精神面においても健康にする重要なものです。
健康こそが自己の宝です。食こそが重要な宝です。
ちょっとした食への気遣いで、いつまでも健康な自分を維持しましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

関連する記事

関連するキーワード

著者