はじめに
二日酔いはお酒を飲みすぎた次の日に、胃のもたれやむかつき、吐き気などの症状が出ることを指します。楽しくお酒を飲んでいて、つい飲みすぎてしまうこともあるでしょう。二日酔いのメカニズムを知ることで二日酔いを予防し、楽しくお酒を飲めるようにしましょう!
二日酔いのメカニズム
二日酔いのメカニズムとしては未だに解明されていない部分も多いですが、様々な要因が絡み合って起こると考えられています。
軽度の離脱症状
お酒を飲むと、体がふわふわするような気持になったり、気分がよくなったりすることはありませんか?これはお酒に含まれるアルコールによる作用で、脳からドーパミンという快楽ホルモンの分泌によるものです。そのため脳は「アルコールを摂取すると快楽が得られる!」と認識して、アルコールを欲します。これが進むことでアルコール依存症に陥ってしまうことがあります。
長期間飲酒を続けていた場合、飲酒を急にやめることで、様々な離脱症状が現れることがあります。このアルコール依存症のメカニズムと同じように、二日酔いはかなり短期間における離脱症状とも考えられており、数時間の飲酒の後に数時間の飲酒をしない時間が経過することで、体が離脱症状を起こし、二日酔いの症状が現れてしまうのです。
長期間飲酒を続けていた場合、飲酒を急にやめることで、様々な離脱症状が現れることがあります。このアルコール依存症のメカニズムと同じように、二日酔いはかなり短期間における離脱症状とも考えられており、数時間の飲酒の後に数時間の飲酒をしない時間が経過することで、体が離脱症状を起こし、二日酔いの症状が現れてしまうのです。
アルコール分解過程で生じるアセトアルデヒド
通常アルコールは肝臓で分解されてアセトアルデヒドとなり、さらに酵素によって酢酸へと無害化され、最終的に二酸化炭素と水に分解されます。この分解過程にあるアセトアルデヒドが実は身体にとっては有害な物質で、これが身体に残ってしまうと二日酔いとなってしまいます。
ホルモンバランスの変化
お酒を飲むと、トイレが近くなるといった経験がある人は多いのではないでしょうか。これはお酒に含まれるアルコールによって、「抗利尿ホルモン」というホルモンのはたらきが抑えられるため、利尿作用が働き、トイレが近くなるのです。
この抗利尿ホルモンは、酩酊時にはアルコールによって抑制されて分泌量が減少するのですが、数時間経つとアルコールが抜け、今度は逆に抗利尿ホルモンの分泌量が増加することが分かっています。このホルモンの変化が身体に影響して、吐き気などの二日酔いが起こるのではないかと考えらえています。
この抗利尿ホルモンは、酩酊時にはアルコールによって抑制されて分泌量が減少するのですが、数時間経つとアルコールが抜け、今度は逆に抗利尿ホルモンの分泌量が増加することが分かっています。このホルモンの変化が身体に影響して、吐き気などの二日酔いが起こるのではないかと考えらえています。
胃腸障害
飲酒することで、アルコールは消化器官を通っていきますが、まず流れ着くのは胃です。そのためアルコールが胃の粘膜を傷つけることがあり、これによって胃のもたれやむかつきなどといった二日酔い症状が現れることがあります。
二日酔いの症状
頭痛・吐き気
最も多く見られるのが頭痛や吐き気です。アルコールには利尿作用があるため、脱水に陥りやすいのですが、脳もその影響を受けます。すると、頭痛や吐き気として症状が現れます。
また、アルコールの分解過程にあるアセトアルデヒドには嘔吐中枢を刺激する作用があるとされており、アセトアルデヒドが体内に残っていることで吐き気を催してしまうことがあります。また毒性が強いことも特徴で、これによって頭痛が引き起こされると考えられています。
また、アルコールの分解過程にあるアセトアルデヒドには嘔吐中枢を刺激する作用があるとされており、アセトアルデヒドが体内に残っていることで吐き気を催してしまうことがあります。また毒性が強いことも特徴で、これによって頭痛が引き起こされると考えられています。
胃のもたれ、むかつき
アルコールを摂取することで、胃粘膜が傷ついて起こります。とくにストレスがたまっていると胃粘膜が弱っていることが多いため、日ごろから疲労やストレスが蓄積している人には現れやすい症状です。
口渇感
アルコールによる利尿作用で脱水に陥っている可能性があります。またアルコールを多量に摂取しすぎるとなかなかアルコールが抜けきらなかったり、アルコールの生産物であるアセトアルデヒドが体内に残ったりする場合があります。この場合、これらを排出するために水分を多く取り入れようとして口渇感が生じることがあります。
二日酔いを解消するための対処法
頭痛・吐き気
頭痛や吐き気はアルコールの利尿作用による脱水が原因となっていることが多く見られます。そのため水分補給が効果的です。特にスポーツドリンクなどの電解質が含まれたものがおすすめです。また頭痛はアルコールによる血管拡張作用によっても起こるため、血管収縮作用のあるカフェインは有効です。
胃のもたれ・むかつき
胃のもたれやむかつきには胃腸薬が有効であることが多いようです。症状があるうちはほとんど胃のはたらきも弱っているため、無理して食べないほうがよいでしょう。落ち着いてきたら水分をしっかりとりながら、消化のよいものを少しずつとりいれるとよいですよ。
二日酔いのときにやってはいけないこと
二日酔いのときには入浴や運動は避けましょう。二日酔いの時には、脱水になっていることが多く見られます。そのためこの状態で入浴や運動などをするとさらに脱水が進む恐れがあります。
また、これにより血管内の水分が減少してドロドロな血液になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞の危険性も高まるうえ、血中にアルコールが残っている場合は血中アルコール濃度が高くなり、二日酔いがひどくなる場合もあります。
また、これにより血管内の水分が減少してドロドロな血液になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞の危険性も高まるうえ、血中にアルコールが残っている場合は血中アルコール濃度が高くなり、二日酔いがひどくなる場合もあります。
二日酔いの予防法
一度にたくさん飲みすぎない
まず一度に飲む量を抑えることが大切です。アルコールの摂取量が多いほどアルコールを分解するにも時間がかかるうえ、血中アルコール濃度も高くなり、二日酔いになりやすくなります。
厚生労働省によると、1日のアルコール摂取量は約20gまでが適正とされています。そのためビールであれば中ビン1本、日本酒であれば1合、ウイスキーであればダブルで1杯ほどになります。まずはこれらの適正量を知り、飲みすぎには気を付けましょう。
厚生労働省によると、1日のアルコール摂取量は約20gまでが適正とされています。そのためビールであれば中ビン1本、日本酒であれば1合、ウイスキーであればダブルで1杯ほどになります。まずはこれらの適正量を知り、飲みすぎには気を付けましょう。
こまめに水を飲む
二日酔いは脱水が原因で起こることが多いです。そのため飲酒をするにしても、合間に水を飲むようにするとアルコールによる脱水を緩和することができます。
飲む前に食べる
空っぽの胃にいきなりお酒を入れてしまうと、胃の粘膜がダイレクトに影響を受けるため、翌日胃もたれやむかつきなどがおこりやすくなります。また吸収率も高まってしまうため、あっという間に血中のアルコール濃度が上がり、肝臓での分解が追い付かなくなるためにアルコールが残りやすくなります。
そのため、お酒を飲む前に食べ物を食べることで胃への緩衝材を設けておき、ダイレクトに胃へ負担をかけることを防ぐとともに、血中アルコール濃度が急に上がることを防ぎます。
そのため、お酒を飲む前に食べ物を食べることで胃への緩衝材を設けておき、ダイレクトに胃へ負担をかけることを防ぐとともに、血中アルコール濃度が急に上がることを防ぎます。
おわりに
気持ちよくお酒を飲んでいても、次の日に二日酔いでつらい思いをするのはなんだか後味が悪いものです。二日酔いにならないためには、まずお酒の適正量を守ることが大切です。また飲酒と脱水の関係は意外と知られていないことが多いため、お酒を飲んだ後はしっかりと水分補給をするようにしましょう。二日酔いを予防することで、楽しくお酒を飲みましょう。
総合診療医
経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。
資格
医師免許
所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会