はじめに

夏になって気温が高くなると、だるさ・吐き気・疲労・めまいなど身体に不調をきたす人も少なくありません。そのため夏は嫌いな季節と感じる方もいます。なぜこのような症状が現れるのでしょうか? 夏バテの原因を理解して対策しましょう。

本記事を読めば苦手な夏を乗り越えられるかもしれません。

夏バテの症状

暑くなると夏バテになる人が続出します。テレビや新聞などさまざまなメディアでも「夏バテ」という言葉を聞くと思いますが、そもそも夏バテとはどんな症状なのでしょうか。よくわからない方もいるかもしれませんので、夏バテの主な症状からお伝えします。

●夏バテのとき現れる症状一覧

・全身の疲労感
・だるさ
・吐き気
・熱っぽさ
・頭痛
・めまい
・胃もたれ
・食欲不振
・下痢

このような症状がある場合、夏バテの可能性が高いです。ただし、風邪を引いたときや、自律神経失調症のときも似たような症状が現れます。なかなか自分では、夏バテなのか他の病気なのかの判断がつきにくいのですが、夏に前述したような症状が現れた場合は、まず夏バテの可能性を疑ってみましょう。

そして、夏バテとして考えられる症状が回復せず、日常生活に支障をきたすようなら、病院で診察してもうことをおすすめします。

●夏バテの原因
夏バテが起こる原因を症状別にみていくと、次のようになります。

食欲がでない理由は、冷たい物を取り過ぎて、内臓の働きが鈍くなるからです。

疲労感は、暑さにより熟睡ができなかった結果、体力が回復しないからです。

身体がだるくなるのは、室内と野外の気温差によって自律神経のバランスが乱れるからです。

症状ごとに、それぞれ要因がありますが、医学的には、高温多湿の環境下で体温を一定に保とうとして、エネルギーを消費することで起こるといわれています。エネルギーの消耗が大きくとなると、体に負担が大きくかかり、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな夏バテ症状が現れると考えられています。

夏バテで食欲がないときにおすすめの食べ物

夏バテでまったく食欲がでないという方でも、少しでも食べなくては栄養がつきません。そこで、食欲不振のときでも食べやすい食べ物をご紹介します。ポイントは疲労回復効果のある「クエン酸」「ビタミン」を多く含む食品を選ぶことです。

ぜひ普段の食事に取り入れて夏バテ解消に役立ててください。

●夏バテのときお勧めな食べ物

・梅干し
クエン酸を多く含む梅干しは、食欲増進・疲労回復などの効果があります。また、一口で食べやすいのも、食欲不振のときにはありがたいです。

・フルーツ
レモンなどの柑橘類や、キウイ・グレープフルーツ・パイナップル・アセロラ・イチゴなどには、クエン酸やビタミンが豊富に含まれています。

・ニンニク
食欲増進の作用があるニンニクを含む料理がおすすめです。例えば、餃子の具として使われるニンニク・ショウガ・豚肉などには、疲労回復効果のあるビタミンB1が多く含まれています。

・唐辛子
唐辛子を使った料理を食べて汗をかくことも、夏バテ解消に効果があります。

●冷たいものは一気に飲まない
夏場に水分は当然必要ですが、むやみやたらに飲むと胃腸が冷えてしまいます。胃腸が冷えると食欲不振につながるので、ほどほどにしましょう。一気に飲まず、こまめに分けて飲むようにしてください。

身体がだるくなる原因と対策

上の項目でも少しお話ししましたが、夏バテで身体がだるくなる原因と対策についてです。主な原因は「暑さ」と「冷え」の2つです。この気温の差が身体に悪影響をもたらします。自立神経のバランスが崩れ、その結果、身体はだるさを感じるようになります。

暑さ・冷えそれぞれの原因と対策について知りましょう。

●暑さでだるくなる原因
夏場は暑いので大量の汗をかきます。汗が出ることで体から水分が少なくなります。しかし、そこで水分を大量に摂り過ぎてしまうと、胃液が薄まります。その結果、胃の機能が低下してしまいます。胃の機能が低下すると食欲不振と共に、全身に血液が行き渡らなくなるので、体がだるく感じることがあります。さらに栄養が不足することで、だるさに拍車がかかるのです。

●冷えでだるくなる原因
なぜ冷えるとだるくなるのでしょうか? 効きすぎたクーラーによって外気との気温差が広がると、自律神経の乱れを起こし、身体はだるさを感じます。自律神経には、体温・呼吸・消化といった自分でコントロールできない器官のバランスを調整する役割があります。

●だるく感じないための対策

・食事の取り方
食欲不振になりやすいのはわかりますが、1日3食、毎日同じ時間に食べることが大切です。また、冷たい物の摂り過ぎに注意しましょう。

・水分はこまめに取りましょう
汗が流れることで水分がどんどん減っていくので、水分を取るのは大切です。しかし、何度もお伝えしているように、一気に大量に飲むことは厳禁です。こまめに摂るようにしてください。

・部屋を冷やし過ぎない
クーラー温度は、外気との差が5度くらいになるように調節しましょう。差が激しいと、だるくなる原因となります。だいたい26~28度くらいが身体によいといわれています。

まとめ

夏バテの予防と対策について納得していただけましたでしょうか。
夏バテといってもどんな症状のものなのかピンとこなかった、という方も多かったのではなでしょうか。
本記事を参考に夏バテ対策をしていただければ、きっといつもよりも夏が過ごしやすくなるはずです。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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