はじめに

今や「ジュース」と一言で言っても、清涼飲料水や炭酸飲料、カフェイン入りの飲料に、濃縮還元ジュースやストレートジュース……など、様々な種類のジュースがあります。普段何気なく口にする飲み物ですが、これらはすべて太る原因になるのでしょうか?

ジュースは太るの?

結論から言うと、ジュースは太ります。ジュースはお菓子やほかの食べ物よりも、はるかに手軽に、かつ短時間に多くの量を摂取することができるのです。また「ジュースくらい……」と甘く見ている人も多いのではないでしょうか。ですが、特に利尿作用のある飲み物は、体内の水分循環バランスによって飲みすぎてしまうことがあるので注意が必要です。

ジュースで太る原因

ジュースで太る原因としては主に2つあります。

糖質とカロリー

ジュースで特に「甘い」と感じる飲み物は、必ずと言っていいほど多くの「砂糖」が加えられています。冷たければちょうどよい甘さでおいしく飲めても、ぬるくなると甘すぎて飲めない!といった経験はありませんか?冷たいと舌にある味蕾(みらい)という食べ物の味を感じる器官の反応が鈍くなり、多少甘すぎても「ちょうどよい」と感じるのです。特に夏場などはキンキンに冷えたジュースを飲んでいる方も多いのではないでしょうか?

冷たいジュースの飲みすぎで内臓が冷える

冷たいジュースを飲むと、まず胃にジュースが入っていきますが、冷たすぎると胃をはじめとした内臓が冷えてしまいます。内臓が冷えると内臓を冷えから守ろうと、お腹回りに脂肪がついていきます。また身体のあらゆる部分の血流が悪くなり、便秘や下痢などの原因になることもあるのです。さらに内臓が冷えることで、消化するはたらきも悪くなり、基礎代謝が下がってしまいます。そのため、脂肪を蓄えやすく燃やしにくいという、太りやすい体質になってしまうのです。

ジュースのカロリー

今回は、コップ1杯を200mlと計算してカロリーを算出します。

果物ジュース

果物ジュースは、コップ1杯あたり約80~100kcalの計算になります。糖分の量としては約20~25g含まれます。特に同じ100%の果物ジュースでも、ストレートのものより、濃縮還元ジュースには要注意です。こちらは果汁を一度粉末にして製品にするときに水を加えているものですが、この時に砂糖を加えていることがほとんどです。そのため、ストレートジュースよりも糖質が高くなり、カロリーも高めになります。

野菜ジュース

野菜ジュースは、コップ1杯あたり約60~80kcalのものが多く、果物ジュースよりは低カロリーといえます。ですが、野菜ジュースにも様々な種類があります。野菜100%のものから、野菜よりも果物の割合の多いものまでありますが、果物の割合が多いとその分果糖とよばれるブドウ糖の一種の成分が多くなるため、カロリーは高めになります。そのため、その成分はきちんと確認したほうが良いでしょう。

炭酸飲料

炭酸飲料は、コップ1杯あたり約80~100kcalのものが多いようです。また糖分の量としては約20~30g含まれており、こうしてみると、果物ジュースと大して変わらないことがわかります。ですが、炭酸飲料は炭酸が苦みを感じる性質があるため、それを補うために多くの砂糖が使われています。炭酸が抜けるとすごく甘く感じるのはこのためです。

スポーツドリンク

スポーツドリンクは、コップ1杯あたり約25~50kcalで、比較的カロリーが低いことがわかります。ですが、糖分の量としては約8~15g含まれており、3gのスティックシュガーが3~5本入っている計算になります。暑い日や運動後など、汗をかいた後には効率的に水分補給ができる反面、糖分も意外と摂取しているので、飲みすぎには注意が必要です。また、スポーツドリンクには、汗をかいた後の電解質バランㇲを元の状態に戻すように、かなりの塩分も含まれています。そのため、スポーツや汗をかいたりしないのに、スポーツドリンクを飲むのは体に塩分を大量に摂取してしまうことになります。

コーヒー

コーヒー自体は、コップ1杯あたり約8kcalと低カロリーなのですが、入れるものによってカロリーは異なってきます。ミルクを入れると20kcal、砂糖を入れると30kcal、ミルクと砂糖を入れると45kcal、カフェオレで77kcal、ウインナーコーヒーでは115kcalになることが分かっています。そのため、コーヒーの種類によってさまざまなので、甘党の人は砂糖やミルクの入れすぎには注意しましょう。

太りにくいジュース

上であげたジュースから検討すると、濃縮還元ジュースよりはストレートジュース、果物の割合が多いものよりも野菜100%のジュース、炭酸の入っていないジュース、砂糖やミルクの少ないジュース……となります。またスポーツドリンクは比較的太りにくいと言えそうですが、これにも糖分は意外と入っているので、どのジュースにしても、飲みすぎには注意が必要です。

また、最近ではカロリーゼロや糖質ゼロといったジュースも流行していますが、これは実は全くカロリーや糖質が入っていないというわけではなく、砂糖よりも数百倍甘い人工甘味料が含まれている場合がほとんどなのです。人工甘味料なのでカロリーはほとんどないのですが、とにかく甘く、膵臓からインシュリンが出やすくなることは変わりませんので、逆に太りやすくなったり、糖尿病(インシュリンを感知する器官が鈍くなるため)や生活習慣病の原因になることもあります。

また、この人工甘味料を使ったカロリーゼロや糖質ゼロのジュースは、満足感が得られにくいのが特徴です。そのため余計に飲んでしまったり、「カロリーも糖質も0だから大丈夫!」といった余裕が生まれ、その分食事やお菓子をとりすぎてしまうといったことも、太りやすさにつながる原因となります。

太りにくいジュースの量・飲み方

太りにくいジュースでも、日常的に水の代わりとして飲んでいたら太ってしまう原因となります。そのため、どんなジュースでも一日の目安を決めておくことがよいでしょう。

実際にWHO(世界保健機関)が定める摂取量としては、糖分は1日総カロリーの5%未満といわれています。成人の1日に必要なカロリーは、約1800~2200kcalです。これは男女や日ごろの運動量によっても異なります。つまり、糖分の摂取カロリーは90~110kcalまでということになります。そのため果物や野菜のジュース、そして炭酸飲料などは1日コップ1杯程度にしておくのがよいでしょう。

また飲む時間帯ですが、午後3時ころまでにしましょう。あまりに夕方や夜遅くにジュースを飲んでしまうと、消化しきれないまま寝る時間となり、体内に脂肪として蓄積されやすくなります。そのため、ジュースを飲むのであれば、なるべく早い時間帯に飲むことをお勧めします。

まとめ

今まであまりジュースのカロリーについて意識することはなかったかもしれませんが、意外と多くの砂糖が使われており、糖質もカロリーも高いことがわかります。1日に全く飲んではいけないわけではありませんが、自分なりに1日の上限を設けて飲むことをおすすめします。それが将来的に、太りにくい身体づくりや、糖尿病や生活習慣病を予防することにつながります!

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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