はじめに
鏡をじっくり見ていると、ふとした時に「アレ?」と思うことってありませんか?
「こんなところに『しみ』なんてあったっけ?」
「よくみるとこっちにも……」
気付かないうちにいつの間にかできているのが、しみやそばかすです。
見つけた時はショックを受ける方がほとんどでしょう。
しみ・そばかすは肌のトーンを暗くしてしまいますし、年をとった印象を与えてしまいがちです。一旦できてしまったら、もうあきらめるしかないと思っていませんか?
しみ・そばかすができたのに気づいたら、ぜひ皮膚科を受診されることをおすすめします。しみの種類の中には有害なものもあるため、放っておくと危険な場合もあります。
そして、皮膚科ではしみ・そばかすをキレイにするための治療を受けることができるのです!
「こんなところに『しみ』なんてあったっけ?」
「よくみるとこっちにも……」
気付かないうちにいつの間にかできているのが、しみやそばかすです。
見つけた時はショックを受ける方がほとんどでしょう。
しみ・そばかすは肌のトーンを暗くしてしまいますし、年をとった印象を与えてしまいがちです。一旦できてしまったら、もうあきらめるしかないと思っていませんか?
しみ・そばかすができたのに気づいたら、ぜひ皮膚科を受診されることをおすすめします。しみの種類の中には有害なものもあるため、放っておくと危険な場合もあります。
そして、皮膚科ではしみ・そばかすをキレイにするための治療を受けることができるのです!
しみの種類と特徴
しみには良性のものと悪性のものがあります。良性のしみは体に害を与えることはありませんが、万が一悪性であった場合、命に関わるケースもあります。私たちでは良性か悪性かを判断するのはとっても困難です。
そのため、皮膚科を受診することはとても大切なのです!
まずは、しみにはどんな種類があるのかを見ていきます。
そのため、皮膚科を受診することはとても大切なのです!
まずは、しみにはどんな種類があるのかを見ていきます。
1:悪性のしみ
悪性のしみとは、いわゆる「皮膚がん」のこと。
皮膚がんには大きく分けると3種類あります。
・メラノーマ(悪性黒色腫)
・基底細胞がん
・有棘細胞がん
これらはみな、初期ではしみやそばかす、ほくろのような見た目です。がんであるかどうかの見極めには医師の診察と検査が必須です。特にメラノーマは非常に悪性度が高く、転移や死亡リスクがあります。早期に正確な診断を受けて専門的な治療を開始することが求められます。
皮膚がんには大きく分けると3種類あります。
・メラノーマ(悪性黒色腫)
・基底細胞がん
・有棘細胞がん
これらはみな、初期ではしみやそばかす、ほくろのような見た目です。がんであるかどうかの見極めには医師の診察と検査が必須です。特にメラノーマは非常に悪性度が高く、転移や死亡リスクがあります。早期に正確な診断を受けて専門的な治療を開始することが求められます。
2:良性のしみ
皮膚がんなどの悪性のしみと違って、体に害を及ぼすことがないしみです。良性のしみにも種類があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
<肝斑:かんぱん>
ホルモンバランスが原因で起こるとされます。ほほ周辺に左右対称にできるのが特徴です。
<老人性色素斑:ろうじんせい しきそはん>
いわゆる一般的なしみのことです。老人性とついていますが、当然年齢は関係ありません。過剰に紫外線を浴びることが原因のしみです。
<雀卵斑:じゃくらんはん>
そばかすのことです。そばかすは遺伝的な要素が強く、紫外線によって濃くなっていきます。しかし、しみとは反対に加齢によって薄くなっていくという特徴があります。多くは鼻~頬周辺にポツポツと小さな点のようにできます。
<脂漏性角化症:しろうせい かくかしょう>
老人性色素斑(一般的なしみ)が盛り上がってイボのようになった状態です。
<炎症性色素沈着:えんしょうせい しきそちんちゃく>
傷やニキビ跡などが色素沈着を起こしてしまっている状態です。時間はかかりますが、徐々に薄くなっていき、自然に消えていってしまいます。
しみができる原因
しみ・そばかすは種類によってできる原因も異なります。ホルモンバランスや遺伝性、悪性のものは原因が特殊なため、ここでは一般的なしみ(老人性色素斑)ができる原因について説明します。
まずは肌の仕組みを知ろう
私たちの肌は何層も重なり合ってできています。爪や髪が伸びるように皮膚も奥から新しい細胞の層が作られ、古い層を肌の表面に押し上げていきます。やがて一番表面の古い細胞層は寿命を迎え、自然に剥がれ落ちていきます。これを肌のターンオーバーと言います。
一般的にはこのサイクルは約1ヶ月程度です。細胞分裂が盛んな子供ではもっと期間が短く、年を重ねるごとにターンオーバーのサイクルは長くなっていきます。
一般的にはこのサイクルは約1ヶ月程度です。細胞分裂が盛んな子供ではもっと期間が短く、年を重ねるごとにターンオーバーのサイクルは長くなっていきます。
しみの原因①過剰な紫外線
しみの根本的な原因となるのが紫外線です。紫外線は殺菌作用を持つほどの強いエネルギーを持っています。そんな紫外線から私たちの体を守ってくれているのがメラニン色素。日焼けがわかりやすい例です。私たちの肌の中にはメラニン色素をつくりだすメラノサイトという細胞があり、紫外線に反応するとメラニン色素が作られます。
メラニン色素は肌がこれ以上紫外線によるダメージを受けるのを防いでくれるバリアの働きをしてくれるのです。本来は体を守ってくれるとても大切な存在なのです。ところが、紫外線を浴びる量が多すぎると、メラニン色素の生産が追い付かなくなってしまいます。つまり、肌へのダメージが大きくなるということです。すると肌はどんどん弱っていってしまいます。
メラニン色素は肌がこれ以上紫外線によるダメージを受けるのを防いでくれるバリアの働きをしてくれるのです。本来は体を守ってくれるとても大切な存在なのです。ところが、紫外線を浴びる量が多すぎると、メラニン色素の生産が追い付かなくなってしまいます。つまり、肌へのダメージが大きくなるということです。すると肌はどんどん弱っていってしまいます。
しみの原因②肌のターンオーバーの乱れ
加齢や生活習慣の乱れ、過剰な紫外線による肌のダメージなどによって、肌のターンオーバーのサイクルは乱れてしまいます。すると、肌の奥で作られたメラニンがいつまでも剥がれ落ちることなく留まってしまいます。これが「しみ」となってしまう理由です。
皮膚科でのしみ治療の種類と方法
さて、皮膚科を受診して「良性のしみ」であることがわかった場合、一般的にはレーザーもしくは薬での治療がメインで行われます。しみの種類によっても用いられる治療法が異なってきますので、しみの種類ごとに適した治療法を紹介します。
レーザー
メラニン色素に反応するレーザーをしみに照射することで、メラニン細胞を破壊するのがレーザーによるしみ治療です。メラニンをつくるもとの細胞であるメラノサイト自体や、肌の他の細胞を破壊することはありません。
効果が高いのは、老人性色素斑(一般的なしみ)や雀卵斑(そばかす)で、肝斑には効果がないとされています(使用するレーザー治療期の種類によっては肝斑もOKな場合も)。レーザー照射を繰り返し、徐々にしみを薄くしていくのが一般的な治療法です。
効果が高いのは、老人性色素斑(一般的なしみ)や雀卵斑(そばかす)で、肝斑には効果がないとされています(使用するレーザー治療期の種類によっては肝斑もOKな場合も)。レーザー照射を繰り返し、徐々にしみを薄くしていくのが一般的な治療法です。
内服薬
レーザーが体質的に合わない人や、しみが肝斑であった場合、内服薬を用いて治療を行います。主に使用されるのは以下の2種類。
・アスコルビン酸(ビタミンC)
ビタミンCには抗酸化作用があるため、メラニン色素が作られるのを抑えてくれる働きがあります。そのため、しみの改善や予防に効果的です。
・トラネキサム酸(トランサミン)
メラニンもとになるのがメラノサイトという色素細胞です。メラノサイトはプラスミンという物質によってメラニンを作るように促されます。このプラスミンの働きを抑えてくれるのが、トラネキサム酸なのです。
・アスコルビン酸(ビタミンC)
ビタミンCには抗酸化作用があるため、メラニン色素が作られるのを抑えてくれる働きがあります。そのため、しみの改善や予防に効果的です。
・トラネキサム酸(トランサミン)
メラニンもとになるのがメラノサイトという色素細胞です。メラノサイトはプラスミンという物質によってメラニンを作るように促されます。このプラスミンの働きを抑えてくれるのが、トラネキサム酸なのです。
外用薬
しみ・そばかすには塗り薬も有効です。主に使用されているのは2種類。
・ハイドロキノン
簡単に言うと皮膚用の漂白剤です。内服薬が内側からしみにアプローチするのに対して、ハイドロキノンは外側からしみを改善していきます。ただし、長期間の使用によって、白斑(はくはん)という色素の抜けた状態になってしまいます。医師の指導・管理の下で、適切な量と期間のみ使用することが大切です。
・トレチノイン
一般的にはハイドロキノンと一緒に使用されることが多いです。トレチノインはビタミンA誘導体のことで、肌のターンオーバーを促し、ピーリング効果を持っています。
・ハイドロキノン
簡単に言うと皮膚用の漂白剤です。内服薬が内側からしみにアプローチするのに対して、ハイドロキノンは外側からしみを改善していきます。ただし、長期間の使用によって、白斑(はくはん)という色素の抜けた状態になってしまいます。医師の指導・管理の下で、適切な量と期間のみ使用することが大切です。
・トレチノイン
一般的にはハイドロキノンと一緒に使用されることが多いです。トレチノインはビタミンA誘導体のことで、肌のターンオーバーを促し、ピーリング効果を持っています。
皮膚科でのしみ治療の費用と期間
しみ・そばかすには多様なアプローチの治療法が存在しています。それぞれの治療期間やかかる費用は気になるところです。いったいどれくらいの時間とお金が必要になるのでしょう?
しみ・そばかすの治療に健康保険は使える?
医療機関での治療を受ける場合、健康保険証を使用するのが一般的です。健康保険によって、私たちの医療費負担額は低く抑えられています。しみの治療にも健康保険が適用されればとてもありがたい話です。
しかし残念ながら、しみ・そばかすは「病気」ではありません。がんなどにつながる悪性のしみでない限り、しみ・そばかすの存在が健康を害することはないからです。しみ・そばかすを消すのは「見た目」をキレイにしたいという「美容目的」とみなされます。つまり、しみ・そばかすの治療に健康保険は適用することはできません。全額自己負担の自由診療扱いになります。
しかし残念ながら、しみ・そばかすは「病気」ではありません。がんなどにつながる悪性のしみでない限り、しみ・そばかすの存在が健康を害することはないからです。しみ・そばかすを消すのは「見た目」をキレイにしたいという「美容目的」とみなされます。つまり、しみ・そばかすの治療に健康保険は適用することはできません。全額自己負担の自由診療扱いになります。
しみ・そばかすの治療期間
レーザー・内服薬・外用薬のいずれの方法であっても、数日程度でしみを消すことはできません。どの治療法も、根本的には肌のターンオーバーに頼っているためです。もちろん、しみの程度やターンオーバーのサイクルにもよりますが、一般的には最低でも3か月以上の治療期間を必要とします。徐々に薄くなっていくしみの変化を楽しみながら、気長にしみ治療を続けることが大切です。
しみ・そばかすの治療費用
しみ・そばかすの治療には健康保険が適用されません。つまり、医療機関が自由に費用を設定してOKなのです。そのため、同じ治療を受けてもクリニックによって費用に差が出てしまいます。ここでは、各治療の平均的な相場を紹介します。
①レーザー治療の費用
しみのレーザー治療はしみの大きさによって費用が変わってきます。1回の照射でレーザーをあてることができる範囲が決まっているため、しみの大きさによっては一度の施術で数回のレーザー照射が必要になる場合があるためです。
一般的には、
・1回の照射が3,000円~5,000円程度。
・5回程度の照射でしみがキレイになるといわれています。
レーザーによるしみ治療の費用はおよそ20,000円~50,000円程度と考えておけばよいようです。
一般的には、
・1回の照射が3,000円~5,000円程度。
・5回程度の照射でしみがキレイになるといわれています。
レーザーによるしみ治療の費用はおよそ20,000円~50,000円程度と考えておけばよいようです。
②内服薬治療の費用
内服薬の場合、1ヶ月分でおよそ3,000円~5,000円程度が相場。
内服薬は最低でも3か月~半年程度は続ける必要があります。
その場合のトータル費用は10,000円~30,000円程度を見込んでおきましょう。
内服薬は最低でも3か月~半年程度は続ける必要があります。
その場合のトータル費用は10,000円~30,000円程度を見込んでおきましょう。
③外用薬治療の費用
外用薬の治療でも一般的には数か月程度の治療期間を必要とします。しかし、漂白剤であるハイドロキノンだけは要注意です。非常に効果が強いため、一般的には1ヶ月程度が使用の限度です。自己判断で使用せず、必ず医師の指示を守ることが大切です。ハイドロキノンの1ヶ月分の費用の目安としては約3,000円程度が相場です。
いっぽう、もうひとつの外用薬であるトレチノインにも使用期間の定めがあります。約6週間がその目安。
平均的な費用の相場は3,000円~6,000円程度のようです。
いっぽう、もうひとつの外用薬であるトレチノインにも使用期間の定めがあります。約6週間がその目安。
平均的な費用の相場は3,000円~6,000円程度のようです。
終わりに
ドラッグストアなどでも、しみに効果があるとうたっているスキンケア用品が多く販売されています。もちろん、市販品に効果がないというのではありません。ただ、しみ治療を開示する前には「このしみは悪性のものではないのか」判断してもらう必要があります。治療だけでなく、診断のためにも皮膚科の受診は必須なのです。
体に害のないしみであることがわかってから、どのような方法でしみを改善していくかを考えるようにしてください!
体に害のないしみであることがわかってから、どのような方法でしみを改善していくかを考えるようにしてください!
総合診療医
経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。
資格
医師免許
所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会