はじめに

成人期の女性にとって、毎月の月経は切り離せないものです。
ダイエット経験者であれば、月経中は痩せにくい、月経前は太りやすいなどの経験をしたことがあるかもしれません。それらの原因は女性ホルモンのバランスにあります。そのため、女性ホルモンの特徴を理解しておくことがダイエット成功の近道なのです。

今回は、月経周期とダイエットの関係、からだの周期別のおすすめの運動・食事をご紹介します。

生理周期とダイエットの関係

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つがあり、月経周期(※)によって2つのホルモンの分泌量が変化します。

エストロゲンの作用には、
①新陳代謝を向上させる
②自律神経の働きを整える
③女性らしい体を作る
④骨を丈夫にする
などがあります。

プロゲステロンの作用には、
①妊娠維持のために必要な水分を体内に蓄える
②脂肪を蓄える
③食欲を増進させる
④(大腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下するために)便秘になりやすい
などがあります。

※月経周期とは、出血が開始した初日から次回の出血が開始される前日までを言います。月経周期が25日から38日の範囲内であれば正常で、25日未満のものを頻発月経、39日以上のものを稀発(きはつ)月経と言います。

1)低温期とダイエット

(1)低温期とは

低温期とは月経後から排卵日までの期間を言い、基礎体温が低くなる時期です。低温期には、エストロゲンの分泌量がプロゲステロンの分泌量を上回ります。

(2)ダイエットとの関係

低温期はエストロゲンの分泌量が増えるため、ダイエットに適した時期です。
低温期は心身ともに安定した時期のため、ダイエットが成功しやすいです。

2)高温期とダイエット

(1)高温期とは

高温期とは排卵後から月経前までの期間を言い、基礎体温が高くなる時期です。プロゲステロンの分泌量がエストロゲンの分泌量を上回ります。

(2)ダイエットとの関係

高温期はプロゲステロンの分泌量が増えるため、ダイエットには不向きの時期と言えます。
高温期は妊娠した場合に備えた体の変化が起こるため、体重は増えやすくなります。エストロゲンの分泌量が減って精神的にも不安定になりやすいです。

この時期は、現状維持を目標にした食生活・運動を行いましょう。

3)月経期間中のダイエット

月経期間中はプロゲステロン共に分泌量が急激に減り、エストロゲンの分泌量が徐々に増えていく時期に当たります。この時期は、基礎体温が低いために血行が悪くなります。そのため体重を減らすことよりも、高温期と同様に現状維持に勤め、体を温める食事を摂るようにすることが大切です。

低温期のダイエットにお勧めの運動

低温期は心身ともに安定する時期のため、不安的になりがちな高温期や月経期間中よりも運動時間を長めにしたり、激しい運動をするのがお勧めです。具体的には、筋力トレーニング、ジョギング、縄跳び、ウォーキングなどが良いでしょう。

また、ジョギングなどの有酸素運動は筋力トレーニング後に行った方が、運動効果が高まると言われています。時間のない人ほど運動の順序に注意するようにしましょう。

ここでは、室内でできる表層筋の筋力トレーニングをいくつか紹介します。どのトレーニングも呼吸を止めずに行います。

(1)腹筋を鍛える

①上体起こし腹筋(10回)

まず仰向けになり両膝を立てます。両手を太ももに沿わせながら、1から8まで数えながらゆっくり上体を起こします。このとき、おへそを見ながら行います。また1から8まで数えながら元の姿勢に戻ります。まずは10回を目標にしましょう。
難易度を上げたいときは両腕を胸の前でクロスさせる方法、頭の後ろに手を組む方法、両腕を頭の方に伸ばして行う方法があります。
このとき、ゆっくりと行う方が無酸素運動にならず脂肪燃焼効果が高まります。

②脚上げ腹筋(20回)

まず仰向けになり、頭の後ろで両手を組みます。このとき、おへそを覗きこむように頭を上げたままにします。次に下腹部を意識しながら、膝を曲げずに脚を床から40cmほど一気に上げます。床との上下動を1回として20回行います。特に下腹部を引き締める効果があります。

(2)背筋を鍛える

①クロス背筋(左右交互に各10回)

うつ伏せになり両手両足を広げた姿勢から、右腕と左脚を同時に上げ、次に左腕と右脚を同時に上げます。ポイントは、上げていない手足を引っ張られているようにしっかり伸ばすことです。これによってトレーニング効果が高まります。左右交互に10回ずつ行います。背中のラインをすっきりさせる効果があります。

(3)太ももの筋肉を鍛える

①スクワット(10回)

肩幅よりやや広い程度に両足を開いて立ちます。つま先は膝と同じ方向に向けます。背中を反らせすぎず、丸めすぎず注意しながら上体を沈めていきます。このとき膝がつま先より前に出ないようにしましょう。上下動を1セットとして10回行います。太ももの前面・後面の筋肉、お尻の筋肉、ふくらはぎの筋肉のトレーニング効果があります。

②ワイドスタンス・スクワット(10回)

太ももの内側の筋肉を鍛えるため、スクワットよりさらに足を開いて行います。このとき、つま先は45度外側に向けます。上体はまっすぐ立てたまま、上下動を行います。視線は正面を向けましょう。

(4)お尻の筋肉を鍛える

①片脚ヒップリフト(左右各10回)

仰向けになり、頭の後ろで両手を組み、片膝を立てます。お尻の筋肉を意識しながら、伸ばしている方の脚をゆっくり持ち上げていきます。このとき膝とお尻が同じくらいの高さになるようにし、3秒間キープします。その後ゆっくり元の姿勢に戻ります。ここまでを1回として、左右10回ずつ行います。ヒップアップ効果があります。

2)高温期のダイエットにお勧めの運動

高温期は人によっては月経前症候群(頭痛や下腹痛、イライラなどの様々な心身の不調)が現れる時期のため、低温期よりもやや運動強度を抑えたリフレッシュに重きを置いた運動がお勧めです。

具体的には、ウォーキング、体幹トレーニング、エアロバイク、ヨガなどです。大切なのは、どの運動を行うにしても元々の自分の体力に応じて難易度や時間を調整することです。

体幹トレーニングによって胴体部分の深層筋を鍛えることで、安静にしているときや睡眠中でも消費されるカロリーをアップさせる効果が期待できるため、ここでは体幹トレーニング方法をいくつかご紹介します。必ず呼吸を止めずに行ってください。

体幹トレーニング

①プランク(30秒から1分)
まず腕立て伏せのような状態となり、両肘を床につけます。この状態のまま30秒キープします。可能な人は1分間キープしましょう。ポイントはお尻を突き上げず、肩とお尻の高さを同じにすることです。腹筋、背筋などのトレーニング効果があります。
②サイドプランク(左右各30秒から1分)
プランクの横向きバージョンと捉えてください。横向きの状態で片方の肘と足のみでバランスを取り、その他は床から離します。お尻だけが落ち込んだり、反対に天井に突き出ないように注意します。この状態を30秒から1分キープします。反対側も同様に行いましょう。ウエストの引き締め効果があります。

3)月経期間中のダイエットにお勧めの運動

月経期間中は個人差があるものの、だるさ、めまい、下腹痛や腰痛といった様々な不快症状が伴うため、運動よりもこれらの不快症状を軽減するためにできることを優先しましょう。

お勧めなのはストレッチやヨガ、マッサージなどです。ここでは月経痛に効果が期待できるヨガについていくつか紹介します。

(1)骨盤の開きを調整するヨガ

あぐらをかくように股関節を開いて座ります。左右の足裏をぴったり合わせます。左右の膝のどちらがより床から離れているかを確認します。離れている方が苦手な方となります。ここでは右側が苦手だったと仮定して説明します。

まず、左脚はまっすぐ伸ばし、右脚を左膝付近でクロスさせるように乗せます。息を吐きながら、右股関節を開くようにイメージして、右膝をゆっくり8回押します。その後、脚を交代して4回行います。

(2)骨盤の傾きを調整するヨガ

まず横すわりをしてみて、苦手な方(座りにくい方)をチェックしてみましょう。苦手な方を多く行うようにします。右側が苦手だったと仮定して説明します。

横すわりに似たようなポーズ(ただし右脚をLの字にして、内側全体を床につけるようにします)を取ります。まず、両手を頭の後ろで組み、息を吐きながらゆっくり上体を右側に倒していきます。右の脇腹を十分に伸ばしたらゆっくりと元の姿勢に戻ります。これを4回行います。

次に、両手は頭の後ろで組んだまま、いったん息を吸い、ゆっくり吐きながら上体を右側にねじります。同じように左側にもねじります。左右4回ずつねじります。

今度は反対側に横すわりをします。上記の動作を2回ずつ行います(2回左側に倒す、2回ずつ左右にねじる)。
このポーズでは骨盤周辺の筋肉の凝りをほぐして血行をアップさせます。肩こりや腰痛にも効果があります。

(3)腰のねじれを取るヨガ

脚をまっすぐ伸ばして、背筋を伸ばして座ります。手を頭の後ろに組んで左右に上体をねじってみます。これも苦手な方を多く行います。左側がねじりにくかったと仮定します。

まず、左膝を立てて、右脚をまたいで交差させます。右腕で左膝を外側から押し、骨盤を締めるように左後方に上体をねじります。この姿勢のまましばらく自然な呼吸を行います。その後、息を吐くタイミングに合わせて上体の力をふっと抜き、立膝の上に額を乗せます。そのまましばらく静止します。ここまでを1回とします。

左側にねじる動作は4回、右側にねじる動作は2回行います。
このポーズは背骨のねじれを取り、緩んでいた骨盤を引き締めて歪みを取る効果があります。骨盤の歪みが調整されると、子宮や卵巣など骨盤内にある臓器への血流がスムーズになり、月経痛が軽減されます。さらにホルモンバランスを整える効果もあるため、更年期障害にも良いとされます。

低温期のダイエットにお勧めの食生活

低温期は、水分や糖分を溜め込みやすい状態から一時的に開放される期間です。暴飲暴食はお勧めできませんが、外食や飲み会、月に1度の自分へのご褒美を設けるのであればこの時期にしましょう。ただし、油断してリバウンドをしないように気をつけましょう。
高温期はプロゲステロンの分泌量が増えることによって食欲が増す上に、摂取した水分・糖分・脂肪分を蓄えやすい状態になっています。空腹によるストレスからつい食べすぎてしまうため、高温期は空腹時間帯、つまり血糖値の低い時間帯を短くすることがポイントです。そこで、血糖値が低い状態を作らないコツをご紹介します。

高温期のダイエットにお勧めの食生活

High Angle View Of Chicken ...

High Angle View Of Chicken Curry With Rice In Bowl

高温期はプロゲステロンの分泌量が増えることによって食欲が増す上に、摂取した水分・糖分・脂肪分を蓄えやすい状態になっています。空腹によるストレスからつい食べすぎてしまうため、高温期は空腹時間帯、つまり血糖値の低い時間帯を短くすることがポイントです。そこで、血糖値の乱高下(短期間のうちに激しく上下に変化すること)や低い状態を作らないコツを紹介します。

(1)早食い・どか食いをやめる

食べるスピードが早いと、脳内の満腹中枢が刺激される前に食べすぎてしまいます。
そのため、どかぐい・早食いは避けて、1日5食~6食程度の分割食にすると良いでしょう。また、一口分だけ口に食べ物を入れたら、休憩を取るつもりで箸を置くのも方法の一つです。
すると、血液中の血糖値の乱高下を防ぐことができます。

(3)食物繊維の多い食材から食べ、炭水化物は最後にする

血糖値の乱高下を防ぐために、食事の際に食材を取る順序に注意すると良いでしょう。
食物繊維の多い食材から食べ、炭水化物は最後にします。

月経期間中のダイエットにお勧めの食生活

月経期間中は血行が悪くなりやすいため、体を温める食材を積極的に摂るように心がけましょう。ここでは体を温める食材と冷やす食材の両方を紹介します。

(1)体を温める食材

体を温める食材の特徴は、黒・赤・黄色・オレンジ色など濃い色であること、寒い地方でできること、冬に旬を迎えること、地面より下にできることの4つです。

①体を温める肉
体を温める肉は、牛肉、鶏肉、鶏レバー、羊肉(ラム)、赤身の肉などです。

②体を温める魚介類
体を温める魚介類は、鮭、マグロ、サバ、イワシ、さんま、ちりめんじゃこ、ホタテ、明太子、昆布、ワカメなどです。

③体を温める野菜
体を温める野菜は、かぼちゃ、生姜、にんじん、長ネギ、玉ねぎ、ごぼう、レンコン、ニラ、にんにく、フキなどです。

④体を温める果物
体を温める果物は、リンゴ、ぶどう、さくらんぼ、桃、オレンジ、プルーンなどです。

⑤体を温める調味料
体を温める調味料は、塩、味噌、しょう油、唐辛子、ラー油、こしょう、酒などのしょっぱいもの・辛いものに多いのが特徴です。

⑥体を温める飲み物
体を温める飲み物は、紅茶、ココア、ココナッツミルクなどです。

(2)体を冷やす食材

体を温冷やす食材の特徴は、白・青・緑色など薄い色であること、熱い地方でできること、夏に旬を迎えること、地面より上にできることの4つです。

①体を冷やす肉
体を冷やす肉は、馬肉、豚肉などです。

②体を冷やす魚介類
体を冷やす魚介類は、うなぎ、しじみ、あさり、ウニなどです。

③体を冷やす野菜
体を冷やす野菜は、ナス、きゅうり、レタス、キャベツ、白菜、ほうれん草、トマト、もやし、大根などです。

④体を冷やす果物
体を冷やす果物は、バナナ、パイナップル、みかん、すいか、柿、梨、キウイ、メロンなどです。

⑤体を冷やす調味料
体を冷やす調味料は、白砂糖、酢、マヨネーズ、ドレッシングなどのすっぱいもの・甘いものに多いのが特徴です。

⑥体を冷やす飲み物
体を冷やす飲み物は、コーヒー、牛乳、緑茶、清涼飲料水(砂糖が含まれるため)などです。

まとめ

今回は、月経周期とダイエットの関係、からだの周期別のおすすめの運動・食事をご紹介しました。
ご紹介したように、女性ホルモンとダイエットには密接な関係があります。
低温期、高温期、月経期間それぞれの特性を理解し、からだに無理のない運動や食事を行いましょう!

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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著者

ケアくるLINE@