はじめに

肥満を解消するために食事療法や運動療法を行っている方もいるかと思います。食事や運動をしても体重が落ちにくい時は、漢方薬の力も使って肥満解消に励んでみてはいかがでしょうか?今回は、漢方薬の効果を発揮するための飲み方などについて紹介します。

肥満の定義

肥満とは、体重が標準より重いだけではなく、体内の体脂肪が過剰に蓄積された状態を言います。体脂肪を測定するためには、BMI(Body Mass Index)が用いられるのが一般的です。

BMIの計算の方法は、BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}計算します。
例えば、慎重が160cmで体重が50kgの場合は、50÷1.6÷1.6=19.5でBMIは19.5となります。

肥満はBMIで出した値で決めますが定義は以下のようになります。

25~30未満 1度の肥満
30~35未満 2度の肥満
35~40未満 3度肥満
40以上 4度の肥満

性別に関わらず、BMIが25以上から肥満と定義されています。

肥満タイプ別おすすめ漢方

一言に肥満と言ってもりんご型肥満(内臓脂肪型)、洋なし型(皮下脂肪型)のタイプがあります。りんご型は、男性に多く見られる体型で、お腹が突き出たような体型になります。内臓の周囲に脂肪が蓄積されるため高血圧や心臓・脳疾患など生活習慣病にかかりやすくなります。

洋なし型は、女性に多く見られ、下腹部や太ももなど下半身を中心に脂肪がつきます。ホルモンバランスや水分の代謝が悪く、肥満になってしまうことがあります。

このように肥満の原因には、食べ過ぎや運動不足、基礎代謝の低下、ホルモンの異常などがあります。ここでは、タイプに合わせた漢方薬を紹介します。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)/ りんご型肥満

防風通聖散は、18種類の生薬成分を配合した肥満治療に用いられている漢方薬です。体力があり、お腹の周りに脂肪が蓄積され、更に便秘がちな方に適した漢方悪です。特に大黄(だいおう)や芒硝(ぼうしょう)は便秘に効果的な生薬成分です。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)/ 洋ナシ型

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体力が中程度で水分代謝が悪く、余分な水分が蓄積されて、水太りを起こしやすい方に最適な漢方薬です。6種類の生薬成分が代謝を促し浮腫みなどを解消してくれます。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)/ 洋ナシ型

牛車腎気丸も肥満解消に効果的な漢方薬です。10種類の生薬が血流を改善して代謝を良くしてくれます。また水分排泄を促す作用もあるので浮腫みなども改善してくれます。

肥満解消に効果のある漢方の飲み方

漢方薬は穏やかな作用でゆっくり効くのが特徴です。肥満の原因は運動不足や外食やカロリーの高い食事の摂取、ストレスなどさまざまですが、体質などが関係していることもあります。脂肪が体に溜まりやすい方の場合、漢方薬を飲むことで体質が改善されて肥満を解消することができます。

効果を発揮するためには漢方薬を適切に飲むことが大切ですが、脂肪を解消するための飲み方を紹介します。

内服する時間

風邪薬などの薬剤は胃の負担を軽減するため食後に飲むことがほとんどです。漢方薬の場合は、薬を吸収しやすくするために食間など空腹時に飲むのが良いと言われています。食間とは、食事と食事の間の時間のことで、食後2時間後を目安に内服するようにします。また食事の30分前などに飲むのも良いでしょう。毎日、決まった時間に飲むようにすると効果が得られやすくなります。

規則正しい生活

夜更かしなど不規則な生活は漢方薬の効果が十分に発揮できない原因となります。また偏った栄養なども薬の吸収が悪くなる原因となります。早寝早起きを心がけ、野菜や穀物などバランス良く食べるようにしてください。

適度な運動

漢方薬を内服するだけでは、効果を発揮することはできません。内服しながら運動療法を行うと効果的です。ウォーキングなど負担にならず毎日続けられる運動から始めてみましょう。

肥満解消のために漢方を飲む時の注意点

漢方薬は体質や体格などを目安に選ぶので、自分の体質を把握することが大切です。漢方薬は生薬由来で安全性が高いと言われていますが、体質に合わないものを内服すると吐き気や下痢、胃部不快感、頭痛など副作用を起こす恐れがあります。

安全性の高い漢方薬でも自分に合ったものを飲まないと効果が得られないだけではなく、体調不良の原因となります。また、他の漢方薬と併用して飲むのもおすすめできません。併用したい場合は、医師や薬剤師など専門家に相談してから内服するようにしてください。

漢方薬を購入するときは、薬剤師のいる薬局やドラックストアなどで相談しながら選ぶことをおすすめします。購入する時は、体質や体の状態、生活習慣、他に内服している薬があれば必ず伝えるようにしてください。

おわりに

肥満を解消するためには運動や食事療法と合わせて漢方薬を飲むのも効果的です。漢方薬は薬剤と異なり効果が実感できるまでに、時間がかかります。焦らず毎日続けることが大切です。

漢方で肥満を解消しましょう!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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