はじめに

今や、毎日スマートフォンやパソコンを使うことは当たり前の世の中になってきています。

現代人は自分でも気が付かないうちに目を酷使していて「眼精疲労」が溜まりやすい環境にあります。眼精疲労になる原因にはさまざまなものがあります。
また、眼精疲労が原因で目以外の箇所にも不調をきたす可能性があります。
目に疲れを感じたら症状を悪化させないためにも眼精疲労について知って早めに対処するようにしましょう。

眼精疲労になる原因

眼精疲労の原因はスマートフォンやパソコンなど目を酷使することで起こる病気だと思われる方もいますが、実はその他にも眼精疲労を患う原因があることをご存じですか?眼精疲労の原因は主に4つあります。では、どのようなことが原因で眼精疲労になるのでしょうか?

1.生活環境

今までは仕事でパソコンを使う方が眼精疲労を引き起こす方が多かったのですが、近年スマートフォンやタブレットの普及により、私生活でも目を酷使する機会が増えたため眼精疲労による患者数は増加しています。

2.目の病気

目の病気の一種である「近視」「乱視」「老眼」が進行すると、ピントを合わせようとして目を凝らすようになります。すると眼球の中にある水晶体の厚さを調節する筋肉が緊張した状態が続くため、眼精疲労の原因になります。

また、40代を過ぎて老眼が進行することも眼精疲労の原因にもなります。その他にも「緑内障」「白内障」「斜視」などさまざまな目の病気が原因で眼精疲労になります。

これらの目の病気以外にも「ドライアイ」が原因となる場合があります。
ドライアイとはスマートフォンやパソコンを使うことで目を酷使している場合、眼球の表面が乾燥する病気です。ドライアイになると涙の量や質が低下し、目の表面に傷ができます。そのことにより目に疲れなどを感じるようになります。

3.体の病気

眼精疲労は体の病気が原因でなることがあります。
例えば、「風邪」「インフルエンザ」で体力が落ちているときにも眼精疲労の症状が出ます。

また、「シックハウス症候群」という新築、改築したばかりの家に居住したときなどに、建材や内装材から出るホルムアルデヒドという化学物質が原因で起こる病気の症状のひとつにも眼精疲労が含まれます。

それ他にも「虫歯」「歯周病」「耳や鼻の病気」「更年期障害」「自律神経失調症」などの病気も眼精疲労を引き起こします。

4.精神的ストレス

ストレスが溜まると不安感やイライラなど精神的な影響だけではなく、体にも影響を及ぼします。その体に現れる症状のひとつに眼精疲労があります。
眼精疲労になる原因は主にこの4つですが、1つだけでは眼精疲労を引き起こすことはあまりありません。しかし、これらの原因が複数重なると眼精疲労を引き起こすだけでなく、症状を悪化させることがあります。

目だけでなく体にも現れる眼精疲労の症状

眼精疲労の症状は目以外にも体に症状が出る場合があります。
体に出る症状とはどのような症状なのかをご説明します。

首や肩の凝り

目を使いすぎると目の周りにある筋肉が疲れます。
その状態が続くと、首や肩も凝るようになりさらに血流も悪くなります。

頭痛

目を使いすぎて首や肩が凝り血流が悪くなることで、頭への周る血流も同じく悪くなるため頭痛を引き起こします。

吐き気やめまい

目を使ってPC画面などを閲覧していると体はほとんど動かす機会を失います。また目の周辺の筋肉も緊張状態になるため交感神経の働きが強まります。そのため血管が収縮し血流が悪くなります。
また、交感神経の働きが強まったことで自律神経のバランスが乱れるため、吐き気やめまいの症状を引き起こします。

胃腸の不調

目を使いすぎることで、体はストレスを感じ、交感神経の働きを強めます。そして血流の滞り、自律神経の乱れから胃腸の不調を引き起こし消化不良を起こします。
上記の他に、精神面でも症状が現れることがあります。
・睡眠障害
・不安感
・抑うつ

これらの症状は自律神経のバランスが悪くなるため引き起こします。

このように体内はすべてつながっていて連鎖反応を起こす可能性があるのです。目を酷使することは体全体に不調をきたす原因にもなるので、意識して目を休めることが大切です。

眼精疲労に効果がある対処法

眼精疲労は目の周りの筋肉に負担がかかることが原因のひとつであることをわかっていただけましたか?
つまり、目の周りの筋肉をほぐすことによって眼精疲労の症状を軽減することができます。
眼精疲労に効果のある対処法をいつかご紹介します。

ツボ押し

目の周りの筋肉をほぐすツボを刺激することで、血行が良くなり目の疲れを解消できます。


<清明(せいめい)>
目の疲れに効果が高いといわれるツボです。
「清明」は、目頭の脇にあります。
目が疲れたときに目頭の脇を押さえたことはありませんか?その場所が「清明」です。目の疲れによく効くといわれるツボなので、目の不調を感じたときはこのツボを押すとよいでしょう。

<四白(しはく)>
目の充血や痛みを改善したりけいれんを抑えるツボです。
「四白」は黒目の真下から指1本分下にある小さなくぼみにあります。
このツボを押すことで、目の充血や痛みを改善し、まぶたのけいれんを抑えることができます。

<攅竹(さんちく)>
目のカスミなどを改善するツボです。
「攅竹」は眉頭を指で触ったときに、少しへこんでいるところにあります。
このツボを押すことで、目のかすみだけでなく視界のぼやけを改善することができます。

<太陽(たいよう)>
眼精疲労による頭痛などに効果のあるツボです。
太陽はこめかみのあたりに指を置いた状態で歯を動かしたとき動くところにあります。このツボを押すと、眼精疲労による頭痛やめまい、目のかすみに効果があります。

ツボ押しする際は、気持ちよく感じる強さで押しましょう。そして、約5秒間を各3回を目安に押してください。目の周りの皮膚はデリケートなため強く押したり、こすると傷つく可能性もありますので注意しながら行ってください。

まばたき体操

まばたき体操は、まばたきをすることによって目の筋肉を動かし、凝り固まった目の筋肉をほぐすことができます。この体操は、瞬きの回数を強制的に増やすので、目を潤すことができ、ドライアイにも効果があります。

<まばたき体操の手順>
1.まぶたをギュッとかたく閉じる
2.その後、まぶたをパッと開く

この2つの手順を1セットとし、1度に20回連続で行うようにします。この体操は、場所を選ばず試すことができるので、目の疲れを感じたらその都度行ってください。

目元を温める

目元を蒸しタオルやホットアイマスクで温めると、目の周りの筋肉をほぐすことができ、眼精疲労の症状を軽減することができます。また、目元を温めるとリラックス効果もあります。

<目元を温める手順>
1.フェイスタオルなどを水でしっかり濡らし、水分が残るように少し緩く絞る
2.電子レンジで30秒~1分間温める
3.まぶたにおいても熱くない程度の温度に冷ます
4.蒸しタオルを目を閉じてまぶたに置き約10分間そのまま休む

目元を温める方法で注意することは、レンジで温め熱くなったタオルを人肌より少し熱い程度まで冷ますことです。熱くても冷たくても効果は見込めません。また、熱過ぎるとやけどの原因にもなるので注意しましょう。

自分に合ったメガネなどを使う

眼精疲労になる理由のひとつに、自分の視力に合わないメガネを使っていることが原因の場合があります。
メガネやコンタクトをしている人は1年に1度、自分の視力と度数が合っているかをチェックすることが大切です。
また、今までメガネをしていない人でも字や標識などが見づらいと感じたら、眼科で視力検査を行い、必要であれば眼鏡を作ることも目の負担を軽減することにつながります。
これらは眼精疲労を改善させる対処法として試されている方法です。
上記以外にも目によいとされるサプリメントを飲んだり、ブルーベリーなど目の疲れの回復に効果的な栄養素を含む食事で改善を行う場合もあります。
しかし、これらの対策法は症状が重くなる前にする必要があります。症状が重い場合は、無理をせず病院に受診するようにしましょう。

まとめ

眼精疲労が原因で体の他の部位に不調が出た場合、長引く可能性もあるので早目に対処することをオススメします。
日頃から目の疲れを感じたら休息をとり、眼精疲労にならないように心掛けましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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