はじめに

原因もわからないかゆみが増えたってことありませんか?
自分の体質ってなかなか理解しているようでわかっていないものです。
私たちの体は正直ですので、本人の自覚なく異常が起きると症状として現れます。
「脂漏性皮膚炎」は清潔にしているだけでは防止できない病気です。そして誰しも避けたいと思う脂漏性脱毛症を起こすきっかけとなるものです。
しっかりとした知識を持って、予防または程度の軽いうちに治しましょう。
脂漏性皮膚炎と脂漏性脱毛症をわかりやすく解説いたします。

脂漏性皮膚炎が始まってから脂漏性脱毛症に至るまで!

頭皮に生じる湿疹の半分以上が脂漏性皮膚炎といわれます。
脂漏性皮膚炎はだいたいが成人に見られますが、頭皮や耳の後ろに生じる脂漏性皮膚炎は赤ちゃんにも見られます。

私たちの体の毛穴には、皮脂腺が存在しています。とくに皮脂を多く分泌している部位は、脂漏部位と呼ばれています。頭皮全体、髪の和え際、耳の後ろ、眉、小鼻脇、そのほかわきの下や前胸部など挙げられます。

この部分に過剰に皮脂が分泌され、生じる炎症が脂漏性皮膚炎となり、かゆみなどの症状を伴います。
治癒してもまた繰り返されることもあり、治療せずに放置することで頭皮へのダメージが生じ脱毛まで発展してしまったものが脂漏性脱毛症となります。

脂漏性脱毛症になるまでのメカニズム

皮脂の分泌が過剰に起きることがベースになりますが、皮脂はもともと不必要なものではありません。皮膚の乾燥を防がなければ皮膚の元となる細胞も守ることができないからです。

しかしその皮脂の分泌が多くなってしまうと、常在菌であり真菌の一種であるマセラチア菌がこの皮脂を分解して栄養とします。この分解する過程で酵素リパーゼが産生されます。このリパーゼとともに、分解されて皮脂の形が変わって生じる遊離脂肪酸が、炎症を起こす原因ともいわれています。

頭皮で炎症が起きるとその部分の血流が悪くなり、毛根を維持させる機能が落ちてしまい脱毛となります。しかしそれだけではなく毛髪を作り出す栄養が細胞に行きわたらなくなると、抜けた後からも新たな毛髪が生えてこなくなるという結果になります。

脂漏性皮膚炎の症状と脂漏性脱毛症の特徴

脂漏性皮膚炎は男女どちらにも生じる炎症ですが、割合にして男性が女性の2倍の発症率を占めます。
発症しやすい時期は汗をたくさんかく夏よりも乾燥しがちな冬に多く見られるというのも特徴の一つです。

頭皮の炎症症状として赤みとかゆみを伴い、知らず知らずのうちに掻いてしまうと炎症がひどくなるので、皮膚の表面からベタベタした浸出液がでたり、逆に厚くごわごわした硬さを持ち、乾燥したようにポロポロと皮膚が剥がれ落ちるフケとなります。

また赤ちゃんの脂漏性皮膚炎では、黄色いカサブタができますが、毛穴の未発達と生後数カ月間に起こる盛んな皮脂分泌が原因ですので、成長に伴ってそれらが解決されると症状は治まります。

一方成人分野で脱毛まで進行してしまうと、AGAとの脱毛とは異なった症状があります。
AGAは側頭部や頭頂部の脱毛から始まる特徴に対して脂漏性脱毛症は炎症が起きた部分の脱毛ですので、進行に規則的な内容がないということと、AGAのように脱毛前や途中で細くなるような髪質の変化がないことが特徴として挙げられます。

脂漏性脱毛症につながる脂漏性皮膚炎の原因とは!

炎症を起こすことで脂漏性皮膚炎は生じますが、根本となる原因は皮脂の過剰分泌です。
そして分泌を多くする原因となるのが、動物性脂肪の摂り過ぎや皮脂を抑える働きをするビタミンなどの欠乏。
食べ物による影響だけではなく、ストレス蓄積などの生活習慣からも原因は掘り出されます。
ほかには、脂漏性皮膚炎を起こすといわれる病気が原因となることもあります。
肝臓の病気や糖尿病、腸内環境の悪化なども挙げられます。

脂漏性脱毛症の予防は、まず脂漏性皮膚炎の治療から

皮膚炎は原因によってあるいは進行過程によって病名分けされますが、脂漏性皮膚炎の診断基準のほとんどは症状の診察で判断されます。しかし白癬やカンジダと区別するには顕微鏡検査も用いられます。

治療方法では、炎症をおさえる効能があるステロイド(副腎皮質ホルモン)の塗り薬を使用しますが、副作用が強いため長期にわたって使用した後に中止するとリバウンドが起きたり、色素沈着などが起きやすくなります。

その他には、抗真菌薬の効果が認められてきたので、ケナコゾールやニゾラールという薬剤も使用されます。
内服薬ではビタミン剤も用いられます。
洗髪にも刺激のあるシャンプーではなく抗真菌薬と同じような働きをする成分配合の製品などを紹介されることもあります。

まとめ

病院で処方された薬剤で炎症をおさえ脱毛にも歯止めをかけたとしても、そこで終わりではありません。
皮脂の分泌は永遠に繰り返されるものですので、その分泌の調節をしていかなければなりません。

日常生活において自己管理をしてこそ脂漏性皮膚炎から離れることができるのです。脂漏性脱毛症までになってしまうと今度は、皮脂だけではなく毛髪の手入れまで行わなければならなくなりますので、深刻になる前から自己管理しましょう。

バランスはもとよりビタミンB群をたっぷり摂りいれた食事、アルコールも適度に抑えるような食生活の工夫。ストレスをためないようなリフレッシュ時間を持つことも大切です。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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