海外で活躍する鍼灸師たち:第3回 フィリピン・セブ編 金澤 一昌先生 - 【ケアクル】
日本からは直行便で所要時間わずか4時間40分程度と気軽に行けるセブ島は、リゾートと留学が融合した国際色豊かな街。セブ市内では、ショッピングモールや複合施設の開発が進んでおり、観光目的でも留学中でも不自由なく生活することができます。また、空港やビーチリゾートが軒を連ねるマクタン島へは、セブ市内から車で約30分。週末にはマリンスポーツを楽しむこと可能です。セブ島の人々は、おおらかで明るい性格の人が多く、治安面に関してもフィリピンの中では安全度が高いと言われています。そんなセブ島の一角で、日本鍼灸を受けることができる治療院がオープンしました。治療院にお邪魔して、鍼灸治療をされている金澤一昌先生にお話を聞いて来ました。
ニュージランドに行くことになった経緯
ケアクル編集部(以下、ケアクル):まずはなぜ鍼灸師という職業を選んだんですか?
末吉由希先生(以下、末吉):もともとマッサージをするのが好きで、中学校の時とか。だから、そういう感じの仕事がいいなと思っていました。ただ、リラクゼーションのみでは国家資格ではないから、なんかこう不安定だな思って探したら、鍼灸師、柔整師っていうのが当時出てきて、それなら鍼灸師の方が、興味あるかなって思って、鍼灸師になりました。
ケアクル:その前から働いていたんですか?
末吉:私は長崎出身なのですが、工業高校を出た後、2−3年、造船所で働いてました。
ケアクル:え?造船所ですか
末吉:就職難の時代だったので、女子の就職口があまりなかったので造船所だったんです。 それで造船所で働いて、お金貯めて、福岡にある専門学校に行き、国家試験通って卒業後すぐ、東京に出てきて、東京衛生学園臨床教育専攻科に入学しました。その時に、長崎に専門学校を開設する予定があり、教員を欲しがっていて、長崎出身の人材で教員の免許をとって、戻ってきてくれる人がいないかということで、福岡の学校には、自分も含めて3人長崎出身の人がいましたが、他の人は行かなかったので、「じゃぁ、私行きます」ということで、そのまま教員養成科に行くことになりました(笑)。その後、長崎に帰って、教員になりました。
ケアクル:鍼灸学校で教員もやられていたんですね?
末吉:はい。合計4年です。
ケアクル:それでは、どうしてニュージーランドに行くことになったんですか?
末吉:きっかけは、ワーホリ(ワーキングホリデー)です。前から海外で生活してみたいというのがあって、その当時30歳でギリホリだったから。行くなら、もう今しかないということでワーホリに行くことに決めました。 ニュージランドに決めたのは、英語圏に行きたくて、年齢的に受け入れてくれるのが、ニュージーランドかイギリス、カナダだったのですが、カナダは寒いって聞いて却下してみたものの、結局今住んでいるところもまぁ寒いっていうオチでしたけどね。ニュージーランドって響きが暖かいってイメージで思い込んでいたのと、日本から遠すぎないという理由で、決めちゃいました。 後は、ビザです。カナダとかイングランドはもしかしたら、(ビザが)取れないかもしれないとか、待たなくてはいけないとか、すぐにビザが取れるか微妙だったんです。申請したからってすぐにビザをもらえるわけではないのですが、ニュージーランドだったらほぼほぼ100%ワーホリビザは取れるって聞いたので、ニュージーランドに決めました。
ケアクル:ギリホリってなんですか?
末吉:年齢ギリギリでワーキングホリデーに行こうとする人をギリホリって言うんです。(笑)
ケアクル:ワーキングホリデーに行くと決めて、実際に行くまでにはどれくらいかかりました?
末吉:行きたいなって思い始めてから、7〜8ヶ月くらいかな。教員はワーホリを行くことを決めて辞めたんですが、4月に学校退職して、9月に出発したので、やっぱり準備に半年ちょっとはかかってますね。
ケアクル:ワーキングホリデービザで行って、その後、鍼灸師として働くことになったんですね?
末吉:ニュージランドのクイーンズタウンでワーホリを開始しました。最初三ヶ月は語学学校で、そこから四ヶ月くらい、映画のメイキャップの仕事している日本人のところで、家の家事手伝いみたいなことをして働きました。その後、ワーホリ期間中は実はタイマッサージ屋さんで働いてました。実はそこからが大変で。。もうちょっとニュージーランドに滞在したいと思った時に、ワークビザが必要になりました。
ケアクル:最初はもうちょっと滞在したいがきっかけだったんですね?
末吉:そうなんです。ワークビザを取るためには、スポンサーになってくれる仕事場が必要となったので、鍼灸に限らずいろんなところにCVを出したんだけれども、ダメでした。クイーンズタウンには2件、鍼灸院があって、2件とも、日本でいう全日本鍼灸学会のようなものに所属して、国の保険を使える資格を取ったら、雇ってあげるよと言われました。 そこに所属するためには、日本での鍼灸師免許があればあとは試験に合格すればよかったのですが、その試験の準備とビザが切れるのとほぼ同じくらいだったので、一回、普通のVisitor Visaに切り替えて、その間に試験を受けて、合格とって、その後、ワークビザを取得しました。 怒涛でしたね。
末吉由希先生(以下、末吉):もともとマッサージをするのが好きで、中学校の時とか。だから、そういう感じの仕事がいいなと思っていました。ただ、リラクゼーションのみでは国家資格ではないから、なんかこう不安定だな思って探したら、鍼灸師、柔整師っていうのが当時出てきて、それなら鍼灸師の方が、興味あるかなって思って、鍼灸師になりました。
ケアクル:その前から働いていたんですか?
末吉:私は長崎出身なのですが、工業高校を出た後、2−3年、造船所で働いてました。
ケアクル:え?造船所ですか
末吉:就職難の時代だったので、女子の就職口があまりなかったので造船所だったんです。 それで造船所で働いて、お金貯めて、福岡にある専門学校に行き、国家試験通って卒業後すぐ、東京に出てきて、東京衛生学園臨床教育専攻科に入学しました。その時に、長崎に専門学校を開設する予定があり、教員を欲しがっていて、長崎出身の人材で教員の免許をとって、戻ってきてくれる人がいないかということで、福岡の学校には、自分も含めて3人長崎出身の人がいましたが、他の人は行かなかったので、「じゃぁ、私行きます」ということで、そのまま教員養成科に行くことになりました(笑)。その後、長崎に帰って、教員になりました。
ケアクル:鍼灸学校で教員もやられていたんですね?
末吉:はい。合計4年です。
ケアクル:それでは、どうしてニュージーランドに行くことになったんですか?
末吉:きっかけは、ワーホリ(ワーキングホリデー)です。前から海外で生活してみたいというのがあって、その当時30歳でギリホリだったから。行くなら、もう今しかないということでワーホリに行くことに決めました。 ニュージランドに決めたのは、英語圏に行きたくて、年齢的に受け入れてくれるのが、ニュージーランドかイギリス、カナダだったのですが、カナダは寒いって聞いて却下してみたものの、結局今住んでいるところもまぁ寒いっていうオチでしたけどね。ニュージーランドって響きが暖かいってイメージで思い込んでいたのと、日本から遠すぎないという理由で、決めちゃいました。 後は、ビザです。カナダとかイングランドはもしかしたら、(ビザが)取れないかもしれないとか、待たなくてはいけないとか、すぐにビザが取れるか微妙だったんです。申請したからってすぐにビザをもらえるわけではないのですが、ニュージーランドだったらほぼほぼ100%ワーホリビザは取れるって聞いたので、ニュージーランドに決めました。
ケアクル:ギリホリってなんですか?
末吉:年齢ギリギリでワーキングホリデーに行こうとする人をギリホリって言うんです。(笑)
ケアクル:ワーキングホリデーに行くと決めて、実際に行くまでにはどれくらいかかりました?
末吉:行きたいなって思い始めてから、7〜8ヶ月くらいかな。教員はワーホリを行くことを決めて辞めたんですが、4月に学校退職して、9月に出発したので、やっぱり準備に半年ちょっとはかかってますね。
ケアクル:ワーキングホリデービザで行って、その後、鍼灸師として働くことになったんですね?
末吉:ニュージランドのクイーンズタウンでワーホリを開始しました。最初三ヶ月は語学学校で、そこから四ヶ月くらい、映画のメイキャップの仕事している日本人のところで、家の家事手伝いみたいなことをして働きました。その後、ワーホリ期間中は実はタイマッサージ屋さんで働いてました。実はそこからが大変で。。もうちょっとニュージーランドに滞在したいと思った時に、ワークビザが必要になりました。
ケアクル:最初はもうちょっと滞在したいがきっかけだったんですね?
末吉:そうなんです。ワークビザを取るためには、スポンサーになってくれる仕事場が必要となったので、鍼灸に限らずいろんなところにCVを出したんだけれども、ダメでした。クイーンズタウンには2件、鍼灸院があって、2件とも、日本でいう全日本鍼灸学会のようなものに所属して、国の保険を使える資格を取ったら、雇ってあげるよと言われました。 そこに所属するためには、日本での鍼灸師免許があればあとは試験に合格すればよかったのですが、その試験の準備とビザが切れるのとほぼ同じくらいだったので、一回、普通のVisitor Visaに切り替えて、その間に試験を受けて、合格とって、その後、ワークビザを取得しました。 怒涛でしたね。
ニュージーランドの鍼灸事情
ケアクル:所属が必要な団体とはどんな団体なんですか?
末吉:私が所属しているのは、以前から名前が変わって、今は”Acupunture NZ(https://www.acupuncture.org.nz/)”。 もう一つはNZASA(https://nzasa.org/)って名前だったと思います。 ニュージーランドにはACC(Accident Compensation Corporation)という国の保険があって、怪我、骨折とか車で事故とか、慢性ではない事柄で怪我が発生した場合は、ACCという仕組みをつかって国からお金が出る仕組みです。ドクターやフィジオセラピストの人が保険の番号を発番できるので、この2つの団体に所属している鍼灸師が治療すればその番号を使って実質保険で鍼灸の治療もできるんです。 あまり知られてはいませんが。それは、NZにきた旅行者も実は使えるんですよ。ACCの番号を発行できる人の治療をまず受けて、ACC番号を発行してもらえばいいんです。ニュージーランドではフィジオセラピスト、医師、カイロプラクター、ホメオパスの人たちが、保険申請に必要なNoを発行できる権利を持っているんです。
ケアクル:保険請求は確実に通るんですか?
末吉:事情はそれぞれあるかと思いますが、肌感としては日本ほどは厳しくないと思います。
ケアクル:保険を使いたい人はどうやって鍼灸の治療を探してくるんですか?
末吉:ほとんどが紹介です。紹介というか、フィジオセラピストやカイロプラクターの施術を受けにきた人で、なかなか痛みがとれなかったり、ちょっとこの人は症状が重いなという時に、セラピストから鍼灸師に紹介といったこと多いです。1つの治療院の中で、いろいろなリソースに頼りながら、みんなで治療していくって感じです。
ケアクル:先ほど、ホメオパスの人も、ACC番号を発行できるというお話でしたが?
末吉:できるんですよ。NZはけっこうホメオパスって強いんです。NZは代替医療が寛大に受け入れられている国だと思います。そもそも人口も少ないせいか医療システムが整っていないので、トポロジー(ポダイオロジスト)だったりも結構受け入れられています。日本にはない職種ですよね。それに、鍼灸師が漢方も処方しているケースもあります。
ケアクル:団体の話に戻りますが、その試験はいつでもできるんですか?
末吉:ワーホリ期間中にその資格を取ろうと思えば、取れました。ワーホリの期間中にその団体に所属するための試験を受けておけば、もうちょっと就職は楽だったかもしれません。ビザの心配をしなくて良かったから。
ケアクル:鍼灸師だったら、意外と就職口を探すの簡単ということですか?
末吉:その資格さえ持っていれば、意外とあるかもしれない。クィーンズタウンには2つクリニックがあって、どっちも比較的ウェルカムな状態でした。
ケアクル:それははじめからですか?
末吉:一つの方は、最初は見向きもしてもらえてなかったけど、鍼灸の免許とか教員免許とかを英語に訳したものをCVにつけてもって行ったら、結構興味を持ってくれました。同じとこに2回CV出して、2回目で引っかかったって感じです。でももう一つのところも、”Acupunture NZ”に登録できたらいつでも来てくださいと行った感じでした。
ケアクル:所属するための試験はどんなことをするんですか?
末吉:試験は、筆記と実技と取穴のテストがありました。実技は試験官の前で3人患者さんを治療します。卒業実技試験みたいな感じですかね。1人の患者さんに1時間だったと思います。なので、3時間かかります。本来であれば、2日間かけて試験を行うようです。筆記と取穴が同じ日。で、実技が別の日といった感じです。でも、私が試験をしたのはクライストチャーチでだったんですが、クライストチャーチにはどうやら1人しか試験官がいないようで、その人が全ての試験を1日で実施させてくれました。
ケアクル:受験者は1人だったんですか?
末吉:受験者1人。だいたい、受験しますって申請があってから、試験日を決めていく感じで進むみたいです。この日に試験します!っていうようにスケジュールが組まれているわけではないようです。受験者のためにスケジュールを組むみたいな感じです。随時やってますみたいな感じです。
ケアクル:取穴試験について簡単に教えてください?
末吉:取穴は範囲とか決まってなく、20穴出ますって言われていました。何が大変だったって、経穴を番号で覚えるのが大変でした。 日本ではツボ名は漢字で覚えるじゃないですか。記号と数字で表記されているので、最初はLU7とか出て来たら、肺経上の経穴を一つづつ数えていって7番目を見つけるってことをいつもやってました。肺経ならいいんですけど、膀胱経とかでてきた日にはもうたまったもんじゃないと思ってました。数えられない!って思って、もう要穴に絞ろうって決めちゃいました。
ケアクル:実際、出題されたのも要穴だけだったんですか?
末吉:要穴だけではなかったですが、”風府”とか普通によく使う経穴が出題されていたと思います。
ケアクル:全体的に試験の難しさはどんな感じましたか?
末吉:いろんな人の話を聞きましたが、結局、試験官によるみたいです。NZは結構TCM(Traditional Chinese Medicine)がメインなので、試験基準もTCMがベースとなっているようです。患者さんにも舌診、脈診をちゃんとしているかをチェックするみたいな感じだったかな。
ケアクル:治療スタイルとかは何か指定があるんですか?TCMじゃないといけないとか、日本だと、例えば経絡治療のスタイルでも大丈夫とか。
末吉:それも、試験官によるみたいです。人によっては難しいよっていう人もいたし、でも、私の試験官になってくれた人は、すごくいい人でした。でも、基本的には落とすための試験ではないと思います。結構お金も結構払うし(笑)基本ができているかの確認。みたいな。組合としては、メンバーになってくれる人が多いに越したことはないので。
ケアクル:結構費用はかかるんですか?
末吉:高いですよ。もういくらだったか忘れちゃいましたけど、高かったのを覚えています。団体に加入している以上、毎年会費が必要なので、今年も760NZドルほど払いました。
ケアクル:高いですね。
末吉:保険と組合費を支払うので、3月は最悪の月です。話を戻すと、落とす試験ではないってことですね。
末吉:私が所属しているのは、以前から名前が変わって、今は”Acupunture NZ(https://www.acupuncture.org.nz/)”。 もう一つはNZASA(https://nzasa.org/)って名前だったと思います。 ニュージーランドにはACC(Accident Compensation Corporation)という国の保険があって、怪我、骨折とか車で事故とか、慢性ではない事柄で怪我が発生した場合は、ACCという仕組みをつかって国からお金が出る仕組みです。ドクターやフィジオセラピストの人が保険の番号を発番できるので、この2つの団体に所属している鍼灸師が治療すればその番号を使って実質保険で鍼灸の治療もできるんです。 あまり知られてはいませんが。それは、NZにきた旅行者も実は使えるんですよ。ACCの番号を発行できる人の治療をまず受けて、ACC番号を発行してもらえばいいんです。ニュージーランドではフィジオセラピスト、医師、カイロプラクター、ホメオパスの人たちが、保険申請に必要なNoを発行できる権利を持っているんです。
ケアクル:保険請求は確実に通るんですか?
末吉:事情はそれぞれあるかと思いますが、肌感としては日本ほどは厳しくないと思います。
ケアクル:保険を使いたい人はどうやって鍼灸の治療を探してくるんですか?
末吉:ほとんどが紹介です。紹介というか、フィジオセラピストやカイロプラクターの施術を受けにきた人で、なかなか痛みがとれなかったり、ちょっとこの人は症状が重いなという時に、セラピストから鍼灸師に紹介といったこと多いです。1つの治療院の中で、いろいろなリソースに頼りながら、みんなで治療していくって感じです。
ケアクル:先ほど、ホメオパスの人も、ACC番号を発行できるというお話でしたが?
末吉:できるんですよ。NZはけっこうホメオパスって強いんです。NZは代替医療が寛大に受け入れられている国だと思います。そもそも人口も少ないせいか医療システムが整っていないので、トポロジー(ポダイオロジスト)だったりも結構受け入れられています。日本にはない職種ですよね。それに、鍼灸師が漢方も処方しているケースもあります。
ケアクル:団体の話に戻りますが、その試験はいつでもできるんですか?
末吉:ワーホリ期間中にその資格を取ろうと思えば、取れました。ワーホリの期間中にその団体に所属するための試験を受けておけば、もうちょっと就職は楽だったかもしれません。ビザの心配をしなくて良かったから。
ケアクル:鍼灸師だったら、意外と就職口を探すの簡単ということですか?
末吉:その資格さえ持っていれば、意外とあるかもしれない。クィーンズタウンには2つクリニックがあって、どっちも比較的ウェルカムな状態でした。
ケアクル:それははじめからですか?
末吉:一つの方は、最初は見向きもしてもらえてなかったけど、鍼灸の免許とか教員免許とかを英語に訳したものをCVにつけてもって行ったら、結構興味を持ってくれました。同じとこに2回CV出して、2回目で引っかかったって感じです。でももう一つのところも、”Acupunture NZ”に登録できたらいつでも来てくださいと行った感じでした。
ケアクル:所属するための試験はどんなことをするんですか?
末吉:試験は、筆記と実技と取穴のテストがありました。実技は試験官の前で3人患者さんを治療します。卒業実技試験みたいな感じですかね。1人の患者さんに1時間だったと思います。なので、3時間かかります。本来であれば、2日間かけて試験を行うようです。筆記と取穴が同じ日。で、実技が別の日といった感じです。でも、私が試験をしたのはクライストチャーチでだったんですが、クライストチャーチにはどうやら1人しか試験官がいないようで、その人が全ての試験を1日で実施させてくれました。
ケアクル:受験者は1人だったんですか?
末吉:受験者1人。だいたい、受験しますって申請があってから、試験日を決めていく感じで進むみたいです。この日に試験します!っていうようにスケジュールが組まれているわけではないようです。受験者のためにスケジュールを組むみたいな感じです。随時やってますみたいな感じです。
ケアクル:取穴試験について簡単に教えてください?
末吉:取穴は範囲とか決まってなく、20穴出ますって言われていました。何が大変だったって、経穴を番号で覚えるのが大変でした。 日本ではツボ名は漢字で覚えるじゃないですか。記号と数字で表記されているので、最初はLU7とか出て来たら、肺経上の経穴を一つづつ数えていって7番目を見つけるってことをいつもやってました。肺経ならいいんですけど、膀胱経とかでてきた日にはもうたまったもんじゃないと思ってました。数えられない!って思って、もう要穴に絞ろうって決めちゃいました。
ケアクル:実際、出題されたのも要穴だけだったんですか?
末吉:要穴だけではなかったですが、”風府”とか普通によく使う経穴が出題されていたと思います。
ケアクル:全体的に試験の難しさはどんな感じましたか?
末吉:いろんな人の話を聞きましたが、結局、試験官によるみたいです。NZは結構TCM(Traditional Chinese Medicine)がメインなので、試験基準もTCMがベースとなっているようです。患者さんにも舌診、脈診をちゃんとしているかをチェックするみたいな感じだったかな。
ケアクル:治療スタイルとかは何か指定があるんですか?TCMじゃないといけないとか、日本だと、例えば経絡治療のスタイルでも大丈夫とか。
末吉:それも、試験官によるみたいです。人によっては難しいよっていう人もいたし、でも、私の試験官になってくれた人は、すごくいい人でした。でも、基本的には落とすための試験ではないと思います。結構お金も結構払うし(笑)基本ができているかの確認。みたいな。組合としては、メンバーになってくれる人が多いに越したことはないので。
ケアクル:結構費用はかかるんですか?
末吉:高いですよ。もういくらだったか忘れちゃいましたけど、高かったのを覚えています。団体に加入している以上、毎年会費が必要なので、今年も760NZドルほど払いました。
ケアクル:高いですね。
末吉:保険と組合費を支払うので、3月は最悪の月です。話を戻すと、落とす試験ではないってことですね。
現在の治療院について
ケアクル:クロムウェルにはなぜ行くことになったんですか?
末吉:私がもともと働いていたクイーンズタウンにある治療院のボスがこのクロムウェルの治療院をもっていて、いまのボス(カイロプラクター)に治療院を売ったので、自分自身もクイーンズタウンの治療院からこっちに移ったという経緯です。 住んでいるのは、アレクサンドラ(クロムウェルからさらに20分くらいの場所)というめっちゃ田舎に住んでます。今住んでいるところに日本人は住んでいるけど、おそらく日本人鍼灸師は1人です。
ケアクル:治療院について簡単に教えてください。
末吉:ベッドは5部屋あって、フィジオセラピスト2名、カイロプラクター1名、マッサージ1名、鍼灸師1名の計5人で、それぞれ各自の治療部屋がある感じです。もし自分がワークビザではなく、レジデンシャルビザを持っていれば、そのオーナーの人の下で働かなくても、部屋だけ借りて独立して仕事することもできるんですが、まだビザがワークビザなので、オーナーに雇われているという形で働いています。そして、今は、子育て中でもあるので、火・金の週2日で働いていますが、自分以外はほぼみんな週4日で働いています。
ケアクル:え? お子さんはどうされていいるんですか?
末吉:0歳児(8ヶ月)と2歳児(1年8ヶ月)の2児の母なんですが、治療院自体は、妊娠前から働いていて、毎回マタニティ期間終了まで待っていてくれるので、いい環境で働けています。いまは、保育園のようなところで預かってもらってます。
ケアクル:治療費はどれくらいなんですか?
末吉:治療費はプライベートでお客さんが払う場合は、1時間90NZドルもらってます。保険がきく場合は、自己負担35ドルで、国が残りを補填してくれる感じです。ちなみに、プライベートで毎週来るって患者さんはそんなにいませんね。ほとんどが保険をつかって治療になります。
ケアクル:失礼ですが、お給料形態なんて聞いてもいいですか?
末吉:うーん。きちんとしたところでは当たり前だけれども。。けっこう、トリッキーにやっているところもある話を聞きます。最近imigraationも厳しくなってきたから。結構、ちゃんと整備されてきている気がします。そうしないと、雇われている方が、かなり損してしまうことになり、弱者が痛い目をみることになってしまうので。
ケアクル:税金とかももちろん支払うんですよね?
末吉:20%です。日本とそんなには変わらない感じです。稼いだ分から20%取られるので、日本も社会保険とか健康保険とか引かれたらそんなもんじゃないですか?
ケアクル: どんなタイプの患者さんが多いですか?
末吉:基本的には、筋骨格系の問題のあるひとが多いです。膝・腰・首・肩などなどです。
ケアクル:年齢層的にはどうですか?
末吉:20代は、怪我したとかじゃないとこないですかね。やっぱり40ー60代が多いですね。たまに、旅行者の人とかも来ますけど、来てくれるのは繰り返しきてくれているリピーターになってくれた地元の人が多いです。
ケアクル:日本では美容鍼は多くありますが、クロムウェルではいかがですか?
末吉:ここでは、やっていません。まだみんな知らないんじゃないかな?って感じます。
ケアクル:ニュージーランド人の体格は大きいってイメージがあるのですが、そういった点では苦労したりしますか?
末吉:あ、そうですか?でも、そこまで大きくないですよ。日本人よりかはちょっと体格はいいけど、すごい太った方とかはそんなにいません。北島の方は、マオリの人もいるので、もう少し日本と体系の差とかでてくるかもしれません。
ケアクル:ここはニュージーランド独特みたいなのってありますか?
末吉:ここはセントラルオタゴっていう地域なんですが、ものすごく乾燥しているんです。日本の湿度が恋しくなるくらい(笑) だからなのか、または骨格のせいか。。「蓄膿」を訴える人が多いです。(「Congestion」「nose congestion」とか) あと、なぜか「不眠」が多いです。この土地柄がマグネシウムとかミネラルがあまりを多く含まれていないらしく、そのため、この土地でとれる野菜とかにも栄養素がしっかり含まれていないと言われています。最近は、マグネシウムをサプリメントでとりはじめたら、よく眠れるようになったとかいう話を聞いたりします。「夜はちゃんと眠れていますか?」といった問診をするとかなりの確率で「いや、あまりよく眠れていない」とか「夜中3回以上目が覚めた」とか。。
ケアクル:それは年齢的な問題ではなくてですか?
末吉:いや、けっこう若い子も。同じような答えがかえってくるんですよ。再度寝付くまでに苦労している人も多いです。一度起きちゃうと、いろんな考えがぐるぐる巡ってきて寝付けないとか。こんなにリラックスした土地柄なのに、意外に不眠で悩んでいる人が多いというギャップに驚いてます。「鼻」の症状と「不眠」の症状を持つ人が多いなとよく感じます。
ケアクル:海外では時間の概念が日本人と違うとよく聞きますが、時間はけっこう守りますか?
末吉:NZの人はけっこうeasy-goingな人がおおいですが、時間は比較的守ってくれますね。予約の時間はちゃんと時間通りで来てくれます。遅れたら、受けれないかもしれないという意識はちゃんとあります。
ケアクル:南国島国時間ではないんですね。ニュージーランドは。(笑)
末吉:私がもともと働いていたクイーンズタウンにある治療院のボスがこのクロムウェルの治療院をもっていて、いまのボス(カイロプラクター)に治療院を売ったので、自分自身もクイーンズタウンの治療院からこっちに移ったという経緯です。 住んでいるのは、アレクサンドラ(クロムウェルからさらに20分くらいの場所)というめっちゃ田舎に住んでます。今住んでいるところに日本人は住んでいるけど、おそらく日本人鍼灸師は1人です。
ケアクル:治療院について簡単に教えてください。
末吉:ベッドは5部屋あって、フィジオセラピスト2名、カイロプラクター1名、マッサージ1名、鍼灸師1名の計5人で、それぞれ各自の治療部屋がある感じです。もし自分がワークビザではなく、レジデンシャルビザを持っていれば、そのオーナーの人の下で働かなくても、部屋だけ借りて独立して仕事することもできるんですが、まだビザがワークビザなので、オーナーに雇われているという形で働いています。そして、今は、子育て中でもあるので、火・金の週2日で働いていますが、自分以外はほぼみんな週4日で働いています。
ケアクル:え? お子さんはどうされていいるんですか?
末吉:0歳児(8ヶ月)と2歳児(1年8ヶ月)の2児の母なんですが、治療院自体は、妊娠前から働いていて、毎回マタニティ期間終了まで待っていてくれるので、いい環境で働けています。いまは、保育園のようなところで預かってもらってます。
ケアクル:治療費はどれくらいなんですか?
末吉:治療費はプライベートでお客さんが払う場合は、1時間90NZドルもらってます。保険がきく場合は、自己負担35ドルで、国が残りを補填してくれる感じです。ちなみに、プライベートで毎週来るって患者さんはそんなにいませんね。ほとんどが保険をつかって治療になります。
ケアクル:失礼ですが、お給料形態なんて聞いてもいいですか?
末吉:うーん。きちんとしたところでは当たり前だけれども。。けっこう、トリッキーにやっているところもある話を聞きます。最近imigraationも厳しくなってきたから。結構、ちゃんと整備されてきている気がします。そうしないと、雇われている方が、かなり損してしまうことになり、弱者が痛い目をみることになってしまうので。
ケアクル:税金とかももちろん支払うんですよね?
末吉:20%です。日本とそんなには変わらない感じです。稼いだ分から20%取られるので、日本も社会保険とか健康保険とか引かれたらそんなもんじゃないですか?
ケアクル: どんなタイプの患者さんが多いですか?
末吉:基本的には、筋骨格系の問題のあるひとが多いです。膝・腰・首・肩などなどです。
ケアクル:年齢層的にはどうですか?
末吉:20代は、怪我したとかじゃないとこないですかね。やっぱり40ー60代が多いですね。たまに、旅行者の人とかも来ますけど、来てくれるのは繰り返しきてくれているリピーターになってくれた地元の人が多いです。
ケアクル:日本では美容鍼は多くありますが、クロムウェルではいかがですか?
末吉:ここでは、やっていません。まだみんな知らないんじゃないかな?って感じます。
ケアクル:ニュージーランド人の体格は大きいってイメージがあるのですが、そういった点では苦労したりしますか?
末吉:あ、そうですか?でも、そこまで大きくないですよ。日本人よりかはちょっと体格はいいけど、すごい太った方とかはそんなにいません。北島の方は、マオリの人もいるので、もう少し日本と体系の差とかでてくるかもしれません。
ケアクル:ここはニュージーランド独特みたいなのってありますか?
末吉:ここはセントラルオタゴっていう地域なんですが、ものすごく乾燥しているんです。日本の湿度が恋しくなるくらい(笑) だからなのか、または骨格のせいか。。「蓄膿」を訴える人が多いです。(「Congestion」「nose congestion」とか) あと、なぜか「不眠」が多いです。この土地柄がマグネシウムとかミネラルがあまりを多く含まれていないらしく、そのため、この土地でとれる野菜とかにも栄養素がしっかり含まれていないと言われています。最近は、マグネシウムをサプリメントでとりはじめたら、よく眠れるようになったとかいう話を聞いたりします。「夜はちゃんと眠れていますか?」といった問診をするとかなりの確率で「いや、あまりよく眠れていない」とか「夜中3回以上目が覚めた」とか。。
ケアクル:それは年齢的な問題ではなくてですか?
末吉:いや、けっこう若い子も。同じような答えがかえってくるんですよ。再度寝付くまでに苦労している人も多いです。一度起きちゃうと、いろんな考えがぐるぐる巡ってきて寝付けないとか。こんなにリラックスした土地柄なのに、意外に不眠で悩んでいる人が多いというギャップに驚いてます。「鼻」の症状と「不眠」の症状を持つ人が多いなとよく感じます。
ケアクル:海外では時間の概念が日本人と違うとよく聞きますが、時間はけっこう守りますか?
末吉:NZの人はけっこうeasy-goingな人がおおいですが、時間は比較的守ってくれますね。予約の時間はちゃんと時間通りで来てくれます。遅れたら、受けれないかもしれないという意識はちゃんとあります。
ケアクル:南国島国時間ではないんですね。ニュージーランドは。(笑)
今、一番苦労されていることはなんですか?
ケアクル:苦労していることを教えていただけますか?
末吉:一番苦労しているのは、ビザの問題ですね。いま永住権を取得しようと頑張っているんですが、移民局が永住権を取るためのルールを最近変えたんです。(英語の試験にパスしないといけなくなってしまったんです。)IELTSの6.5以上(英検準1級レベル)っていう条件があって、それをパスするのに苦労しています。
ケアクル:え?お仕事も英語使われていますよね?
末吉:もともと英語苦手なんです。なので、試験なんてとんでもない!今持っているビザは2022年までなんですが、イミグレーションも最近いそがしいので、1年ぐらい前には余裕をもって、申請しておかないといけないので、もう今年中にIELTSにパスしたいんですけどね。試験の日程は結構頻繁にあるんですが、受験料が高いんです。一回500NZドル!!!!信じられませんよね。勉強苦手なので、ほんと困ります。
ケアクル:治療で一番大変なことはなんですか?
末吉:やっぱり「英語」ですかね。(笑)でも、治療の場合は、患者さんは完璧な英語は求めてこないし、言葉よりも、触られた感じで、患者さんもわかるみたいですよ。「この人だったら、大丈夫だな。」とかそうじゃないかとか。なので、とりあえずは、治療はできています。残念ながら、まだたまに100%は患者さんがなにを言っているかというのは理解でていないときがあります。それはちょっと申し訳ないなって思うことはあります。「◯◯」って病気の名前をいきなり言われて、「え?それってなんの病気?」って悩んでしまうことも多々あります。「ulcer」ぐらいだったらわかりますけど、単純でわかりやすいけど、すごい独特な病気の名前とか言われても困る。「え?」って問診中になってしまうのが、ちょっと心苦しいですね
末吉:一番苦労しているのは、ビザの問題ですね。いま永住権を取得しようと頑張っているんですが、移民局が永住権を取るためのルールを最近変えたんです。(英語の試験にパスしないといけなくなってしまったんです。)IELTSの6.5以上(英検準1級レベル)っていう条件があって、それをパスするのに苦労しています。
ケアクル:え?お仕事も英語使われていますよね?
末吉:もともと英語苦手なんです。なので、試験なんてとんでもない!今持っているビザは2022年までなんですが、イミグレーションも最近いそがしいので、1年ぐらい前には余裕をもって、申請しておかないといけないので、もう今年中にIELTSにパスしたいんですけどね。試験の日程は結構頻繁にあるんですが、受験料が高いんです。一回500NZドル!!!!信じられませんよね。勉強苦手なので、ほんと困ります。
ケアクル:治療で一番大変なことはなんですか?
末吉:やっぱり「英語」ですかね。(笑)でも、治療の場合は、患者さんは完璧な英語は求めてこないし、言葉よりも、触られた感じで、患者さんもわかるみたいですよ。「この人だったら、大丈夫だな。」とかそうじゃないかとか。なので、とりあえずは、治療はできています。残念ながら、まだたまに100%は患者さんがなにを言っているかというのは理解でていないときがあります。それはちょっと申し訳ないなって思うことはあります。「◯◯」って病気の名前をいきなり言われて、「え?それってなんの病気?」って悩んでしまうことも多々あります。「ulcer」ぐらいだったらわかりますけど、単純でわかりやすいけど、すごい独特な病気の名前とか言われても困る。「え?」って問診中になってしまうのが、ちょっと心苦しいですね
最後に、これから海外を目指す鍼灸師の人々に一言
ケアクル:最後に、これから海外を目指す鍼灸師の人々に一言お願いします。
末吉:ぜひ、経絡治療、積聚治療(シャクジュ治療)、長野式でもなんでも自分がコレだと思うものを、なんか一つでいいので、日本の鍼灸をモノにして海外で広めていって欲しいと思います。ニュージーランド人(Qiwi)の鍼灸師よりアジア人の方が、海外のひとにはやっぱりウケがいいし、さらに刺激の強い中国鍼灸より日本鍼灸が好まれる傾向にあると思います。日本人はやっぱり人の扱いが丁寧なので。 活躍できる場は世界に広がっていますので、一緒に頑張っていきましょう!
末吉:ぜひ、経絡治療、積聚治療(シャクジュ治療)、長野式でもなんでも自分がコレだと思うものを、なんか一つでいいので、日本の鍼灸をモノにして海外で広めていって欲しいと思います。ニュージーランド人(Qiwi)の鍼灸師よりアジア人の方が、海外のひとにはやっぱりウケがいいし、さらに刺激の強い中国鍼灸より日本鍼灸が好まれる傾向にあると思います。日本人はやっぱり人の扱いが丁寧なので。 活躍できる場は世界に広がっていますので、一緒に頑張っていきましょう!
プロフィール
末吉由希
<経歴>
福岡医健専門学校鍼灸科 卒業
東京衛生学園臨床専攻科 卒業
長崎柔鍼専門学校鍼灸科
Queenstown Health
現在、Cromwell Healthにて勤務中
<所属>
Acupuncture NZ member
<経歴>
福岡医健専門学校鍼灸科 卒業
東京衛生学園臨床専攻科 卒業
長崎柔鍼専門学校鍼灸科
Queenstown Health
現在、Cromwell Healthにて勤務中
<所属>
Acupuncture NZ member
海外で活躍する鍼灸師たち: 第1回 ジャマイカ編 片野彰彦先生 - 【ケアクル】
日本から最短でも飛行機を乗り継いで20時間以上かかるカリブ海に浮かぶジャマイカで、鍼灸・あん摩指圧マッサージ師として活躍されている片野彰彦さんにインタビューしてきました。レゲエ発祥の地として知られ、かつては日本人観光客の憧れの地でもあったジャマイカ。音楽以外にもダンス・美しい海・ラスタ文化といった独特な魅力で世界各国から多くの観光客を集めています。人種・文化も全く違うジャマイカで日本の鍼灸師がどのように受け入れられているのでしょうか?