はじめに

私たちは生きるために当たり前のように「食事」をします。
お腹がすくのも、お腹がいっぱいになるのも自分で意識して起こす現象ではありません。
健康であるからこそ、体の恒常性がきちんと作動しているのです。
体を健康にする「栄養」に向かい合うことって、そんなに頻繁にあることではないかもしれません。
自分たちの身体を作っている栄養に関して知ることと一緒に、ただ何となく食べるのではなく、効率よく栄養を摂る方法にも、目を向けてはいかがでしょうか。

体を支える重要な栄養素とは?

食べ物全てが身体に影響を及ぼします。そのうち健康において必要な栄養とは何でしょうか。
大きく分けて3大栄養素と呼ばれているものがあります。
タンパク質、脂質、糖質です。

タンパク質

私たちの身体を作っている成分の20%はタンパク質です。絶対に欠かせない成分です。
タンパク質はいくつかのアミノ酸が合成されてできているものですが、さまざまなアミノ酸の組み合わせによって、筋肉や各内臓、ホルモン、血管、などと作られるものが違います。
食べ物から吸収するタンパク質は動物性タンパク質と植物性タンパク質に分類されています。

【動物性たんぱく質】肉類、魚類、乳製品、卵など

【植物性たんぱく質】米、大豆製品、ゴマ、イモ類など

もしもタンパク質の摂取が不足してしまうと、皮膚のツヤや張りがなくなる、筋肉量が減る、集中力がなくなるなどの症状が出てきます。

また反対に摂取し過ぎてしまうと、身体の中でタンパク質が余ってきてしまいます。不要になったタンパク質を尿素に変換する際にその量が多すぎると変換する臓器に、かなりの負担がかかってしまいます。

もうひとつ、カルシウムと結合することで腎臓や尿管などで結石を作り出したり、腸にも残留してしまい、悪玉菌のエサとなって腸内環境を悪化させます。

脂質

内臓が動いたり呼吸をしたり、身体が動くことに関してはエネルギーが必要です。
そのエネルギー源こそが脂質にあたります。
また脂溶性ビタミンを吸収するときに大きな働きもします。
脂質を含んでいる食物は肉、魚、油、ナッツ類などです。

脂質が不足してしまった場合は、皮膚が乾燥して代謝が悪く皮膚病になりやすくなります。
それとは反対に過剰に摂ってしまったら、脂質異常症や動脈硬化、メタボになる道が待っています。

糖質

脂肪よりも先に燃焼されるエネルギー源です。
私たちが摂取しているエネルギーの中では6割が糖質です。

体に入った量が消費する量よりも多い場合は脂質に変わる性質も持っています。
糖質は砂糖などもありますが、多くは米やパン、麺などの炭水化物です。

糖質が不足すると、身体のだるさが増強したり疲労感を感じるようになります。
反対に過剰摂取すると、脂質と同じように肥満や動脈硬化などの原因にもなりますが、何といっても糖尿病が一番のネックとなります。

三大栄養素を効率よく摂る方法

タンパク質を効率よく摂るには

いっぺんに摂取するのではなく、毎回の食事ごとに摂取するのが消化と吸収がよりスムーズに行われます。
また量も多くても少なくても効率がわるくなるので、下記を基準に摂取量を算出してみましょう。

【体重(kg)×1.5〜2.0g】

脂質を効率よく摂るには

運動選手などは脂質を多めに摂ることが必要ですが、普段の生活においては体脂肪が増えないような摂取方法が望ましいでしょう。

食物繊維と一緒に摂取するとコレステロールの上昇などを抑制します。
またビタミンB群と一緒に摂取すると、脂肪の燃焼に拍車をかけます。

糖質を効率よく摂るには

たくさん摂っても脂質となってしまうので量や食べ方の工夫が必要です。
エネルギーとして効率がいい時間は一日の始まりの朝です。
また、運動選手などは運動後に即効的な吸収を望むならば、単糖類(バナナ、穀類など)が効果的です。

肉、魚、野菜の栄養素を逃がさない調理方法

【肉の栄養を逃がさない調理方法】

保存するときは細かく切って分けると肉汁が出てしまうので、大きなままが品質保持に良いとされます。
肉は生肉で食べるよりは火を通して食べる方が栄養価が高いのですが、加熱が多くなればなるほどエネルギーが減少します。


【魚の栄養を逃がさない調理方法】

魚に火を通すことで脂がでます。これと一緒に栄養素も流れ出てしまうので、栄養を閉じ込めるという点では揚げ物が良いようです。


【野菜の栄養を逃がさない調理方法】

・水溶性ビタミンが主体の野菜(ホウレン草、ブロッコリー、キャベツなど)は、水にさらすとどんどん栄養素が流れ出てしまいます。調理法では、茹でる、蒸すと言った方法が最適です。

・脂溶性ビタミンが主体の野菜(にんじん、かぼちゃ、ピーマンなど)は、油に溶けてこそ栄養価が上がるので炒めて食べることが最適です。

三大栄養素が含まれたお宝料理!

脂質、タンパク質、糖質がバランスよく入って、しかも簡単なレシピをご紹介。

【豆腐のお好み焼き】
材料 
※豚肉 50g
※水切り豆腐 1丁
※キャベツ 3枚(150g)
※長ねぎ 1/4本
※干し桜えび  10g
※卵 1個
※小麦粉 100g
※水 適量

<調味料> お好み焼きソース、海苔、鰹節、マヨネーズ

①フライパンにサラダオイルを適量なじます
②※の材料をすべて混ぜて流し込む
③弱火~中火で両面焼く
④お好みの調味料をかけて出来上がり

まとめ

食物の栄養について目を向けてみると、無意識で食べていた食生活にも変化が起きるのではないでしょうか?
どうせ食べるならば、おいしく、栄養を最大限に吸収、健康につながる方法で摂取したいですよね。

新鮮であれば栄養価が高いかというとそうではなく、どういった用途でどんな目的であるかがわかると、より一層の栄養を得ることができます。
健康は大きな資本です。しっかりと身体に栄養補給してあげましょう。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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