はじめに

日本人の約5人に1人が水虫だと言われています。水虫が恐ろしいのは、感染していても初期の段階では自覚症状がないことです。そのため濡れたバスマットなどを介して、知らず知らずのうちに家族から感染したり、させてしまったりということが起きてしまいます。

今回は、そんな厄介な水虫について原因や症状、治療法、予防法についてご説明します。

水虫の原因

水虫とは

そもそも水虫とは何なのでしょうか。
水虫とは白癬(はくせん)菌と呼ばれるカビが皮膚に付着し、傷ついた角質から菌が繁殖して炎症などが起こる感染症です。

水虫の種類

水虫が最も多く見られる部位は足(9割以上)です。
足以外にも数は少なくなりますが、手や股、体の水虫もあるのです。

足の水虫は以下の4種類あります。
①趾間(しかん)型:足の指にでき、かゆみを伴います。

②小水疱(すいほう)型:足の裏や側面にみずぶくれができます。

③爪白癬(つめはくせん)型:爪が白くなります。

④角質増殖型:かかとがひび割れて硬くなります。
※特に高齢になるほど、爪白癬型と角質増殖型が多くなります。

水虫になりやすい季節

水虫のほとんどは高温多湿の季節(梅雨や夏頃)にかかりやすくなります。
それは、水虫が足など皮膚に単に付着しただけでは広がらず、気温15℃以上、湿度70%以上という環境で増殖しやすいという特徴を持っているからです。

水虫の症状はどんな症状があるの?

白癬(はくせん)菌は目に見えないため、感染しても症状がなければ気が付きません。
では、どのような症状があれば水虫なのでしょうか。
ここでは、足水虫の種類別の症状についてご説明します。

趾間(しかん)型

足水虫の中でも最も多いタイプで、足の指の間の皮膚が剥がれジュクジュクし、赤く腫れたりただれたりします。強いかゆみを伴うのが特徴です。

小水疱(すいほう)型

足の裏や側面などの毛のないところにできます。たくさんのみずぶくれができ、その周りが赤く腫れて、かゆみを伴います。
水ぶくれが破れてでる汁(浸出液)には白癬菌がいないため、触れても感染することはありません。

爪白癬(はくせん)型

爪が白っぽく(あるいは褐色になり)濁り、分厚くなります。
爪には神経がないため、かゆみや痛みといった症状は出ません。そのため、爪から他の部位に白癬菌を感染させてしまう可能性が高くなります。

角質増殖型

足の裏全体の角質が厚くなり、ガサガサしてひび割れを起こすことがあります。
かゆみや水ぶくれができないため、水虫だと気づくのが遅れるタイプです。
爪白癬型を合併しやすい傾向にあります。また、ガサガサして床などに落ちた皮膚には白癬菌がいるため、家族など他人に感染させてしまう可能性があり、注意が必要です。

これで、安心!水虫の治療法について

上記のような症状がみられたら、できるだけ早めに治療を開始しましょう。
具体的な治療方法についてご説明します。

薬を使用する

一言で水虫といっても様々な種類や症状があるため、適した薬を使用しましょう。代表的な薬は抗真菌薬といってカビを抑える働きのある薬で、内用薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があります。
細菌は市販薬でも様々なタイプの薬を購入できるようになりました。

(1)市販薬の水虫治療薬(※外用薬のみ)を使用する
形状によって、浸透性、皮膚保護、使用感が異なります。

①軟膏(なんこう)
ベタベタしがちなため使用感がいまひとつですが、皮膚保護性が高く、かぶれにくいタイプです。ジュクジュクしていたり、ひび割れがあるなど症状が重めの水虫には軟膏がお勧めです。

②クリーム
液体(浸透性が高い)と軟膏(皮膚保護性が高い)の利点を合わせた万能タイプです。病院で処方される形状のうち、最も多いものです。

③液体・ゲル・ジェル
浸透性が高いタイプです。使用感が良い反面、アルコールが含まれているため、乾燥しすぎて悪化する可能性があります。かゆみだけの場合など比較的症状が軽い水虫におすすめです。

④スプレー
直接患部に触れることなく使用できるのがメリットです。

(2)医療機関での治療が必要な場合
以下のような場合は市販薬ではなく、きちんと医療機関で治療を受けましょう。

①爪白癬の場合(市販薬では効果が期待できません。)

②水虫か他の病気かの判断ができないとき(かえって症状を悪化させてしまいます。)

③化膿している(ウミのこと)、炎症や亀裂がひどい場合

④持病がある場合、アレルギー体質の場合、妊娠中の場合

セルフケアを行う

皮膚の病気を完治させるには、治療薬と同じくらいセルフケア(自宅などで自分が注意すること)が重要だと言われています。

(1)清潔を保つ
白癬菌が一度付着してもそれが増殖するには24時間かかります。したがって、毎日足や指の間まで石鹸でしっかり洗いましょう。しかし、しっかり洗うとは言っても、軽石などでゴシゴシこすりすぎると角質をかえって傷つけてしまうため、力をいれすぎないようにしましょう。

(2)乾燥させる
足が蒸れた環境では白癬菌が繁殖しやすいため、通気性の悪い靴(皮性の靴、ブーツなど)やストッキング・タイツを長時間履かないようにしましょう。また、裸足で歩く場所(お風呂場、脱衣スペース、バスマットなど)は換気をよく行いましょう。

(3)治療を自己中断しない
実は、水虫は再発率の高い病気です。薬を使用して一端症状が治まったからといって、自己判断で治療を中断するのは危険です。角質の奥深くに入り込んだ白癬菌を完全に死滅させるには、皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)に必要な期間(少なくとも1、2ヶ月)は根気よく治療を続けましょう。

水虫にならないための予防法とは

水虫は知らず知らずのうちに感染してしまう危険性もありますが、しっかりと水虫にならないよう対策を取りましょう。ここでは予防法について説明します。

①蒸れやすい靴(ブーツ、皮靴など)を長時間履かないようにしましょう。

②ストッキングやタイツを長時間身につけないようにしましょう。

③同じ靴を毎日履かないようにしましょう。
(最低2足をローテーションし、履かない靴の中を乾燥させるようにします。)

④多くの人が裸足で利用する場所(公衆浴場、体育施設など)に出入りした際は、24時間以内に足を石鹸でよく洗いましょう。

⑤水虫の人とはバスマットを分けましょう。

⑥爪切り、スリッパ・靴、ボディタオルは自分専用のものにする。
(一度洗濯したもの(バスタオルなど)には白癬菌はいないため、兼用でも構いません。)

⑦こまめに床掃除をしましょう。
(水虫の人がいる家の床には、白癬菌がいることが多いため。)

まとめ

水虫は、初期段階では自覚症状がなくうつりやすい病気ですが、普段から予防していれば心配は必要ないです。また、水虫になった場合は早めの対処で悪化するのを防ぐためにも、近くの皮膚科を受診してみて下さい。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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