プロテインとは

プロテインはたんぱく質と同義語ですが、一般に『プロテイン』と呼ばれるのは、たんぱく質の摂取を目的とした栄養補助食品のことです。運動と合わせて摂取することで効果的に筋肉を増やすことができます。
プロテインは種類によって特徴が異なり、たんぱく質の含有率が高いほど、余分な脂質や糖質を摂らずに多くのたんぱく質を摂ることができます。

プロテインの種類と効果

1. ホエイプロテイン

牛乳に含まれる『ホエイタンパク(乳清たんぱく)』を抽出したものです。
最も一般的で商品の種類も多くあります。
消化・吸収の速度が1時間程度と速く、筋肉を大きくしたい、持久力をアップしたいなど、強い身体づくりを目指す方におすすめです。

【メリット】
・『筋たんぱく質(筋肉を構成するアクチンやミオシンなどのたんぱく質)』の合成効果が、短時間で高く現れる
・売っているものの種類が多く、自分の好みの味を見つけやすい
・水に溶けやすく飲みやすい
・たんぱく質含有率が高めのものが多い(70~95%)
・筋肉のエネルギー源となる『BCAA(分岐鎖アミノ酸)』が豊富に含まれている

【デメリット】
・筋たんぱく質が合成される時間が短い
・価格が比較的やや高い
・牛乳を飲んでお腹がごろごろしていまう『乳糖不対症』の方には向いていない
 →下痢の原因となる乳糖を除去したタイプ(WPI)や、後でご紹介する大豆たんぱくのソイプロテインを選びましょう。
(※参考1)

2.カゼインプロテイン

牛乳に含まれる『カゼインタンパク』を抽出したプロテインです。カゼインはチーズの主成分で、牛乳のたんぱく質成分の80%を占めています。
胃酸で固まりやすく、消化吸収が6~8時間ととても遅いです。筋肉を構成するたんぱく質の合成が長く続くため、就寝前に飲むと良いでしょう。
また、激しい運動はしないけれど、筋肉量を落としたくない方におすすめで、持久力アップにも効果が期待できます。

【メリット】
・筋たんぱく質の合成効果が緩やかに長く続く
・腹持ちがよい
・カルシウム、鉄分の吸収を促進する

【デメリット】
・BCAA含有率がやや低め
(※参考1)

3. ソイプロテイン

大豆成分に含まれるたんぱく質を抽出したプロテインです。
消化吸収速度が緩やかで5~7時間かかります。

【メリット】
・植物性たんぱく質を効率的に摂取できる
・大豆に含まれる成分(イソフラボンなど)の健康効果も期待できる
・牛乳の味が苦手な方や、牛乳を飲んでお腹がごろごろしていまう乳糖不対症でも飲める

【デメリット】
・大豆たんぱくを砕いて作っているため、粉っぽいことが多い
(※参考1)

4. 混合プロテイン

混合プロテインとは、2種類以上のプロテインを混合したプロテインのことをいいます。「ホエイ×カゼイン」または「ホエイ×ソイ」が主流です。

【メリット】
・それぞれのプロテインの長所をとり、早く長く効果が出る
・飲み分けの必要がなく、初心者の方におすすめ
(本格的に筋肉をつけようとしている方は、起床時・筋トレ前後・間食・就寝前など、場合によってプロテインを飲み分けていることが多いです。)

【デメリット】
・価格が他のものより高い
・国産が少なく、ドラッグストアなど身近なところで購入しにくい
・複数のプロテインを含んでいるため、ひとつひとつのプロテイン効果が薄くなる

【目的別】プロテインの選び方

1. 筋肉をつけたい

筋肉をつけたい場合には、「ホエイ×カゼイン」の混合プロテインをおすすめします。
ホエイプロテインの即効性があり、カゼインプロテインの持続性の2つの効果が得られます。組み合わせることで、非常に効率よく筋肉をつけることができるでしょう。

2. ダイエット効果を得たい

ダイエットに効果的なのは、ソイプロテインです。
消化吸収に時間が掛かるので、満腹感を持続しやすく、寝る前や空腹時に摂取すると良いでしょう。

また、ソイプロテインには、女性ホルモンに似た働きをもつ『イソフラボン』が含まれています。イソフラボンには新陳代謝を上げ、身体を引き締める効果や、血中コレステロール値を下げてくれる効果が期待できます。
たんぱく質を摂る以外の健康的なメリットもあるため、ソイプロテインはダイエット用のプロテインとしておすすめです。

【タイミング別】プロテインの選び方・飲み方

1. 起床時:ホエイプロテイン

食事を摂れない睡眠中は、血中のアミノ酸濃度が低下して筋肉の分解が進行します。そのため、起床時には吸収の良いホエイプロテインを摂ることをおすすめします。

2. トレーニング前後:ホエイプロテイン

筋トレ前にホエイプロテインを飲むと、トレーニングをしている際中に筋肉の分解を抑制してくれます。
また、筋トレ後に飲むと、トレーニングで分解された筋肉の修復を助けます。

トレーニング1時間前とトレーニング直後(45分以内)に摂取するのが効果的です。

3. 間食:ホエイプロテイン(カゼインプロテイン、ソイプロテイン)

間食が身体に悪いイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、筋肉の分解を防ぐためには、間食も大切です。間食することで筋たんぱく質の合成反応が低下するのも防ぐことができます。

基本的にはホエイプロテインで問題ありませんが、食事と食事の間が長く空くときは、カゼインプロテインやソイプロテインが適しています。

4. 就寝前:カゼインプロテイン、ソイプロテイン

筋たんぱく質合成が就寝中も続くよう、就寝前にもたんぱく質を摂りましょう。血中アミノ酸濃度の低下を抑え、筋肉を維持することにつながります。

就寝前は、筋たんぱく質の合成時間が長いカゼインプロテインやソイプロテインを摂取すると良いでしょう。
ホエイプロテインのみ使用している方は、牛乳に溶かして飲むことで消化吸収を遅くできます。

おわりに

プロテインは筋肉をつけたい、ダイエット効果を得たいという方をサポートする栄養補助食品です。
様々な栄養素を含んでいるので、プロテインさえ飲んでいれば健康的になれそうですが、あくまで食事でカバーできない栄養の補助ですので、頼りすぎには注意が必要です。一日あたりの摂取量を守り、正しく摂取しましょう。
種類も味もたくさんあるので、当記事を参考に自分に合ったプロテインを選び、理想の身体に近づきましょう!

参考文献

※参考1
書籍:筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典
監修:岡田隆、 竹並恵里
発行元:ナツメ社

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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