はじめに

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前回の記事からだいぶ時間がたってしまいましたが第3弾です!
ごめんなさい。言い訳ですにゃー(ペルシャ猫の八太郎)!

前置きはこの位にして、私達人間は昔から動物と共に生き、触れ合うことでお互いに影響を与えてきました。もちろん良い触れ合いばかりではありませんが、人間が行う触れ合いの中に「お世話」があります。
お世話と一言で言っても様々な種類があり、それぞれ影響も違えば目的も異なります。

この「お世話」を通じて、人と動物はどのように影響しあってきたのでしょうか?
今回は人間が動物を「お世話」することによる人間の健康へ与える影響について、なぜ動物をお世話するのかという内容も含めお話しさせていただきます。

お世話や触れ合い

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では早速本題に、まず私達の周りの「お世話」について見て行きましょう。
ワンちゃんやネコちゃん、他にも鳥さんやハムスターさん等と暮らしている方は、当然彼らの「お世話」をされていると思います。お世話をすることにより動物と「触れ合い」ますので、以前の記事に書かせていただいた幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されて、人の健康にプラスになることはご存知かと思います。
さらにお世話をすることにより、ストレスホルモンと呼ばれ免疫を下げるコルチゾールを減少させ、抗うつ作用があると言われているセロトニンというホルモンを増やすことが分かっています。
コルチゾールが減少、セロトニンが増加することにより、抗うつ作用と心拍数や血圧を下げる作用があります。

お世話にもいろいろ

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この動物に対する「お世話」を活用した動物介在療法と呼ばれる方法があります。
これは主に高齢者の方やうつ病の方に対して、訓練された動物との触れ合い・お世話を通じてうつ病の緩和や認知症予防、老化防止等を目的としたプログラムです。
カルフォルニア大学の動物介在療法に関する研究によると、ペットと一緒に暮らしお世話をする人はうつ病や気分障害を発症する割合が少ないという報告があります。
また、うつ病の高齢者が動物と触れ合うことで、症状緩和を期待することが出来ます。
まだ日本では少ないものの、動物介在療法を実施されている病院や老人ホームも増えてきています。
当院でも取り組んで行くために現在準備を進めています、また改めてお知らせいたします。

ホルモンなどの難しい事は言わないまでも、「お世話」という役割を任されて相手が応えてくれると嬉しいものですよね。役割を与えられることで生活に張りがでて、役割を果たすという使命感や達成感を求める行動が、脳に良い刺激を与えて、認知症の予防や毎日暮らすための目的になるでしょう。

一方動物にとって良い意味の「お世話」だけがある訳ではありません。
動物の命を結果として奪うことになる「お世話」の代表的な事が食用の肉を得る事です。
食用肉を得るために動物にする事もまた「お世話」、食肉衛生を通じて人間の健康に寄与するのは、獣医師にとっても国家資格になる根拠となる大切な仕事です。
菜食主義者の方や宗教上の理由等から口にされない方も多いですが、その貴重な命を感謝しながらいただくことにより、私達人間は生かされています。
私達人間にとって身体的な健康面でも生きるために必要な事ですので、その意味を考え毎日感謝したいものですね。

小さな兄と大きな妹

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さてまた我が家のお話しになり大変恐縮ですが、ペルシャ猫の八太郎さんは娘が赤ん坊の時から、何かとお世話をしてきました。
娘がハイハイしていると後をついていって、少し離れたところで見守っていたり、娘が泣いていると私達の所に来て「泣いているよ」と知らせに来てくれたりと、兄として「お世話」をしてきてくれました。
しかし子供の成長は早いもので、あっという間に娘は八太郎さんの体重を超え、早3倍以上の重さに、兄と妹の逆転現象が起きてしまいました。

さぞかし娘は体重差を生かして、八太郎さんを追いかけまわしたりするのだろうなと思っていましたが、期待に反して(?)今度は娘が八太郎さんの「お世話」をし始めたのです。
猫砂をスコップでかき混ぜたり小さなお世話からでしたが、今では八太郎さんのご飯を出すのは娘の役割になっています(私が出そうとすると怒ります)。

八太郎さんのお世話を通じてそうなったのか分かりませんが、弟が産まれた後もヤキモチをやくことなく、娘は弟を良く可愛がり「お世話」をしてくれています。
心なしか最近言葉を覚えるのが早くなっている気がします、きっと幼児の脳に良い刺激と影響を与えているのでしょう。最近は少なくなってきていますが、うさぎを学校で飼育してお世話をすることも、優しさや他人を気遣う子供の心の成長に良いとされています。

最後に

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今回は「お世話」を通じて人と動物が影響し合ったことについてお話しさせていただきました。
一部内容の重いテーマもあったかと思いますが、人は動物をお世話する事により、子供の心の成長、脳への良い刺激、抗うつ作用や老化防止まで様々な良い影響を得ています。

何よりも「お世話」している相手から必要とされるのは、生活の張りが出ますし、何よりも嬉しいですよね。
皆さんの隣にいる大切な家族も、きっとあなたの「お世話」を必要として、「ありがとう」と思ってくれていると思います。
今回もお付き合いいただき誠にありがとうございました。
次回は「猫や子供は親に似る?? 人が子供や動物に与える影響と絆」でまたお会いしましょう。

今回の八太郎
妹がご飯だしてくれておいらは嬉しいですにゃ(八太郎)

プロフィール

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獣医師:徳永秀さん
 
マハロ・ペットワークス 代表獣医師
リライフアニマルクリニック 院長
 
ペット栄養管理士(ペット栄養学会認定)
ペットフード販売士(一般社団法人ペットフード協会認定)
 
動物病院で獣医師として三年半で1万頭以上の犬猫と向き合い、 全国の動物病院やペットオーナー向けの専門商社や事業会社にて、数々の新商品や新規サービスを開発する。

現在は独立し獣医師、ペルシャ猫八太郎の1飼い主としての両方の視点から、 複数の企業の動く顧問として動物病院やペットオーナーにより良い商品やサービスを提供するために奮闘中。

動物系の大学や専門学校にて外部講師をつとめ、学生時代に子供に対するホースセラピーボランティアをきっかけに、動物が与えてくれる人への影響について独自に研究中。

https://relife-animal.com

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