はじめに

日差しが強い日に、散歩やドライブを楽しんでいると、突然体力が低下したように疲れを感じることはありませんか?

体力が落ちたのかな?

年齢的なものなのかな?

と考える方もいるかもしれません。

しかし、実はその疲れは紫外線によるものかもしれません。
屋外で紫外線を浴びることで、私たちの身体は疲労を感じることがあるのです。

しかし、なぜ紫外線を浴びるだけで疲労してしまうのでしょうか?
そこには一定の理由が存在しています。

この記事ではそんな紫外線と疲労の関係について説明していきます。

紫外線を浴びるだけで疲労が溜まる事ってあるの?

私たち人間の、皮膚であり一番外気に触れる表皮には、免疫機能を担うランゲルハンス細胞が存在しています。

この細胞は、異物を検知する能力に優れ、健康的な状態であればリンパ球に異物を伝達して、免疫システムを作動させます。しかしながら、強い紫外線を浴びると、このランゲルハンス細胞は弱ってしまいます。

この状態になると、ランゲルハンス細胞は正常に機能せず、免疫システムが適切に働かなくなってしまいます。
この結果、免疫力が低下し、疲労感を感じることが多くなります。

また、太陽から紫外線を浴びると、身体の自己防衛が働き、活性酸素が生成されます。

この活性酸素は、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃する免疫機能の一部です。
しかし、活性酸素が過剰に生成されると、正常な細胞も攻撃してしまい、疲労物質が蓄積されることになります。

このような理由から、紫外線を浴びると疲労感を感じることになります。紫外線は、1日の中で正午頃、1年の中では6〜8月に最も強くなる傾向があります。注意して対処することが、健康維持に欠かせないでしょう。

紫外線による疲労の予防

紫外線の予防には、様々なスキンケア用品やアイテムが存在します。

例えば、日焼け止めのクリームやローション、UV効果のあるパウダーといったスキンケア用品や、帽子、UV加工されている羽織物やアームカバー、日傘などがあります。

しかしながら、紫外線から疲労を予防するために欠かせない部位は目です。

目に紫外線を浴びると、目の充血やドライアイ、眼精疲労などの原因になってしまうばかりか、瞼裂班(けんれつはん)や、翼状片(よくじょうへん)、白内障など、様々な眼病のリスクの原因にもなることが知られています。

更に、紫外線を浴びて目にダメージを負ってしまうと、脳が「日差しが強い」と認識してしまい、全身にメラニン色素を作るように指令を出してしまうという研究結果も報告されています。

ですので、目の日焼けによる眼病を予防するためには、目に紫外線を浴びないことが非常に重要です。

そのためには、サングラスが最適なアイテムになります。
また、単にサングラスを選ぶだけでは不十分であり、UV加工されたものを選ぶことが大切です。
適切な対策を行うことで、紫外線から身を守り、健康的な生活を送ることが重要です。

紫外線による疲労の解消法

紫外線による疲労は、どうやって解消するのが良いのでしょうか?

紫外線を浴びるということは、目や肌が日焼けしてしまい、ダメージを受けた状態になっています。
肌は日焼けによって乾燥しやすくなっているため、潤いを回復させるためには水分を通常よりも多く摂取することが重要です。

また、肌を早く回復させるためには、アフターケアを入念に行う必要があります。

日焼けしていると肌は敏感になり、弱っているため、再度日焼けをすると、紫外線が肌に浸透し、奥の細胞にもダメージを与える可能性が高くなります。

そこで、早期にケアをして肌を回復させ、健康的な肌を取り戻すことが大切です。

肌を回復させるためには、サングラスを着用したり、UVカット効果のある洋服を着用するなどの対策をし、ダメージを受けた肌には保湿剤を塗ってアフターケアをすることが必要です。

紫外線による疲労解消に効果的な食事

身体の外側からの保湿やケアに加えて、身体の内側からも対策を行うことが大切です。紫外線による疲労を解消するためには、適切な食べ物を摂取することがおすすめです。

紫外線による疲労に効果的な栄養素がいくつかあります。

例えば、ビタミンCは抗酸化作用があり、紫外線によるダメージから身体を守ります。
レモンやオレンジ、いちごなど、多くの果物に含まれています。

また、β-カロテンは紫外線による肌の炎症を抑え、肌を健康的な状態に保ちます。
にんじんやかぼちゃなどの野菜に多く含まれています。

さらに、ポリフェノールには、紫外線による肌の老化を防ぐ効果があります。
ブルーベリーや赤ワイン、緑茶などに多く含まれています。

これらの栄養素をバランス良く摂取することで、身体の内側から紫外線による疲労を解消することができます。日頃から食生活にも注意し、紫外線対策を徹底することが大切です。

ここからより詳しく栄養をみていきましょう。

ビタミンB群

細胞の代謝を促進するビタミンB群は、疲労回復に効果的な栄養素です。

さらに、豚肉はビタミンB群が豊富に含まれている食品の代表格と言えます。

豚肉には、多くの動物性たんぱく質が含まれているため、ストレスや疲労によってダメージを受けた細胞を修復する効果があります。
そのため、疲労を感じている時は積極的に摂取していただきたい食品です。

豚肉を使った料理には、冷しゃぶやポークソテー、野菜炒め、しょうが焼きなど多くのバリエーションがあります。

その他にも、レバーやウナギ、カツオ、マグロなどの豚肉以外の食材にもビタミンB群が多く含まれているため、上手に食事に取り入れることをお勧めします。

身体の外側からのケアに加え、身体の内側からのケアを行うことで、紫外線による疲労をより効果的に解消できます。

亜鉛

亜鉛は、身体に溜まった活性酸素を取り除くことで、疲労回復の助けとなります。

同時に、新陳代謝を促進し、血流を改善する働きもあります。これにより老廃物が排出されやすくなり、疲労の回復につながります。牡蠣が亜鉛を多く含む食品として有名ですが、季節によっては手に入りにくいこともあります。

牡蠣以外にも、ウナギや焼き海苔、大豆製品、シジミなどにも多くの亜鉛が含まれています。

焼き海苔と大豆製品は、手軽に入手できる食品であり、比較的安価であります。
焼き海苔は、おにぎりや海苔弁当に使用でき、大豆製品は、お味噌汁に豆腐を入れたり、油揚げを入れたりして簡単に摂取できます。

大豆製品には、納豆や豆乳などもあり、取り入れやすい食品と言えます。
亜鉛を多く含む食品を食事に取り入れることで、疲労回復や健康促進につながります。

マグネシウム

マグネシウムは、人の身体の様々な部位に存在する重要なミネラルです。日焼けや発汗によって水分やマグネシウムが流れてしまうと、血液の循環が悪くなり疲労感が生じます。

マグネシウムを多く含む食品として、種実類が挙げられます。例えば、ゴマやアーモンド、ピーナッツといったナッツ類、大豆製品、シジミなどがあります。
また、大豆製品やシジミには、亜鉛も多く含まれているため、おすすめの食品となります。

まとめ

紫外線には、皮膚の免疫力を担うランゲルハンス細胞を弱らせ、免疫力低下と疲労感の蓄積を引き起こすという危険が伴います。さらに、疲労が蓄積すると、活性酸素が過剰に生成され、正常な細胞まで攻撃し、疲労物質が蓄積します。

また、紫外線による疲労回復を促すためには、肌の潤いを早めに取り戻し、保湿をするなど、目や皮膚を保護することが必要です。
紫外線による疲労回復のポイントは食事にもあります。

食事においても、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウムを豊富に含む食品を積極的に摂取することが大切です。例えば、ナッツ類や大豆製品、海藻類などが挙げられます。
これらの栄養素を積極的に摂取することで、免疫力を高め、紫外線による疲労回復を解消していきましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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