はじめに

もしも、自分の家族に介護が必要になった場合、自分で介護をしますか?それとも施設へ入居させますか?しかし、自分の仕事の都合などから、すぐに施設に入居を希望しても、人気の施設は待機人数がとても多く、順番待ちをする可能性が高いです。
また、介護する方の症状は、徐々に進行するのではなく突然発症が悪化する可能性もありますので、家族に方にとって心の準備が大切です。 

介護に対する考え方と心構え

介護について事前に準備をしている方は多くないと思いますが、突然、介護生活がやってくる可能性もあります。介護する対する考え方や心構え、どのように向き合えばよいのかをご説明します。

介護に対する考え方

昭和の日本は3世帯以上で生活することが一般的で、もし家族内で介護が必要になったとしても、一緒に同居している家族が自然と介護をしていました。しかし、現在では核家族が増えているため、家族内で介護が必要になった場合、身近に頼れる人もいなく、介護をすることが困難な時代になりました。

しかし、住環境が変化しても「介護は家族がするもの」という考え方は、今でも根付いているため、離れて暮らしている家族をどうにかして介護しよう試みる方もいます。そのためには「住居」や「仕事」などの問題が山積みになります。また、長年会う機会のなかった家族であった場合、本人の今までの生活スタイルや性格自体がわからず心身共に問題が出てきます。

昨今の介護に対する考え方は、介護する側の負担が多く生活の不安などが増えることから「老老介護」や「介護うつ」など他の問題が出てくることが問題視されています。このような問題が起きないためにも一人ひとりが介護に対する考え方を変えていくことが大切です。

介護に対する心構え

介護をするにあたって必要な心構えは主に2つあります。

1.介護される側が快適な生活を送れるようにする
2.介護する側が負担にならないようにする

例えば、介護される本人が快適に過ごせても介護する側の方に負担がかかれば「精神的」や「肉体的」にもよくありません。また、その逆も同じです。「介護する側」と「介護される側」双方にとって負担が少なく、快適に過ごせることが大切です。「負担」や「快適に過ごせない」を感じるときは限界まで我慢せずに早めに周りの方に相談して一人で抱え込まないようにしましょう。

介護する側の方は特に介護は、「この人を介護することは自分にしかできない」と無理をしがちです。しかしそのようなことはありません。介護する側が「介護疲れ」で倒れては状況が悪化します。介護に負担を感じたら、自分以外の家族に協力を求めたり、介護保険制度のサービスを活用して負担を軽減することに努めてください。

介護は自分一人で抱え込む事ではありません。家族や周りの方、行政などと協力して介護することが大切です。

日常生活のサポートについて

介護をする上でまず問題が出てくることは日常生活です。
介護する側が家事などをすべて行うことは、介護される本人の心身が怠け、症状の悪化にもつながりますのでオススメできません。介護される本人ができることは自分で行うことが大切です。そのために環境を整えることや、サポートの方法を考えてみましょう。

住居環境

住宅の中の各部屋や浴室、トイレの出入口に段差があると、つまずきやすく転倒する恐れがあります。
介護保険制度を利用して、バリアフリーや手すりをつけるなどのリフォームを行うとよいでしょう。

食事

麻痺などの症状から今まで通りの食事ができなくなる可能性があります。その場合、食器を変えるなどして介護される側が自分で食べられるように工夫する必要があります。
その他にも、茶碗でご飯を食べることが難しくなった場合はおにぎりにする、具材が大きくて食べられなければ形状を小さくするなどです。
本人ができるだけ自分自身で食べることが大切です。

着替え

高齢になると指に力が入らなくなるなど体の動きに制限が出てきます。ボタンを自分でとめることができなくなった場合は、代わりにマジックテープにするなどして、あくまでも自分自身で着替えることを目標にしましょう。

外出

高齢になると外出先での転倒を心配することなどから外出の機会が減っていきます。外出する時は介護する人が一緒について行き、不安を和らげ楽しい時間を心がけましょう。すると次回への外出へも意欲が出るきっかけにもなります。その際、靴も自分で脱ぎ履きしやすいタイプのものを選ぶようにしましょう。杖などの補助具を使うこともよいでしょう。

その他

その他にも生活面で介護する側がサポートできることがたくさんあります。例えば入浴・排せつなどです。必要に応じて本人の体の状態にあったサポートをしていきます。また、高齢者の方は環境などの急な変化を嫌う方もいますので、少しずつ環境を整えることが大切です。

まずは本人が自分で日常生活を送ることができる環境作りが大切です。その上で介護する側がサポートしていきましょう。サポートする際は、本人の自尊心を傷つけないためえにも、さりげなく行うことを心がけてください。

介護に必要なメンタルサポートとは

年齢を重ねると身体面でなく、精神面にも不安に感じる方が多くなります。
「自分はこの先どうなるのだろう?」と漠然と考えることが増えてきます。そのような時、介護する側の方が協力して不安を取り除くことが心のケアとして大切です。

まず本人の気持ちや考えに同調し、理解してあげましょう。
本人の話を聴いてあげることは理解を深めるためにとても効果的です。その際、本人に寄り添って目を合わせ、話に付き合うようにしましょう。

そして、話を聴いた上で、会話の内容がなぜそう思うのか聞くなどして理解を深めていきます。そうすることで、本人の不安を取り除くきっかけとなり、精神面でもサポートすることができます。
決して介護する方が本人の話をさえぎって自分の話をしたり、自分の意見を押し付けないようにしましょう。

また、介護する方も介護の不安や今後の不安など精神面で不安になると思います。そんな時は「介護うつ」にならないためにも、他の家族などに話をしたり、それができなければケアマネジャーなどに相談するように心掛けてください。

介護する側も介護される側も精神面で不安が軽くなるように、介護をしている本人だけでなく家族や友人など周りの人にもメンタルサポートしてもらうようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
介護は一時的なものではなく、長期間に渡り向き合わなければならず、簡単なことではありません。介護する側の方が無理をすることのないように周りの方も率先してサポートする意識を持ちましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田 早苗

・総合診療医 院長 豊田 早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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