お灸とは

お灸とは、ヨモギの葉の産毛である繊毛(せんもう)を精製してできた、艾(もぐさ、やいと)を使い、身体を温める方法です。温めることによって血流が良くなったり、免疫力が高まったりして、各々の症状を和らげる効果が期待できます。
温め方や置く方法も様々にあります。有痕灸と呼ばれる、米粒大から大豆大の艾を皮膚に直接乗せて焼ききり、皮膚にお灸の痕を残す方法や、無痕灸と呼ばれる、皮膚にお灸の痕を残すことなく終わる方法があります。現在では有痕灸は少なくなっています。
また、艾の下にショウガやニンニクなどを置いて熱を伝える隔物灸というものもあります。

ここでは、無痕灸や隔物灸として知られる、『へそ灸』について紹介していきます。

へそ灸とは

へそ灸とは、読んで字の通り、臍(へそ)にお灸をすることです。お灸といっても、直接艾(もぐさ)を臍に乗せるのではなく、艾との間に緩衝物をかませて、じんわり気持ちよく温める方法をとります。

臍には神闕(しんけつ)というツボがあります。神闕には、神の宿る場所という意味が込められています。小さい頃、「お臍はいじっちゃダメだよ」と言われた方も多いかと思いますが、臍は繊細で敏感な所で、臍に何かを施すと反応が直ぐ出ることから言われたのかもしれません。

へそ灸のやり方

へそ灸にも色々なやり方がありますが、隔物灸が一般的です。ガーゼを臍に乗せ、その上に塩(又は味噌・ショウガ・ニンニク)を乗せ、その塩の上にお灸を据える方法が多いです。
注意点は熱しすぎず、じんわりと温かく気持ちの良い温度を保つことです。
この方法はなかなか自宅では難しいですが、最近では家庭でへそ灸ができる商品もいくつかあるようです。

また、へそ灸と合わせて仙骨(背骨の一番下とつながる骨盤背面にある骨)部分にもお灸をすると、なお効果的です。
これを打ち抜きの灸といい、前後から温めてあげることで効果が更に上がるといわれています。要領はへそ灸のやり方と同じです。

女性に嬉しい効果のあるへそ灸

へそ灸は、胃弱、下痢、便秘、泌尿器障害、自律神経の症状など、内臓の症状に効くといわれています。

また、女性ホルモンのバランスを整えるため、生理痛、生理不順、不妊、冷え性、むくみなどの婦人科疾患の症状に効果があるという報告もあります。
また、お腹が温まると、内臓が働きが改善されて肌のつやも良くなり、美容効果やアンチエイジングも望めます。
女性の方は男性よりも、ホルモンや体温の変動が激しいので、へそ灸でホルモンと内臓を整えるうえで、とてもおすすめです。

へそ灸の頻度

何らかの症状がある時は、へそ灸を1〜2週間続けると効果が出てきて、その後、症状が落ち着くといわれています。へそ灸はそこまで刺激が強くないので、毎日行っても問題ありません。
鍼灸院に通った方が効果的といえますが、ある程度回復したら、指導を受けて自宅で行うことも効果的です。昔は、鍼灸師の先生が自宅でもできるよう、患者さんにお灸のやりとりを指導したという話があります。なかなか自宅でお灸をすえるのは難しいですが、今は自宅でもへそ灸ができる類似品があります。鍼灸師の指導や取扱説明書に従い、時間がある時はへそ灸を試してみるのもいいでしょう。1日1回、約20〜30分程度の時間を取り、お灸をすると良いです。寝る前に行うとよいでしょう。

おわりに

「お腹は冷やすな」と、昔からいいますが、お腹を温めると血流が促進されて、全身温かく感じると思います。へそ灸をすると、お腹からじんわりと温まって内臓や肌など女性が気になる箇所へ働きかかてくれます。

ぜひ一度へそ灸をしていたたぎ、その変化を体感してみてください!

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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