筋肉をつけるには

ビタミン・ミネラルもバランスよく摂取

筋肉、血液、皮膚、髪の毛、爪など、身体の多くの部分は、たんぱく質から出来ています。
「肉や魚などのたんぱく質だけをたくさん食べていたら、筋肉量が増えるの?」と疑問に思うかもしれません。これは、間違ってはいませんが、正解でもありません。
筋肉をつけたい方には、もちろんたんぱく質を多く摂っていただきたいですが、それだけで筋肉がつくほど、身体のつくりは単純ではないのです。

口から入った食事は、体内で消化・吸収され、代謝(栄養分をエネルギーや身体の一部に作り替えること)されていきます。
この過程で必要なのが、ビタミン・ミネラルです。たんぱく質の代謝には、ビタミンB群(特にB₆)、ビタミンD、亜鉛などが欠かせません。
つまり、肉や魚を食べるだけでは、せっかく摂ったたんぱく質が効率的に筋肉にならないのです。

必要なたんぱく質の量を知る

筋肉をつけたい場合、自分がどのくらいのたんぱく質を必要としているかを把握することも大切です。
以下の式を参考に、たんぱく質の摂取量を見直しましょう。
1日に必要なたんぱく質の量
= 自分の体重(kg)× 体重1kgあたりのたんぱく質必要量 (g)

体重1kgあたりのたんぱく質必要量の目安は、運動の種類や量で変わります。
・特に運動をしていない 0.8g
・30分間程度の運動を週に4~5回 0.8~1.1g
・筋力を維持するためのトレーニング 1.2~1.4g
・筋力を増強するためのトレーニング 1.6~1.7g
・持久性のトレーニング 1.2~1.4g
・継続的な強度の高いトレーニング 1.4~1.7g
【引用元①】
コンディショニングのスポーツ栄養学
著者:樋口 満
発行元:市村出版
該当するページ:63

【引用元②】
あなたに必要なタンパク質と糖質の最適な量とは
発行元:森永製菓(かんたん、わかる!プロテインの教科書 森永製菓のプロテインのポータルサイト)
ウェブサイト:https://www.weider-jp.com/protein/columns/detail/?id=3&category=muscle

筋肉をつけたい人におすすめ食材ベスト5

1. 鶏肉(ささみ、むね肉)

高たんぱく質食材の定番として知られているのが、鶏のささみやむね肉です。
低脂肪でありながら、筋肉が作られる際に必要なビタミンB₆も豊富に含まれています。
また、鶏むね肉には抗酸化作用、疲労回復効果のある『イミダペプチド』も含まれます。
安価で購入できるのも魅力の一つでしょう。

●鶏ささみ肉(100gあたり)
エネルギー:105 kcal、たんぱく質:24.6 g 
●鶏むね肉(100gあたり)
エネルギー:108 kcal、たんぱく質:24.4 g 

2. ツナ缶

調理いらずで、手軽にたんぱく質を摂取できるツナ缶は、トレーニングをしている方におすすめの食材です。
オイルタイプ、水煮タイプ共に、ビタミンB群と鉄分を含んでいます。
余分な油分を含んでいない水煮タイプものがよりおすすめですが、味に物足りなさを感じる方は、オイルタイプのツナ缶の油分を切るなどして味と脂質を調節してください。

●水煮タイプのツナ缶(100gあたり)
エネルギー:71 kcal、たんぱく質:16.0 g 
●オイルタイプのツナ缶(100gあたり)
エネルギー:267 kcal、たんぱく質:17.7 g  

3. 卵

卵は低価格で栄養価が高い優良食品です。なんと、食物繊維とビタミンC以外のすべての栄養素を含んでいます。
コレステロールが多く、過去には1日1個食べるのがが望ましいとされていました。しかし、現在は、健康な人ならば1日2~3個食べても、コレステロール値に大きな変化はなかったとの研究結果があります。(※参考1)

●鶏卵(100gあたり)
エネルギー:151 kcal、たんぱく質:12.3 g

4. 納豆

「畑の肉」と呼ばれているのが、大豆製品の納豆です。
他の食材と比べて好き嫌いが分かれやすいですが、ビタミンB群、マグネシウム、鉄分などの多くの栄養素を含んでいます。
発酵食品である納豆は、加熱せずに食べることがおすすめです。これは、納豆に含まれる『ナットウキナーゼ』という酵素やビタミンB群は熱に弱いためです。

●納豆(粒)(100gあたり)
エネルギー:200 kcal、たんぱく質:16.5 g

5. 無糖ヨーグルト

乳製品のたんぱく質には『BCAA(分岐鎖アミノ酸)』が豊富に含まれています。BCAAには、たんぱく質分解を抑制したり、たんぱく質の合成を促進する働きがあります。
牛乳などの他の乳製品より、ヨーグルトの方が、乳酸菌の働きによって分解吸収されやすいのが魅力です。

市販のヨーグルトには、フルーツの味がついたものや砂糖が加わったものがたくさん出回っていますが、余分な糖質が脂肪になってしまうので、注意が必要です。無糖のヨーグルトを選ぶようにすると良いでしょう。
また、筋トレ後、たんぱく質と糖質補給をしたい場合には、バナナと組み合わせると良いでしょう。

●無糖ヨーグルト(100gあたり)
エネルギー:62 kcal、たんぱく質:3.6 g

食材の食べ方と注意点

鶏・牛・豚などの肉類、魚介類、卵、大豆製品など、様々な食材にたんぱく質は含まれています。
高たんぱく質な食材には、それぞれに特徴があるため、たんぱく質量だけでなく他の栄養面や食べやすさなども考慮して選んでみてください。
色々な種類の食品を摂取し、バランス良くたんぱく質を摂るのが理想的だといえます。

おわりに

筋肉がつきやすくなる食材を5つご紹介しました。現在の食事と比べていかがでしょうか?取り入れられそうな食材は見つかりましたか?

たんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルなどの「+α」がある食材を基準に選んでいます。
特別な食材はなく、どれもスーパーでそろうと思います。
筋トレの効果を最大限に活かすために、この5つの食材をぜひ取り入れてみてください。

参考文献

※参考1
資料:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
発行元:厚生労働省 健康局がん対策・健康増進課栄養指導室
該当する章:P. 125「2─7.食事性コレステロール」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042631.pdf

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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