はじめに

10円玉大から500円玉大と様々な大きさ、そして場所も特定せずに生じてしまいますが、
たいていは少しずつ脱毛していくのではなく気がついたら円形脱毛症になっていたとうパターンが多いと思います。気が付いたときには誰もがショックを受けるもの。

原因は何かあるだろうか、いつからこうなったんだろうかと記憶をさかのぼっても見当たるものもなく只々、そこからの毎日が苦痛と心配に明け暮れることになると思います。

円形脱毛症の経験のある方も、ちょっと心配のある方も、今後に生じた時には落ち着いて受け止められるように知っておきましょう。円形脱毛症についての徹底解明です。

円形脱毛症は不特定多数に発症する

前触れもなく生じてしまう円形脱毛症は、多くの人の悩みとなり改善した人は逆に今後の心配をする人が多いかと思われます。
円形脱毛症は赤ちゃん、幼児、大人と成長段階に関係なく、また性別にも関係なく発症します。脱毛部位の発見も自分以外の人に指摘を受けて初めて知るくらい自覚症状は全くありません。

それに、一度円形脱毛症の経験があるからといって免疫がつくわけでもなく、何度でも繰り返されるものです。
一部の円形脱毛症を発した人の60%はそのままでも自然治癒しますが、頭にいくつもできてしまった場合には自然治癒では困難となり、何らかの治療を受けなければならなくなります。治療を受けた人では2年以内には改善する事が多いようです。

円形脱毛症の症状は頭部だけではない

●単発性通常型
円形脱毛症にかかった人のほとんどがこのケースです。大豆大から500円玉大まで様々です。

●多発性通常型
脱毛班が2カ所以上ある場合のことです。

●蛇行型
髪の生え際を中心に蛇が這ったあとのように細長い形状で脱毛します。
比較的子供に多く見られるのが特徴です。

●全頭・全身型
単発型の脱毛班が頭部全体にいくつも生じて、髪の毛が大半抜け落ちてしまう。または、
頭髪だけにとどまらず、まゆ毛やまつ毛、ひげ、脇毛、陰毛とあらゆる毛根にダメージが広がっていきます。

円形脱毛症の原因は特定していない

だんだんと物にも困らない豊かな社会となっていく中で、比較的増えていく病気の一つです。さまざまな研究者たちが努力していますが、本当のところ、いまだ原因の特定はされていません。
しかし可能性として高いと思われる内容、もしくは原因を誘発させる因子などはいくつか挙げられています。

自己免疫疾患

多くの研究で、自己免疫機能の異常が大きな原因だろうということまでは発表されています。Tリンパ球が毛包細胞を異物だとみなしてしまい攻撃し、破壊するためにおきる脱毛ですが、この現象を引き起こすメカニズムについてはわかっていません。

アレルギー性

化学製品や食べ物などに対してアレルギー反応を起こしてしまうことで、細胞が炎症を起こす。これが毛髪に関わるヘアサイクルを狂わせてしまって脱毛となるのではないかといわれていますが、はっきりとした解明が成されていないのが事実です。
しかし円形脱毛症になった人の30%がアレルギー体質ということ、アレルギーに関わる脱毛症は男性よりも女性に多く見られることはわかっています。

精神的ストレス

ストレスは全くなしには生きられませんが、過剰になってしまうと交感神経を優先としてしまいます。普段は副交感神経の「静」の性質と対比してバランスを保っているものですが、交感神経が活発になってしまうとまずは血管を収縮させてしまいます。
血液は体の根本を作っている細胞に酸素や栄養を運ぶ任務に当たっているため、血流が悪くなると頭皮や毛根に関わる細胞へ栄養が行きわたらなくなってしまいます。結果として脱毛を促進させてしまうことになります。

遺伝

明確な研究発表はありませんが、統計的に30%未満と言われています。
親が円形脱毛症の経験があるからと言って、子供も絶対に受け継ぐというものではないとわかりますが、絶対に遺伝しないということでもないようです。
ストレスからつながっての円形脱毛症であれば、くよくよ考えたりストレスを受けやすいといった環境や性格が親子で似ているということも関係することでしょう。

円形脱毛症には対処療法

根本的な原因がはっきりしないので対処療法しかありません。
内服薬としては血管拡張によって血流を良くする作用の薬や、炎症をおさえる副腎皮質薬(ステロイド薬)。

外用治療としては副腎皮質薬(ステロイド薬)の塗り薬や、局所注射。重症な場合には液体窒素凍結治療や免疫回復させる目的で紫外線を照射するPUVA療法などが用いられます。

病院の対処治療に加えて、日常生活において食事内容、栄養バランスの見直しやストレスの解消に取り組む、頭皮マッサージなども行うことも治療の一環となります。

まとめ

円形脱毛症の根本となる原因やメカニズムがはっきりすると治療はもとより、予防や対処法も増え、円形脱毛症になる人は少なくなるのですが、今は仮説における内容を回避することが一番の予防や対処法となります。
円形脱毛症を自覚すると、それによってもストレスが増加することになるので悪循環と言えましょう。また再発しやすいということで部分的な脱毛が頭全体になってしまうのではないかという不安もまた増します。円形脱毛症になったら、一人で悩まずに誰かに相談する、または医療機関を受診することが一番必要なこととなってきます。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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