はじめに

会社から義務付けされた、または自発的に受けようと思った健康診断。
どちらにしても気持ちは楽ではないかもしれません。

何よりも前日から気を使わなければならない、結果がとんでもなく悪かったらどうしようなどと考えるだけでも憂うつになることもあるでしょう。

しかし、一年に一回程度の緊張だと割り切って、正しい結果が出るように試みるのはいかがでしょうか。
健康診断がその後の健康にしっかり反映されるような準備はどんなものなのか見てみましょう。

健康診断前日の飲酒は絶対にダメ?

健康診断の注意書で「飲酒はお控えください」などの文を目にしますが、毎日の晩酌が欠かせない人や、前日にどうしても外されない飲み会などがあるなど、健康診断を前に飲もうかどうしようか迷いどころという人もいるのではないでしょうか。
では、まずは前日のアルコール摂取が健康診断にどんな影響を与えるのか理解しましょう。

中性脂肪

アルコールは中性脂肪値を上昇させます。
アルコールは、カロリーが少ない、肥満の原因はアルコールではなく
一緒に食べる酒の肴にあると考えている人はNGです。

アルコールそのものも立派に中性脂肪の増加に貢献します。
しかしアルコールは種類によって希釈したり、氷を入れたりと飲み方が異なるので
量だけでは比べられないこともありますが、やはりビールや日本酒の摂取カロリーは高くなる傾向です。

(100ml中)
・ビール :42kcal
・ワイン :80kcal
・日本酒 :105kcal
・焼酎  :140kcal
・ウイスキー:241kcal

また身体の機能として、アルコールが分解される時に中性脂肪の合成が、より多くなされるということがわかっています。
この代謝が進めば進むほど、肝臓に蓄積されて脂肪肝になることもあります。

肝機能

アルコールは、γ(ガンマ)‐GTPの数値を上昇させます。
アルコールによって胆管に支障が生じたり、胆汁の流れに問題が起こるとγ(ガンマ)‐GTPが多く血液内に漏れ出します。

尿酸

アルコールの飲用は尿酸値を上昇させ、尿酸値が高くなると痛風を引き起こします。
アルコールが分解される時に尿酸が産生されて蓄積されます。

また、アルコールの中にプリン体という物質が含まれているものもあり、
このプリン体が尿酸を作る元にもなります。
プリン体の含有量が多いアルコールは、ビールです。

血糖

アルコール飲用は空腹時血糖値を上昇させます。
アルコールの種類も様々ですが、原料となるものが麦や米の物があり、
その中のデンプンが糖質となるために値が上昇します。
糖尿病リスクの一つです。

アルコール分解は時間が必要

アルコールが分解されて平常に戻るまでには個人差はありますが、9~10時間は必要です。
水を飲むと大丈夫と考えがちですが、血液検査にはほとんど効果がないので、再検査などの結果を回避したいならば、前日は禁酒が良いと思われます。

お酒以外に飲料水や喫煙も影響する?

アルコール以外の飲料水

飲み物においては、アルコールだけ避ければよいという考えもNGです。
アルコールも糖質が含まれていますが、炭酸飲料水や果汁系の飲料水もたっぷりと糖質が入っていますので取り過ぎには注意が必要です。

空腹時血糖値の上昇につながり、糖尿病の疑いありと診断されるかもしれません。

また、カフェインの摂りすぎも検査結果に影響が出ることがあります。
カフェインは血圧を上昇させる働きがあるという説もありますので注意が必要です。

喫煙

喫煙者に半日以上の禁煙を制約することは難しいと思いますが、たばこのニコチンは血管を収縮させますので、血圧に影響がでたり、胃がただれる原因もなりますので、胃カメラ検査などがある場合は、指摘されることになるかもしれません。
できる限り禁煙を心がけるのが良いと思われます。

検査結果を適切にするための事前準備

いつもの生活スタイルのままで良い検査結果が出ることが一番望ましいことですが、やはりより健康な状態を検査結果の数値として得たいもの。
そうするためにも必要な事前準備事項を挙げてみました。

食生活

▪コレステロール値や中性脂肪値、空腹時血糖値の「異常あり」を避けるための禁忌

・脂っこい食品
・甘いものの過剰摂取
・暴飲暴食
・アルコール
・カフェインの過剰摂取
・過剰な喫煙

アルコール

検査時間の10時間以内は厳格な禁酒。
もしも避けられなければ、早い時間に飲み終えるか、アルコールの種類もカロリーなどに考慮する、量は少なくするなどの工夫をしてください。

運動

過激な運動は、腎臓に負担がかかるので、尿酸値の上昇や尿たんぱくの陽性につながる可能性があります。
運動は軽めに抑える。運動後は水分補給をしっかりするようにしてください。

睡眠

睡眠不足は血圧の上昇や、尿検査に支障を来たす場合がありますので、しっかりと睡眠と休息をとるようにしましょう。

時間厳守

健康診断の説明書などに記載されている絶食時間は絶対に守りましょう。
夕食のあとは間食などは避けた方がいいです。
また、病院から処方されている薬の内服や内服時間は、事前に確認をとっておきましょう。

まとめ

健康診断は制約事項が多くて、ストレスに感じる人もいるかもしれませんが、守るべきことを守らずして、再検査となったほうがもっと精神的な苦痛となると思われます。

健康診断はとても重要なことです。また、たった一日で終わることです。
一度で一番良い結果を出せるように、最善の注意を払うことが重要ではないでしょうか。

監修

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

・千葉大学医学部附属病院 宮山 友明

専門分野 
循環器内科

経歴
1998年 千葉大学医学部医学科卒業。
2008年 千葉大学大学院医学薬学府環境健康科学を専攻し、医学博士号を取得。
現在 千葉大学医学部附属病院循環器内科医員として、心臓専門医として診療、研究。

資格
医師免許

活動:
日本抗加齢医学会専門医としてアンチエイジング医学、日本医師会認定健康スポーツ医としてスポーツ医学にも取り組み、各種メディアで活動中。

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