里帰り出産のメリット

里帰り出産とは、妊婦さんが自分の住んでいる市区町村ではなく実家に帰り、実家や実家の近くの病院で出産をすることです。

夫婦だけだと陣痛がきた時に病院へ連絡するタイミングがわからなかったり、緊急時の対応に困ったりすることがあります。
里帰り出産では、出産経験のある母親がいるので、心強く感じられるでしょう。病院へ一緒に来てくれたり、緊急時にすぐに助けてもらえたりするという安心感もあります。

また、出産後は体も元のように戻っていない内に赤ちゃんの世話が始まります。昼夜関係なく授乳やおむつ替えなど頻繁にしなくてはならず、寝不足の中での家事はとても大変です。
里帰り中であれば、家事や育児など手伝ってもらえることもあるので、体力的にも支えてもらえるという利点があります。

里帰り出産で必要な手続きや準備

出産に向けての準備などやらなければならないことがたくさんありますが、分娩予約ができていなければ無事に出産をすることができませんので、手続きがとても大切です。

1. 病院選び

まずは、出産する病院を選びます。妊婦健診は行っていても、分娩は行っていないという病院もあるため、注意して選ばなければなりません。
現在では、産婦人科医が不足していることにより、里帰り出産は受け付けていないという病院も増えています。
また、立ち合い出産をしたい、出産の様子を残したい、無痛分娩を希望するなど、様々な出産計画があると思います。病院の意向によっては受け付けていないこともあるので、情報収集は早めにしっかりとしなければなりません。

2. 紹介状の準備

分娩する病院を決めたら、現在妊婦健診などで通っている産婦人科に里帰り出産することを伝え、紹介状を出してもらう必要があります。
里帰り出産の場合には紹介状がないと受け付けてもらえないことがほとんどです。

また、妊娠中は体調の悪化など思わぬトラブルが起こることもあります。
その時には里帰り出産ができない場合もありますので、担当の医師に相談しましょう。

3. 里帰り出産の病院の分娩予約

妊娠5~6週間で赤ちゃんの心拍や、『胎のう』という赤ちゃんを覆う袋が確認でき、母子手帳の交付を受けることができます。
この時期から分娩予約を行っているという病院が多く、ほとんどの場合は、予約前に一度診察を受けなければならないという条件があります。
週数は病院により決まっており、妊娠12~20週までに終えるというところが多いようです。

里帰り出産であることを事前に伝え、初診の予約を取ります。初診の時には、現在通っている病院からの紹介状を提出します。

4. 家族との話し合い

手続きとは少し違いますが、旦那さんともしっかりと話し合いをしておくことも大切です。
いつから実家に帰るのか、いつ頃戻る予定なのか、また病院の場所や面会方法なども伝えておくことで、いざという時に旦那さんも落ち着いて対処できます。
受け入れてもらう実家にも里帰りをしたいという旨や、予定などはしっかり伝えておきましょう。

帰省する時期

里帰りするときの帰省の目安は、妊娠30~35週です。
出産前の妊娠後期の妊婦健診は里帰りの病院となることも多いため、この時期には実家に戻るとよいでしょう。初診、分娩予約の時に帰省する時期を指示されることもあります。
『正産期(妊娠37~41週)』になると、いつ陣痛が始まってもおかしくない状態になるので、余裕を持って帰省しておくことをおすすめします。

ただし、あまり早すぎると旦那さんが自宅に1人になってしまう時期が長くなったり、上の子などがいる場合には、幼稚園や保育園を長く休まなければならなくなったりするなど、家族への負担が増えますので、家族でよく話し合いましょう。

里帰り出産に必要な持ちもの

出産に必要なものは大きなバックにまとめておき、いつでも入院ができるような準備をして里帰りをすると安心です。

1. 入院中に必要なもの

病院で持ちものリストなどをもらえますので、それを参考に準備しましょう。基本的な持ちものは、以下の通りです。

・母子手帳
・健康保険証
・診察券
・印鑑
・産褥ショーツ(2~3枚、股の部分が開閉できるようになっているもの)
・産褥用ナプキン(出産後の出血を吸い取るために使われる衛生用品)
・パジャマ(前開きのもの、授乳用のファスナーが付いたものが便利)
・授乳用のブラジャー
・タオル
・ガーゼ
・歯磨き・洗面用具
・ティッシュペーパー
・骨盤ベルト
・綿棒
・清浄綿
・母乳パッド
・退院のときの赤ちゃんの洋服
・退院のときのママの洋服

パジャマやショーツ、ナプキン、タオル、歯磨きセットなどは病院側で準備してくれるところもあります。
また、母乳パッドなどは産後すぐには母乳がうまく出ないため、必要なかったという声も多く聞かれます。

2. 入院中にあると便利なもの

・飲みもの
・テニスボール
・ストロー
・軽食
・デジタルカメラ
・授乳クッション

陣痛が始まり、時間が長引くと食事などが取れなかったり、食事どころではなくなってしまったりすることがあるので、ゼリー状の栄養補助食品などがあると便利です。
また、陣痛のときには起き上がって飲みものを飲むのは大変ですので、ストローがあるとスムーズに飲みものを飲むことができます。
テニスボールは陣痛がきたときにテニスボールをお尻に当てると楽になるので、準備するという方も多くいます。

3. 産後に必要なもの

・産後の授乳用のトップスなど
・マタニティボトムス
・産後用の補正下着

産後はすぐに体型が元には戻りませんので、マタニティウェアが必要です。産前でも産後でも着られる洋服を準備すると、荷物も比較的少なくて済みます。

おわりに

里帰り出産をすると、出産を経験した母親や頼りになる親族がいるので、いざという時にも心強いと思います。

しかし、病院の情報収集を早めにしっかりしておかないと、分娩予約などが取れないなどのトラブルがあることもありますので、注意しなければなりません。
また、旦那さんとは少しの間離れなければなりませんので、事前に話し合っておくことも大切です。
いざ陣痛がきても対応できるように、持ちものを事前に準備して帰省するようにしましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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