初産と2人目以降の出産の違い

1.お産の経過

一度出産を経験している女性の子宮口は初産のときに比べて開きやすくなっています。
初産の方は陣痛の間隔が10分おきになったら病院に向かうように言われるのが一般的ですが、経産婦の方の場合はそれよりも早めに、15分おきになったら病院に向かうように言われることが多いようです。
出産経験があることで少し心に余裕があることや、上のお子さんが一緒にいて病院へ向かう準備が手間取ることから、経産婦さんは病院へ向かうのが遅くなりがちなので、ぎりぎりまで自宅で粘らないように注意が必要です。

2.後陣痛

『後陣痛』とは、出産後に子宮が元の大きさに戻ろうと収縮することによって感じる痛みを言います。軽い生理痛に似た痛みの場合もあれば、陣痛に劣らない痛みを感じる方もいらっしゃいます。
一般的に初産婦さんに比べて、経産婦さんの方が子宮の伸び縮みが良いため、後陣痛を強く感じる方が多いようです。ですので、初めてのお産のときに後陣痛をあまり感じなかった場合でも、心の準備はしておいた方が良いかもしれません。
出産後に体が元に戻っていく過程として大切なことではありますが、この痛みのために睡眠不足になったり、リラックスできないようであれば、鎮痛剤の処方をしてもらうこともできますので、ひどい場合は医師に相談してみましょう。

3.入院の際に上のお子さんを預ける

入院中の数日間はどうしても、上のお子さんはママと離れて生活しなければなりません。
普段の世話はママがしていることが多いと思うので、急に入院しても困らないように、入院中に誰が世話するのか早めに相談しましょう。その方に世話の仕方、洋服や日用品の場所などを伝えておく必要があります。

また、ママから離れる経験が初めてのお子さんも多いのではないかと思います。精神的に不安定になり、いつもはスムーズにできることもできなくなったりすることもあるかもしれません。
妊娠中からしっかり上のお子さんと話をし、入院中は離れて生活しなければならないこと、これから生まれてくるお子さんのことを説明して心の準備をさせてあげましょう。
詳しくは次の項で述べていきます。

上のお子さんと一緒に準備しておくこと

年齢にもよりますが、上のお子さんはママの妊娠を知ったときから、自分に弟や妹ができるわくわく感とママやパパをとられてしまうのではないかという不安、新しい家族が増えたらどんな生活になるのかというドキドキ感など様々な感情と葛藤しています。
かまって欲しくてわざとママを困らせたり、普段は自分でできることをできないと甘えたりする『赤ちゃん返り』はそのような感情の現れです。それを理解して気持ちに応えてあげることで、ある程度は赤ちゃん返りが解消されるかもしれませんが、下のお子さんの世話がままならないほど手がかかっては、ママも疲れてしまいます。
ですから、出産後にそういったことで困らないようにするために、出産前から上のお子さんがお兄ちゃん、お姉ちゃんになる心の準備を一緒にしていく必要があります。

子育て論は色々ありますが、一番大切なのは、「下の子が生まれても上の子が2番になるのではないこと」、「上の子のことはこれからも変わらず愛していること」をしっかりと伝えてあげることです。
お腹が大きくなるとどうしても抱っこが難しくなったり、日常の動作に時間がかかってスキンシップをすることが少なくなりがちですが、上のお子さんだけにしっかり愛情を注いであげられる最後の時間なので、膝の上に座らせてしっかりと抱きしめてあげるなど、安心できるようにしてあげてください。
その上で、妹や弟が生まれたらどんな生活になるか、どんなふうに可愛がってあげたらいいかなど出産後のことを少しお話してあげると良いでしょう。
上のお子さんがママやパパの愛情をしっかり感じて安心すると、ママやパパと一緒に下のお子さんの世話してくれたり、可愛がってくれたりするようになります。

出産後、下のお子さんに手がかかり、上のお子さんへの愛情表現がおろそかになってしまうと、上のおこさんの気持ちが不安定になることがあります。そのようなときは、パパや他の家族に下のお子さんを少し預けたり、下のお子さんが寝ていたりする間に、上のお子さんがママを独り占めできるように工夫してみてください。上のお子さんの気持ちが安定していると、2人育児が驚くほど楽になります。
ただ、一時、上のお子さんが落ち着いても、自分に関心がなくなるとまた赤ちゃん返りを起こすことが多いようです。ですので、できるだけ上のお子さんとも定期的に2人や3人(上のお子さん、旦那さん、自分)になれる時間を定期的に作りましょう。学校の送り迎えの間などの隙間時間でも大丈夫ですので、一緒に過ごせる時間を頑張って作るようにしてあげてください。

旦那さんと一緒に準備しておくこと

2人目の出産前にまず、パパと話しておきたいのが陣痛が始まった時の対応です。
陣痛はいつどこで始まるかわからないので、パパが仕事のとき、深夜寝ているときなど、いろいろなパターンを想定しましょう。上のお子さんの預け先や誰が病院に付き添うのかなど、ある程度決めておくと安心です。

また、ママの入院中に中心となって上のお子さんの世話をすることになるのがパパです。
ママの世話する様子を普段から見て、準備がばっちりなパパもいらっしゃるかもしれませんが、子どもの服がどこにあるか、保育園や幼稚園の持ち物、朝起きる時間など細かいことはご存知ない方も多いでしょう。

上のお子さんにとってはママが入院して不安や寂しい気持ちがあるうえに、パパがママの代わりに世話をすることで生活スタイルが大きく変わります。このようなときに、パパの心に余裕がなくなってしまっては、ますます落ち着かなくなってしまいます。
ですから、なるべくパパが手際よく、いつもの生活スタイルに近い形で日常生活を送れるように準備しておきましょう。入院までにママは必要なことをパパに伝えておいてください。もちろん口頭で伝えるのも良いですが、困ったときにすぐにわかるるように、重要なことはメモなどにまとめておく方が良いかもしれません。

また、前項でも述べたような上のお子さんの気持ちについて夫婦で話し合い、意見交換をしたり、対応について共通見解をもっておくと、出産後もスムーズに新たな生活が送れるでしょう。

2人目出産の心得

2人目の出産は、自分とお腹の赤ちゃんのことだけでなく、上のお子さんや上のお子さんのお世話をする家族など色々な人のことを考えなくてはなりません。
その結果、出産前も後もママは無理をしてしまいがちになり、なかなか思うように休息がとれなくなります。
しかし、ママが無理をしてしまうとお腹の赤ちゃん、生まれてきた赤ちゃんに負担がかかってしまいますし、ママが倒れてしまってはますます家の中が困ったことになります。
ですから、自分で思うより少し早めに休憩をとるように心がけ、家事や育児に対してあまり完璧を求めないようにし、出産前後の体を労わってあげるようにしましょう。

まとめ

出産は予定外なことも多く、いくら家族と話し合って色々なことを決めていても、思い通りにならない場合がたくさんあります。
ですから、できる限りの準備をしたうえで、上のお子さんやパパのことを考えつつも、自分やお腹の赤ちゃんの健康を最優先してください。家族で協力しながら2人目以降の出産を迎えましょう。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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