目次

・はじめに
・血管力とは?
・血管年齢とは?
・血管で起こる病気
・血管とコレステロールとの関係性
・血管のための食生活とは?
・生活習慣のポイント
・まとめ

はじめに

体に流れる血液を、全身に送っているのが血管です。
生活習慣病においても、血管の状態が悪くなることで起こる病気がいくつもあります。

しかし、どんなところに気をつけたら良いのか、何がポイントになるのかわからないものです。
どんなことを気にしたら良いのか、整理していきたいと思います。

例えば、下記を見てください。
気になるけどはっきりしないこともあるのではないでしょうか?

・血管が悪くなるとなにが起きるの?
・脳出血と脳梗塞の違いって?
・コレステロールは悪くない?
・お年寄りだけでなく、若い人でも注意が必要?

この記事ではそんな方にわかりやすく解説していきます。
血管力を上げるちょっとしたコツを実践することで、健康だけでなくアンチエイジングにもつながります。

知っておきたい血管力の魅力についてもお伝えします。

血管力とは?

まずは血管がどんなものなのか説明していきます。
血管とは、呼んで字のごとく血液を全身に通わせている管(くだ)です。

ヒトの営みとして各臓器が機能的に動くためには栄養が必要です。
また活動することで老廃物が出るので、それを運搬する必要があります。
血液が体内を循環することを血行と呼んでいます。
この血行が促進されることで健康的に生活できるのです。
逆にこの血行が損なわれてしまうと不健康な症状を引き起こします。

・動脈(※写真の赤い管)

心臓のポンプ作用によって押し出された血液を全身に運んでいます。
動脈を通る血液は酸素を多く含んだ動脈血です。
血管の壁が厚く、触って拍動を感じることができるのが動脈です。

・静脈(※写真の青い管)

各臓器や体全体へ酸素や栄養を運び終えた静脈血が流れるのが静脈です。
特徴は、静脈弁という弁がついており、比較的に体表を通っていることです。
普段、腕や手など肌の上から目に見える血管は静脈です。

・毛細血管

動脈と静脈をつないでいる細い血管であり、体の隅々まで広く分布しています。
主な役目は酸素や栄養を届け、老廃物の交換を行い、入らなくなったものを体の外に出すために静脈へ血液を送ることです。

車が走る道路をイメージしてみてください。

日本全国を人間の体とした時に、道路が血管のイメージに近いです。
例えば、道路にも一般道、国道、高速道路、路地、などそれぞれに特徴があります。

・動脈は、信号が基本なく高速道路のようにスピードが早いイメージです。
・静脈は、信号があるなかで一般道のようにそこそこのスピードでいろんなところに行けるイメージです。
・毛細血管は、路地のようにスピードは出せませんが、目的地までたどり着けるイメージです。

上記のように考えるとイメージしやすいです。

あくまで例ですが、この様なイメージをしておくと、様々な症状に対して、どんな対策を取らないといけないのか理解しやすくなります。

上記の様な働きを、環境や状況に応じて対応できる血管の力を血管力と呼んでいます。

動脈血は、心臓からのポンプ作用の圧力によって全身に押し流されています。
血管はその圧力にも耐えなければなりません。
これに耐えられないと、出血してしまうなど重篤な症状に直結します。
ですので、血管力が必要なのです。

また様々な状況にも、適応する必要があります。

例えば、気温が熱い時は血管を拡張することで熱を放散させ、熱がこもらない様に調整する仕組みを持っていますが、これは柔軟性がないと機能が低下します。

また寒い時には、体温を奪われない様に血管は収縮し熱の放散を食い止めます。
ここでの収縮力にも柔軟性が求められます。

血管は全身に広がっているので、この血管力を高めることで健康増進につながります。
健康だけでなく、美容や美肌にも重要です。

血行が良いと顔色が明るくなり印象が良くなります。

お肌への栄養や老廃物の循環もしっかり行き届きます。

お肌のターンオーバーを促し、お肌トラブルにもなりにくいです。

美容は健康から、という大原則を覚えておきましょう。

血管年齢とは?

血管が体中に走っていることで栄養が送られヒトが健康に生活できます。
そんな血管にも質が大切であることを覚えておきましょう。

ここでは血管年齢についての説明をします。

血管年齢とは、血管の老化の度合いを測る指標の一つです。
主に動脈の硬さを見ているので、この度合いが高いと動脈硬化が進んでいると判断できます。

動脈硬化は、血管の柔軟性が損なわれることにより、血管の壁に様々な物質が溜まり血管の中が狭くなったり流れを悪くしてしまいます。
また、硬くなるだけでなく、血管そのものがもろくなることで、つまりやすくなったり、やぶけやすくなるなど重度の病気を患うことになります。

西洋医学では、検査機器を用いて心臓から末端までの血液が流れる速度などを見て血管年齢を調べる方法があります。超音波を使ったエコー検査もあるので血管がどの様に動いているのか観察するのに有効です。

東洋医学でもこの血管の状態を診ることがあります。
数値化はされないことがほとんどですが、血管の状態や脈の状態などもチェックします。

血管年齢をチェックして、実年齢よりも上の数値が出た場合には注意が必要です。
血管の状態と生活習慣は密接に関係しています。
検査での数字や血管の状態は、不変ではありません。

生活習慣で改善が可能です。できるところから改善しましょう。

血管で起こる病気

ここまで血管の役割と、血管の機能を説明してきました。
では、血管力が低下していたり、血管年齢が上がるとどんな病気のリスクがあるのでしょうか?

ここでは、代表的な病気をご紹介します。

・脳出血

脳内の血管が破れて脳内に出血をしている状態をいいます。
頭蓋骨内で起こるので、出血による血腫(血のかたまり)が大きくなると十分なスペースが確保できなくなり、脳全体が圧迫します。すると脳本来の働きができなくなり、最悪の場合は死に至ります。

・脳梗塞

脳の血管が何らかの原因で詰まってしまう状態です。
血行が阻害されるので、脳に必要な酸素や栄養が行き渡らないので壊死を起こしてしまいます。

・くも膜下出血

くも膜という、脳を包んでいる膜に血管が豊富に通っており、そこの血管が破けて脳脊髄液の中に出血する状態をいいます。
頭全体に強い痛みが現れて、吐き気を引き起こします。
出血が多いと意識を失い、病院にたどり着くまでに亡くなってしまうことがあります。

どれも後遺症が残ったり、場合によっては死に至ることがあります。
ちょっとした生活習慣から動脈硬化は進行しますが、重度の病気にも向かっていることを認識しましょう。

また、糖尿病も気をつけたい病気の一つです。

糖尿病は、血中における糖のコントロールをしているインシュリンが不足していたり、インシュリンが上手く働かなくなる病気です。
糖尿病の方によっても原因は様々ですが、2型糖尿病と言われる型は遺伝的な要因もありますが太っていたり、運動不足の方に多いのも事実です。
そして、糖尿病そのものの症状も注意が必要ですが、怖いのは合併症です。
高血糖状態が続くと血管の壁を傷つけてしまい、その状態が長いと血管をボロボロにしてしまいます。
つまり、高血糖が血管年齢を上げてしまう可能性があるのです。

血管が障害されると血液の流れも悪くなり、血管に負担がかかるのでさらに高血圧になったり、動脈硬化が進むので悪循環です。

長く楽しい人生を謳歌するには、健康的に動けることが一番です。

そのためにも良い状態の血管を維持して、切れない、詰まらない、固まらない、血管を維持しましょう。

血管とコレステロールとの関係性

コレステロールそのものを悪者だと思っていませんか?

健康診断の時に、血液検査などでコレステロール値が高くて注意されたり、コレステロールを下げようと書いてあるサプリメントなども多いことからマイナスなイメージがあるかもしれません。

コレステロールは体内に存在する脂(あぶら)です。
確かに検査による数値異常は良くありません。
しかし、コレステロールは細胞やホルモンを作るのに必要な材料であり人体にとってはなくてはならないものです。

実はコレステロールの中にも良い働きをするものが存在します。

善玉コレステロール、悪玉コレステロールという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
血中のコレステロールにはこの2つの種類のコレステロールがあります。

体内でコレステロールがどのように働いているのか見ていきましょう。

・悪玉(LDL = Low-Density Lipoprotei)※低比重のリポタンパク質

悪玉と呼ばれるLDLですが、体に必要なコレステロールを全身に送り届ける役割をしています。
前述した通り、コレステロールは細胞やホルモンを作るのに必要な材料なので、全身に送り届けるLDLも体にとっては欠かせないものです。

ではなぜ悪玉と呼ばれるようになったのでしょうか?

それは酸化コレステロールにあります。

バターやマヨネーズをイメージして見てください。
長時間外に置いておくと黄色が強くなるように見えます。これが酸化です。
血中に余ったコレステロールが過剰に溜まると酸化します。これが酸化コレステロールです。

悪玉と呼ばれる理由は、血管の壁にこびりついて血管を劣化させてしまうことにあります。
それだけでなく、血管壁にたまってしまうことで心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性があります。

LDLも必要なコレステロールであることがわかっていただけたと思います。
本来、悪玉コレステロールと呼ばれるべきは酸化コレステロールなのかもしれません。

・善玉(HDL = High-Density Lipoprotein)※高比重のリポタンパク質

HDLは血中に余ったコレステロールを回収する役割をしています。
回収したコレステロールは肝臓に運ばれ、血中でコレステロールが増えすぎないように調整しています。
HDLが働くことにより、コレステロールが増えすぎないことから結果的に動脈硬化の予防になります。
このことから善玉と呼ばれています。

どうでしたか?コレステロールのイメージが変わりましたか?
善玉コレステロールを味方につけることで、体は変わるかもしれません。

血管のための食生活とは?

血管力をつけて、血管年齢を引き下げるには生活習慣を改善することが必要です。
なかでも食生活による、体の影響ははかりしれません。
ここでは良い血管のためにどんな食生活が必要なのか説明します。

・気をつけたいこと

①塩分の取りすぎに注意する。

高血圧になりやすいです。
塩辛いものを食べると喉が乾くので水分を取りたくなります。
血液中の塩分濃度は範囲が決まっているので、塩分が多くなると合わせて水も必要になります。
血管という限られたスペースに、さらに水分がくるので血圧が上がります。

②糖分の取りすぎに注意する。

肥満になりやすく、糖尿病のリスクも増します。
糖は体に必要なものですが、取りすぎると血中濃度が上がります。
処理しきれない糖は脂肪になったり、血管や血液の状態を悪くします。

③暴飲暴食を避ける。

内臓に負担をかけてしまい、体のリズムを壊します。
ストレス解消になると、つい暴飲暴食してしまいますが注意が必要です。
内臓が疲れていると睡眠の質も落ち、ホルモンバランスも崩しやすくなります。

④アルコールの過剰摂取に注意する。

肝臓が疲れます。
人体の化学工場と言われる肝臓の機能を低下させてしまうと、アルコールの分解を妨げるだけでなく他の物質を処理する機能まで低下してしまいます。
また肝臓は、栄養を体で使いやすい状態にしてくれる機能も補っています。

野菜や豆類、海藻類を食べましょう。

野菜や豆類、海藻類に多く含まれるカリウムが体内の塩分調整をする役割があります。

カリウムの過剰摂取は、腎機能障害がある場合は注意が必要です。
また果物も良いですが、糖度の強いものがあるので糖尿病の方は気をつけましょう。

魚を食べましょう。

魚はDHAとEPA、不飽和脂肪酸を多く含んでいます。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は悪玉LDLコレステロールを減らして、善玉HDLコレステロールを増やしてくれます。
EPA(エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにして、血中の中性脂肪を減らす役割もします。
不飽和脂肪酸は、常温でも固まりにくく血圧を抑える効果も期待されます。

肉中心の食生活は高脂質や高カロリーな場合が多く、味付けも塩分が高い場合があるのでも要注意です。
ミネラルを多く含んだ食物や、低脂肪、低コレステロールの食事を心がけると良いです。

楽しく規則正しい食生活を心がけましょう。

生活習慣のポイント

生活習慣の改善にはリズムが必要です。

・スポーツ

日中に体を動かしておくと体のリズムができます。
基礎代謝を高め脂肪やカロリーの燃焼に役立ちます。
またストレス解消などにも役立つので精神的にも良いです。
適度な運動は、睡眠の質も上げてくれるので積極的に取り入れましょう。

・睡眠

睡眠は1日の疲れを取るだけでなく、体内の様々な調整を行う時間です。
この時間を有意義に取れていないとホルモンバランスが乱れたり、日中にパリッと働くことができなくなります。
血圧なども上がりやすくなるので注意しましょう。

・喫煙

喫煙は脈拍を早め、血管を収縮させ血圧を上げる作用が考えられます。
動脈硬化を助長し、結果的に心臓の負担を増やしてしまいます。
血栓や脳出血などのリスクも上がるため、喫煙は控えましょう。

・ストレス

ストレスを溜め込んでしまうと思わぬ症状が体に現れます。
免疫系統にも影響が出るため、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

生活習慣は、日頃の活動の積み重ねです。
ちょっとしたことでも、毎日続けることで効果が現れます。
健康診断や、数値の改善を楽しみにするのも良いモチベーションになるかもしれません。

継続は力なり、少しずつでも実践していきましょう。

まとめ

血管についてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか?

気がつかないうちに血管に負担をかけている場合が多く、重篤な症状にいきなり発展してしまうことがあることをわかっていただけたと思います。

健康があってこその楽しい人生です。

内からの美しさとは、実は血管から始まるのかもしれません。
これをきっかけに、血管力を上げて健康と美しさの両立を目指しましょう!

心身ともにイキイキと生活することで長生きになります。

監修

・救急医、内科医 増田陽子

・救急医、内科医 増田陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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