はじめに

「CI検査とMRI検査の違いを説明してください」と言われてきちんと説明できる方はどれほどいるでしょうか?おそらく医療従事者の方を除いてほとんどいないのではないでしょうか?

今回はこの二つの違いについてご紹介します。
いざというときに安心して検査が受けられるよう、きちんとした知識を身につけておきましょう!

CT検査、MRI検査とは

1)CT検査とは

CTとはComputed Tomography(コンピューター断層診断装置)の略です。X線を体に当て、通過したX線量の差(※1)をデータとして集めてコンピューターで処理します。それによって、体の断面図を撮影できます。特に心臓や大動脈、肺や気管支、腹部の臓器(肝臓、腎臓など)にある病気を知るためには有用とされています。

(※1)X線は骨のように密度が高い部分は通過しにくく、反対に肺のように密度が低い部分は通過しやすいという性質を持っています。この差を利用しているのがCT検査です。

2)MRI検査とは

MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像診断装置)の略です。強い磁気を体に当てて、体内の水素原子を磁気の力で揺さぶり、その原子の状態を画像として映し出します。体の”各臓器の”断面図などを撮影します。特に脳、背骨や手足、関節、骨盤内の臓器(子宮、卵巣、前立腺など)にある病気を知るために有用とされています。

それぞれの検査方法・検査時間・検査費用

1)CT検査

(1)CTの検査方法
CT撮影用の台に横になった状態で撮影します。私たちが横になった状態のまま、筒状の穴の中に台が入っていき、そこでX線を当てます。


(2)CTの検査時間
1枚のCT画像を撮影するために数秒程度かかります。撮影枚数や撮影部位にもよりますが、少しずつ位置を変えながら何枚も撮影することが一般的なため、トータルの検査時間は5分から15分程度かかります。ちなみに、造影剤(※2)を使用した場合の方が検査時間は長くなります。
(※2)造影剤とは、より小さな病気を発見したり、より詳しい状態を知るために使用されるものです。CT検査室で造影剤を体内に入れて(注射して)撮影します。


(3)CTの検査費用
単純CT検査(造影剤を使用しないもの)は自己負担3割で約6,000円になります。造影CT検査(造影剤を使用するもの)は約10,000円から13,000円になります。ただし、CTの撮影枚数や部位によって価格は変動します。

2)MRI検査

(1)MRIの検査方法
MRI撮影用の台に横になり、磁気が出るトンネルの中に台が入っていき、撮影します。


(2)MRIの検査時間
検査時間は約30分かかり、CT検査よりも長くなります。また、CT検査と同様に、造影剤を使用した場合の方が検査時間は長くなります。


(3)MRIの検査費用
単純MRI検査(造影剤を使用しないもの)は自己負担3割で約8,000円から9,000円になります。造影MRI検査(造影剤を使用するもの)は約10,000円から14,000円になります。ただし、CT検査と同様に撮影枚数や部位によって価格は変動します。

それぞれの検査を受けるときに注意すること

1)CT検査を受ける際に注意すべきこと

基本的には、X線を体に当てるため妊娠中の人(またはその可能性がある人)はCT検査を受けることができません。また、MRI検査とも一部重複しますが金属類は取り外してからCT検査を受けるようにしまう。


(1)妊娠中の人
CT検査はX線による被爆が伴うため、妊娠中の人・妊娠の可能性のある人は胎児への影響(先天奇形・流産など)を避けるため、CT検査を受けることはできません。


(2)着脱可能な金属類を装着している人(MRI検査と同じ)
○眼鏡、カラーコンタクトレンズの一部
○ネックレス、ヘアピン、ピアス、イヤリング
○入れ歯
○ワイヤーのあるブラジャーや補正下着
○使い捨てカイロ、湿布、ピップエレキバン
○鍵、磁気の入ったカード


(3)薬剤へのアレルギーがある人(造影剤を使用する場合)
この点については、CT検査と同じです。過去に薬を飲んだり、注射した際に具合いが悪くなった(気分が悪くなった、体に赤いブツブツが出た、冷や汗、吐き気、動悸など)という経験を持つ人は事前に相談しましょう。それによって、造影剤で使用する薬剤を変更することがあります。また、具体的な薬剤名が分かる人は、それも伝えると良いです。

2)MRI検査を受ける際に注意すべきこと

基本的に、MRIの磁気と金属が反応してしまい、機械を破損してしまいます。したがって、外せる金属は外して検査を受ける、外すことのできない金属がある人は検査を受けないようにします。


(1)ペースメーカーを装着している人
ほとんどのMRI機器では、ペースメーカーを装着している人はMRI検査を受けることができません。最近は少しずつペースメーカー装着中の人でも受けることのできるMRI機器も出てきています。しかし、すべての医療機関に普及しているわけではないため、事前に確認する必要があります。


(2)手術等で体に金属が入っている人
以下に該当する人は、手術を受けた病院や主治医にMRI検査を受けてもよいのか事前に確認するようにしましょう。
○心臓の手術(ステント留置術、人工弁膜術など)
○脳の手術(ステント留置術、コイル塞栓術、脳動脈クリップを装着しているなど)
○骨折の手術(体内にまだボルトが入っている人)


(3)着脱可能な金属を装着している人(CT検査検査と同じ)
○眼鏡、カラーコンタクトレンズの一部
○ネックレス、ヘアピン、ピアス、イヤリング
○入れ歯
○ワイヤーのあるブラジャーや補正下着
○使い捨てカイロ、湿布、ピップエレキバン
○鍵、磁気の入ったカード


(4)薬剤へのアレルギーがある人(造影剤を使用する場合)
この点については、CT検査と同じです。過去に薬を飲んだり、注射した際に具合いが悪くなった(気分が悪くなった、体に赤いブツブツが出た、冷や汗、吐き気、動悸など)という経験を持つ人は事前に相談しましょう。それによって、造影剤で使用する薬剤を変更することがあります。また、具体的な薬剤名が分かる人は、それも伝えるようにすると良いです。


(5)閉所恐怖症の人
CT検査よりもやや長い時間(約30分程度)、狭い空間に留まることになるため、MRI検査は狭い所が苦手という人には不向きな検査です。事前に申し出ましょう。

おわりに

CT検査とMRI検査の違いは理解できたでしょうか?

検査の注意点には共通する部分も多いですが、検査に適した部位や検査時間に違いがありました。

一般人からすると似たような印象を持ちやすいCT検査とMRI検査ですが、きちんとした違いがあります。

ご自分が検査を受けることになったときには、この記事でご紹介したことを再確認していただけるとより安心して検査を受けることができるのではないでしょうか?

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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