はじめに

二日酔いと一口に言っても、頭痛や吐き気、倦怠感など様々な症状があります。飲酒後短時間で症状が起こるものは悪酔いと言い、飲んだ翌日に症状がでるものを二日酔いと言います。二日酔いが起こるかどうかは個人差や飲酒量にもよりますが、日本人は比較的お酒に弱い体質の人が多いといわれています。

二日酔いで吐き気が止まらない原因

二日酔いで吐き気が止まらないのは、脱水やアルコールを分解したときに生成される「アセトアルデヒド」などが原因として挙げられます。

脱水

「お酒を飲んでいるのに脱水?」と思う方もいるかもしれませんが、実は飲酒は脱水の原因となります。まず、確認しておきたいのは、脱水症とは単に身体から水だけが不足している状態ではないということです。実は、脱水症とは水と同時にナトリウム、カリウムなどの電解質も不足している状態のことを指すのです。

お酒を飲んだ後はやたらとトイレの回数が増えるという方も多いと思いますが、アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が尿として排出されやすくなります。さらに、水分と一緒にナトリウムやカリウムといった電解質も失われます。

こうしてアルコールを飲むと、知らず知らずのうちに脱水状態となっていることがあるのです。脱水になると循環血液量が減少するため、消化器官への血流量も減少します。これにより消化器官の機能が低下し、吐き気が止まらない原因となります。

身体に有害なアセトアルデヒド

アルコールはまず体内に入ってくると肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解され、その後酢酸を経て水と二酸化炭素に分解されますが、この中間生成物であるアセトアルデヒドは人体にとって有害な物質です。そのためお酒をたくさん飲みすぎることでアセトアルデヒドを分解しきれないと、これが吐き気を誘発してしまうのです。

アルコールによる消化器官へのダメージ

通常胃は胃粘膜で保護されていますが、アルコール度数が強かったり、空っぽの胃に急にアルコールを摂取することで、胃粘膜が傷つきやすくなります。これにより胃に負担がかかり、胃もたれや吐き気などの原因となってしまいます。

二日酔いの吐き気解消法

水分補給をする

二日酔いの吐き気は脱水が原因で起こっていることが多いため、とにかく水分補給が大切です。できればただの水道水やミネラルウォーターよりも、電解質が含まれたスポーツドリンクなどの方がおすすめです。
また、水分を補給することで血管内の水分量も増え、尿の量も増えるため、アルコールを排出しやすくなります。

フルーツを食べる

フルーツに多く含まれるビタミン類やクエン酸などは、肝臓のはたらきを助ける効果があります。そのため肝臓でのアセトアルデヒドの分解を促すことが期待でき、吐き気を解消するためには効果的です。

二日酔いの吐き気に対してやってはいけないこと

入浴や運動をする

運動したり入浴したりすると、汗をかいて血管内の水分が失われます。こうなると血中のアルコール濃度が高くなってしまうため、余計に吐き気がひどくなることがあります。

また、二日酔いで吐き気がある場合は脱水であることが多いため、この状態で汗をたくさんかいてしまうとさらに脱水が進みます。これにより血管内はドロドロの状態となり、場合によっては血栓ができて心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまうこともあるため、二日酔いの症状があるときは運動や入浴など、汗をたくさんかくような行動は避けましょう。

無理に吐く

気分が悪いからといって無理に吐こうとするのは逆効果です。吐き気は消化器官がダメージを受けているためにおこりますが、無理に吐くと胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つける原因となってしまいます。そのため吐き気があるからと言って無理に吐くのはやめましょう。

二日酔いの吐き気の予防法

飲みすぎない

まずは飲酒の適正量を知って、飲みすぎないことが大切です。量が多かったり、アルコール度数が高いものばかりを飲むと、アルコールによるアセトアルデヒドが蓄積されやすくなり、二日酔いが起こる原因となります。そのため自分の飲める量をしっかりと把握し、酒を飲んでも飲まれないように気を付けましょう。

水分をしっかりとってから寝る

アルコール摂取後は脱水になりがちです。また水分補給をすることで、血中の水分量が増え、アルコール濃度が上がりすぎることを防いだり、アルコールを速やかに排出しやすくなります。そのためお酒を飲んで帰ってきたときはそのままベッドに直行するのではなく、コップ1杯の水を飲んでから寝るようにしましょう。

おわりに

二日酔いによる吐き気を防ぐためにはまずは自分の適正量を把握することが大切です。そして忘れてはならないのが水分補給です。アルコールによる脱水は吐き気以外にも様々な不快症状を引き起こす原因となるため、お酒を飲んだ後はしっかりと水分補給をするように心がけましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野 
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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