はじめに

鏡を見た時、自分の頭に白髪を見つけると気になる方もいるのではないでしょうか?
これは女性だけではなく、男女共通の悩みといわれています。

白髪は加齢が原因だと考えている方もいますが、実際には加齢以外にもいくつかの原因があります。
あまり知られていない白髪のメカニズムなどについて見てみましょう。

髪の毛のライフサイクル

皆さんは、髪の毛がどのように生えてきて、どのように抜けるのかをご存じですか?
髪の毛も皮膚などと同じようにサイクルを繰り返して生え変わりをしています。
白髪についてお話しをする前に、髪の毛のライフサイクルについてご説明します。

髪の毛のライフサイクルは3つの周期に分かれている

髪の毛は「生えて」「伸びて」「抜ける」というサイクルを繰り返しています。
このサイクルを「髪の毛のライフサイクル」と呼びます。
この3つの周期とはどのようなものか詳しく見てみましょう。

1.休止期

今生えている髪の毛が抜け始めるとともに、次の新しい髪の毛を作り出しています。
この期間が約2カ月~3ヶ月かかるといわれています。

2.成長期

毛乳頭の活動が活発になり、毛母細胞が盛んに細胞分裂を行います。
これにより髪の毛が成長を続けて伸びていく時期で、約2~6年間あります。

3.退行期

毛母細胞が細胞分裂の活動を停止させ、毛母と毛乳頭が分離して髪の毛の成長が止まります。
毛根が頭皮の方へ上がっていくため、抜けやすい状態になります。
この時期が約2~3週間あります。
髪の毛は私たちの気付かないところで、このサイクルを繰り返して生え変わりを繰り返しているのです。
どんなに健康な髪の毛でも生えてから約6年たつと抜けてしまうのです。
この髪の毛のライフサイクルは、大人でも子供でも変わることはありません。

白髪になるメカニズムとは

髪の毛のライフサイクルについてはおわかりいただけましたか?
前項を踏まえた上で、白髪になるメカニズムと原因について見てみましょう。

白髪になるメカニズム

私たちの髪の毛の色を決めているいるのが「メラニン色素」です。さらに、そのメラニン色素を作り出しているのが「メラノサイト」という色素細胞です。そしてメラノサイトの元となっているのが「色素幹細胞」という細胞です。

「色素幹細胞」は、毛根の中に密集しており、髪の毛が生え変わるときに毛根の根元へと移動し、「毛乳頭」という部分の周りにある「毛母基」で色素細胞になります。そしてメラニン色素を作り出して髪の毛の中に取り込んでいるのです。

つまり毛母細胞が最初に作り出す髪の毛は白髪というわけです。そして次の段階で白髪の状態からメラニン色素によって色を付け、黒髪になるのです。しかし、黒髪にならず白髪のまま生えてくる場合、色素幹細胞や色素細胞が何らかの原因で機能しなくなったために白髪のまま生えてきているということになります。

白髪の原因

色素幹細胞や色素細胞が機能しなくなる原因はいくつか考えられます。
人それぞれ原因は異なりますので、もし自分の白髪の原因についてお悩みの方は参考にしていただければと思います。

1.加齢

年齢とともに、髪の毛に色付けをする役割であるメラニン色素を作り出す「メラノサイト」の働きが衰えて、メラニンの色素の生産量が低下し、やがて色素細胞が消滅します。

2.遺伝

若白髪と言われるものは遺伝的要素が原因の可能性があります。

3.病気

胃腸疾患や甲状腺異常、貧血症などにより白髪が増えることがあります。
また、白斑ができるとその部分が白髪になることがあります。

4.栄養不足

ビタミンやミネラル、タンパク質などが不足することにより白髪になることがあります。

5.ストレス

ストレスは体を常に緊張状態にしてしまい、毛細血管の流れを悪くします。すると毛母細胞に十分な栄養を与えることができず、毛母細胞の働きを弱めるため白髪の原因となります。

白髪にならないための予防法

白髪になると老けて見られることがあるため、白髪になりたくないと考えている方もいるかもしれません。
続いては、白髪にならないための予防法をご紹介します。

1.バランスのいい食事

髪の毛に必要な栄養素が足りないと白髪の原因になります。
髪の毛の主成分である「たんぱく質」を十分に取り、メラノサイトが正常に働くように「ビタミン」や「ミネラル」を摂ることが大切です。
また、毛母細胞を若々しく保つために、老化を遅らせる作用がある「ビタミンC」や「ビタミンE」を摂ることもオススメです。

これらの栄養素を意識して、バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。

2.規則正しい生活

髪の毛はデリケートで、心身の不調の影響を受けやすい部位です。
白髪にならないためには、規則正しい生活をすることが大切です。
そのためには十分な睡眠を取ることで自律神経のバランスを整え、代謝や血流を改善することが大切です。

3.ストレス解消

ストレスも睡眠不足と同様に自律神経を乱す原因につながります。
自分の感じているストレスをすべて取り除くことは難しいですが、ストレスとうまく付き合うようにコントロールできると自律神経の乱れを防ぐことができます。

4.頭皮の血行促進

頭皮をマッサージすることによって、血行を促進させ頭皮にかかるストレスを軽減することができます。

白髪になったときの対策法

既に白髪が生えている方はどのような対処をしていますか?
白髪の量によっても対処方法は異なりますので、正しい白髪の対処方法をご紹介します。

1.白髪が数本であればハサミで切る

白髪の数が数本であれば、ハサミで切りましょう。
自分で切れる部分は自分で切ればいいのですが、後ろの毛など自分で見えない場合は、自分で行うと引っ張ってしまい枝毛の原因にもなるため、なるべく誰かにやってもらいましょう。

2.白髪の本数が多いときは染める

白髪の本数が多いときや白髪がまとまって生えている場合は白髪染めで染めるとよいでしょう。
染髪剤は、ヘアカラーではなく、白髪専用のカラーリングで行うようにしましょう。

※白髪を見つけたとき、抜くことはやめましょう

白髪を見つけると抜きたくなる方もいると思いますが、抜くのはやめておきましょう。
無理やり白髪を抜いてしまうと、頭皮や毛細血管、毛穴、毛乳頭がダメージを受けます。
また、間違って周辺にある健康な黒髪を抜いてしまうと健康な毛乳頭までダメージを受けます。
頭皮のダメージを増大させないためにも、白髪を見つけたときは抜かずにご紹介したどちらかの方法で白髪をなくすことをオススメします。

まとめ

皆さん、いかがでしたか?
髪の毛は、自分の健康状態の影響を受けやすい部位です。
近頃、原因がわからず白髪が増えて困っていた方は、この記事が参考になりましたら幸いです。

監修

・救急医、内科医 増田 陽子

・救急医、内科医 増田 陽子

専門分野 
微生物学、救急医療、老人医療

経歴
平成18年 Pittsburg State大学 生物学科微生物学・理学部生化化学 卒業
平成22 年 St. Methew School of Medicine 大学医学部 卒業
平成24年 Larkin Hospital勤務
平成26年 J.N.F Hospital 勤務

資格
日本医師資格
カリブ海医師資格
米国医師資格

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