正しい姿勢・悪い姿勢とは

普段生活している中で、自分がどのような姿勢で過ごしているのか意識したことがあるでしょうか?

通勤・通学の時の姿勢や歩いている時の姿勢を思い浮かべてみてください。
また、オフィスなどでは、パソコン作業に夢中になって無意識に背筋が丸まっている人も多いのではないでしょうか?

緩やかな「S」字の背骨がポイント

二足歩行である人間は、頭部が重く、身体のバランスが不安定な動物です。不安定な身体を支えているのが骨ですが、正しい姿勢を保つうえで特に重要になってくるのが、身体の中心にある背骨です。

背骨は本来、緩やかに湾曲しています。
そのため、姿勢を良くしようとして背筋をまっすぐに伸ばしすぎたり、パソコン作業などに注視して背中を丸めたりるような姿勢は、正しい姿勢とはいえません。こういった姿勢を続け、重い頭部の負担を背骨にかけることは、疲れだけでなく、身体のゆがみも引き起こします。
また、骨や骨格に負担やゆがみが生じると、身体に様々な不調をもたらしてしまいます。

身体を支える骨を、本来あるべき自然な状態に保つことこそが、正しい姿勢といえるでしょう。

正しい姿勢のメリット

正しい姿勢をとることで得られるメリットにはどのようなものがあるのか、具体的にご紹介します。

代謝がよくなる

正しい姿勢をとるようになると、姿勢を維持するために身体の様々な筋肉が刺激されます。普段から正しい姿勢を意識することで自然と筋肉が鍛えられ、それにより代謝がよくなります。
すると、普通に生活しているだけで消費するエネルギー量が増加し、身体が引き締まり、ダイエット効果が期待できます。
さらに、代謝がよくなることで熱が産生され、血液の巡りがよくなって冷え症の改善にも役立ちます。

肩こり・腰痛の改善

正しい姿勢をとることは、肩こりや腰痛の改善にもつながります。
普段デスクワークの時間が長い人や、仕事や家事などで前かがみの作業を長時間する人は、肩こりや腰痛に悩まされていることが多いと思います。また、長時間スマホをみることも、無意識に悪い姿勢となる原因となります。
頭部が肩よりも前にくるような姿勢は、頭部の重さを支える背骨に大きな負荷をかけます。このような姿勢を長時間とることにより、血液循環も悪くなり、肩や首のこり・腰痛などを引き起こします。

正しい姿勢をとることで、頭部の重さを背骨全体でしっかりと支えることができます。
血液循環を妨げることもなくなるため、肩こり・腰痛の改善につながります。

便秘の解消

内臓が正しい位置にないと、便秘と原因になります。身体のゆがみにより内臓の位置が下がったり、圧迫されたりすることで、便を排泄するための大腸が正常に機能しなくなってしまいます。

正しい姿勢をとることで、お腹が引き上げられ、内臓が本来の位置に戻ると、便の排泄がスムーズに行われるようになります。
さらに、溜まっていた便の排泄がスムーズになることにより、腹部の膨満感・不快感がなくなります。それだけでなく、便などの老廃物が排出されることによる美肌効果も期待できます。

呼吸が深くなる

猫背など悪い姿勢のままだと、肩が縮こまって呼吸が浅くなってしまいます。

正しい姿勢は胸を開くかたちになるため、自然と普段の呼吸が深くなります。呼吸が深くなることでリラックス効果が得られ、自律神経が整って精神的に落ち着きやすくなります。
普段イライラしやすい・落ち込みやすいという方は、姿勢を正し、深い呼吸をすると良いでしょう。

姿勢チェックの方法

正しい姿勢をとると、様々なメリットがあることがわかりました。それでは、実際に自分の姿勢をチェックできる簡単な方法を紹介します。

姿勢チェックのポイント

【正面から見た時】
・両足をそろえて直立したときに、鼻・あご・へそが一直線にそろっている
・肩・骨盤それぞれの左右の高さが同じである
・閉じた脚の太ももの付け根・膝・ふくらはぎがくっついている

【真横からみた時】
耳・肩・腰・くるぶしが一直線にそろっている

壁を使った姿勢チェック

上記したポイントは全身を鏡に映すことでチェックすることができます。
この他にも、壁を使ったチェック方法があります。

① 壁を背にしてまっすぐに立ちます。
② 姿勢をくずさないようにゆっくりと後ろに下がり、壁にかかと・背中をつけて立ちます。
③ 手順②の状態で、頭・肩甲骨・おしり・かかとが壁につき、腰と壁の間に手のひらが入るほどのすきまがあれば、正しい姿勢といえます。

姿勢改善のために日常生活で意識する4つのこと

自分の姿勢が正しいかチェックしたら、正しい姿勢を普段から意識してみましょう。姿勢改善のために日常生活で意識するべきポイントは、以下の4点です。

1.脚を組まない

会社やカフェ、電車内など、椅子に座ったときに脚を組んでいませんか?脚を組むことは、腰や骨盤のゆがみの原因となります。

クセで普段からやっている人は、すぐにやめましょう。椅子に座るときは、足先・膝を合わせて座ると美しく見えます。
始めはつらく感じるかもしれませんが、慣れてしまえば自然とできるようになります。

2.片脚に重心をかけない

電車を待っているときなど、立っているときに片脚に重心を置いている人は要注意です。このような重心の偏った立ち方も、腰のゆがみの原因となります。

立つときはしっかりと両脚で立ち、重心が身体の中心にくるように意識しましょう。

3.片側ばかりで荷物を持たない

カバンやレジ袋など、荷物を持つときにいつも同じ方で持っていませんか?荷物を持つのがいつも片側に集中していると、上半身のゆがみにつながります。

理想はリュックサックなど、両肩に均等に負担を分散できるものを持つことです。
ハンドバッグやショルダーバッグなどを持つときには、こまめに左右を持ち替えるようにしましょう。

4.パソコン・スマホ使用中に前のめりにならない

今、この記事を読んでいるときの姿勢はいかがでしょうか?パソコンやスマホを使うとき、頭が肩より前に出て前のめりの姿勢になっている人が多くいます。
これは、首や肩を中心とした上半身のゆがみの原因となります。

パソコン作業に限らずですが、背筋はピンと伸ばし、耳・肩・腰の縦のラインを意識しましょう。
また、スマホをみるときには、スマホを目線の高さまで持ってくることで、正しい姿勢を維持しやすくなります。

おわりに

日常的にとっている姿勢が、私たちの体型や身体の調子に大きく影響していることがわかりました。
正しい姿勢をとることで、肩こりや冷え症などの身体の悩みが解消したり、理想の体型に近づくことにつながります。
日常生活のちょっとしたことから意識を変えて、正しい姿勢を目指しましょう。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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