世界中で鍼灸が盛んになって来ました。これからもどんどん広まって行くことでしょう。
そこで今回の記事では今後増えて行くであろう鍼灸師の新しい働き方について書いて行きます。

治療院を構えて患者を待つスタイルからの転換

これまで3000年以上の歴史持つ鍼灸ですが、
そのスタイルはその時代によって変わって来ています。今までおそらく一番多かったのが治療院を構え、地域に根ざしていくスタイル。

しかし、養成学校が増えたことで鍼灸師の数が爆発的に増え、ネットが発達した影響でSNSなどで情報が拡散されやすくなった現在では、今までのやり方だと地域で1番になれなければ経営が難しくなってしまいます。


鍼灸以外の整骨院や整体なども含めた身体の治療に関する店舗は9割方開業して数年以内に潰れると言われています。


そんな中、増えているのが、患者さんが治療院に行くのではなく、施術者が家に出向く訪問治療というスタイルです。

寝たきりで動けない方や障害を持っていて治療院に通うのが難しい患者さんに対して保険適応で行うマッサージや鍼灸治療という形で増えている出張治療ですが、

今後は保険のあるなしに関わらず出張鍼灸がもっと広まって行くでしょう。


治療院を構えて治療しながら出張治療もする。
こういったスタイルを取らないとやって行けないという鍼灸師が多くなっている現状が背景にあり訪問鍼灸治療が増えて行っています。

訪問治療は国境を超える?

今回僕が提言したいのは、日本で訪問鍼灸治療をしようということではありません。
なぜならそれはすでに広まって来ているもので新しいもではないからです。

今回僕が提言したいのは国境を超える鍼灸師という働き方です。

これからは、日本国内だけではなく、世界で訪問治療をする鍼灸師、国際鍼灸師が増えて行くであろうと僕は考えています。

実際に中国へ訪問鍼灸治療をしに行っている鍼灸師の方を知っていますし、
ドバイへ通ってセレブ相手に鍼灸治療をしてドバイ政府から認められ、ドバイで鍼灸を正式に行えるところまで持って行った日本人鍼灸師の方もいらっしゃいます。


現在は、法律の壁、鍼灸免許や医療過誤がおきた時の保険の問題など乗り越えなければならない問題がたくさんあります。

中国が国際中医師という資格を発行しており、この資格のみを認めている国(マレーシアなど)もありますので日本の今の鍼灸師の資格では国際鍼灸師として活躍するのは難しいですが、

海を渡り世界で訪問鍼灸治療をするという形で活躍して行く鍼灸師が今後出てくることでしょう。

この流れはすでに始まっています。

法律や資格、システムの問題をクリアし、設定金額などの面でもしっかりとした仕組みを作り、必要な条件をクリアに出来れば日本人鍼灸師の新たな道として、世界で鍼灸治療をすることが可能になるのではないかと思っています。

またこれは日本人鍼灸師がやらなくても中国やアメリカの鍼灸師がいつかは始める形なのではないでしょうか?

世界で訪問鍼灸をする為に必要なこと

要素1

第1に乗り越えなければいけないのが言語の問題です。質の良い治療をする為にはコミュニケーションをしっかり取る必要があります。

通訳を介するのも一つの手ですが、最低限の言語能力の取得が必要でしょう。
英語、スペイン語、中国語のどれか一つは話せるようになる必要があるかと思います。

今後翻訳機の性能が向上すれば日本語しか話せない鍼灸師でも対応出来るかもしれませんが、
患者さん側からすれば母国語で話してくれる、もしくは共通の言語が話せる鍼灸師の方が信頼を置きやすいかと思います。


情報収集の観点から考えると英語を身につけておくことは必ずアドバンテージになると思います。

要素2

第2に必要なことは医療知識と治療の腕です。
治せない鍼灸師のところへ海外から訪問鍼灸のオファーが来ることはまず無いでしょう。
患者さんが感化されるような結果を出す鍼灸師が世界から必要とされるでしょう。

圧倒的な治療の腕を持っていれば日本国内のみならず世界からオファーが来るのが当たり前となる日が来るのではないかと個人的には思っています。

また、治療の腕だけではなく、治療後のセルフケア、運動指導や食事指導が出来ることも欠かせない要素となると思います。

要素3

第3に必要なのは、世界中の人が、腕が良くて世界で訪問鍼灸治療をしてくれる鍼灸師を見つけることが出来るウェブサービス、システムの構築です。

これは1人の鍼灸師で作れるものではないし、鍼灸師だけで作れるものでも無いでしょう。

さまざまな技術者や企業を巻き込むことで達成出来るものだと思います。
1人2人であれば、第3の要素がなくても世界で訪問鍼灸を行う鍼灸師が出てくるでしょう。
しかし、それは今までの鍼灸院の延長でしかなく、新たな可能性の扉を開けることは出来ません。

鍼灸業界をアップデートするには、
治療云々ではなく、どう世界中の人に鍼灸師たちの素晴らしさを伝えるかを考えなければなりません。

その為には、システム作り、ウェブサービス作りが欠かせません。

日本国内であれば腕の良い鍼灸師を探すサービスが出始めて来ましたが、人口が減りつつある日本だけを相手にするのではなく、人口が増えている世界を相手にしていかなければ日本鍼灸業界の発展はある程度のところで頭打ちになるでしょう。


世界を相手にする、これを一企業が単独でやるのか、鍼灸団体が手を取り合ってさまざまな企業を巻き込むのか、国や政府を巻き込んで行なって行けるのかで達成出来るスピードが格段に変わって来るでしょう。

おわりに

日本鍼灸は伝統文化であり、世界に誇れる日本の技術だと思います。

間違いなく日本の鍼灸師たちの腕は世界で一番上です。さまざまな国の人を相手に豪華客船で鍼治療を行なって来た実体験、患者さんとの会話内容から言えることです。


そんな素晴らしい日本の鍼灸師たちが活躍できる道は世界に広がっていると僕は思います。

国際鍼灸師として世界を飛び回る鍼灸師というのが、これからの世界の鍼灸業界をリードして行く鍼灸師なのではないかと思います。

これが僕が目指す道であり、今後増えていくであろう鍼灸師の活躍する道だと思っています。

今はまだ夢物語のような話かもしれませんが、
かの有名な漫画ブラック・ジャックの主人公のように世界を飛び回る鍼灸師が誕生する日はそう遠くないのではないかと思います。

願わくば自分がその始めの1人になれればと思っていますが、1人だけでは意味がないので日本人鍼灸師たちが目指す道として国際鍼灸師という道を作って行けたらなと考えています。

鍼灸業界には無限の可能性が満ちている。
鍼灸師たちよ、大志を抱け!

プロフィール

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松永光将(まつながみつひろ)
鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師

神奈川衛生学園専門学校卒業

専門学校卒業後カリフォルニアへの語学留学を経て日本に帰国。1年間在宅訪問鍼灸マッサージで働きながら社会人アメリカンフットボールXリーグ1部 明治安田パイレーツでアシスタントヘッドトレーナーとして活動
2012年から豪華客船へと仕事の舞台を移し、船上鍼灸師として世界中の国の人々を相手に船上で鍼治療を行う。ディズニークルーズ、ホーランドアメリカクルーズ、プリンセスクルーズ、P&O Australiaクルーズと4つの大手客船会社の船での実務経験を持つ。

船を降りている時はバックパックを背負い写真を撮りながら世界を周るトラベルフォトグラファーとしても活動。
世界45カ国、150を超える都市を旅して来た。
世界を周り、世界での鍼灸の可能性を見出し、日本鍼灸を世界に輩出するべくSNSで豪華客船のことや船上鍼灸師の現状、世界の鍼灸事情を発信している。

http://mitsmatsunaga.com/

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