腹筋ローラーとは

『腹筋ローラー』は、腹筋を中心に鍛えるトレーニングの器具です。
約30cmの長さのバーの真ん中に、タイヤのように転がる円盤がついており、バーの両側を握って床の上を転がしながら身体を動かすことで、腹筋を効率的に鍛えることができます。

トレーニングジムにあるような腹筋のマシンは、購入コストがかかりすぎたり、置く場所に困ったりするなどさまざまな問題があります。
その点、腹筋ローラーは安価で保管場所もほとんど取らないので、自宅用のトレーニング器具としては最適です。
また、使い方を工夫することでトレーニング初心者から上級者まで効果のあるトレーニングを行うことができます。

腹筋ローラーの効果

腹筋ローラーの主な効果を5つご紹介します。

■お腹が引きしまる

腹筋ローラーの最大の効果は、腹筋が鍛えられてお腹周りが引きしまるということです。
腹部の浅層にある『腹直筋』や『腹斜筋』はもちろん、動かす速度をゆっくりにしたり、姿勢をキープしたりすることで、深層にある『腹横筋』まで、広範囲に腹筋を鍛えることができます。

■背中が引きしまる

『上体起こし(トランクカール)』のような腹筋トレーニングでは、腹筋ばかりが鍛えられ、背筋にはあまり効果が期待できません。

しかし、腹筋ローラーでは、体幹部をまっすぐにキープしたり、腕で上半身を支えたりすることで、背筋も同時に鍛えることができます。
背中から腰にかけて広く走行する『広背筋』や、背骨の両側で背骨を支える『脊柱起立筋』を主に鍛えることができるので、背中も引きしめられます。

■二の腕が引きしまる

腹筋ローラーでは、腕立て伏せと同じように腕で上半身の重さを支えるので、腕の筋肉も鍛えられます。
主に、二の腕の背側にある『上腕三頭筋』が鍛えられるので、たるんだ二の腕の引きしめに効果が期待できます。

■体幹が強化される

身体の中心部である『体幹』は、体幹前面の腹筋群と背面の背筋群の働きでコントロールされています。
腹筋と背筋のバランスがうまくとれているときは、背筋が丸まったり反ったりせず、まっすぐに伸びた良姿勢を維持することができます。

腰痛や肩こりには、姿勢の問題が大きく関与しており、体幹が強くよい姿勢をきちんと保てる方は痛みがでにくくなります。
また、スポーツ競技などにおいて体幹がしっかりしていると、瞬発力や動きの安定性が高くなるので、パフォーマンスが向上します。

腹筋ローラーでは、腹筋と背筋をうまく使いながら体幹をコントロールしていく必要があるので、自然に体幹が強化されます。

■股関節が強化される

腹筋ローラーは基本的に腹筋を鍛える器具ですが、身体を前後に動かす過程で股関節の曲げ伸ばしも同時に行います。
股関節前面の『腸腰筋』や『大腿直筋』、臀部にある『大臀筋』も収縮して鍛えられるので、股関節が強化されます。

腹筋ローラーを使った筋トレのやり方

腹筋ローラーを使った筋トレのやり方を、初級、中級、上級と分けてご紹介します。

■壁コロ

壁に向かって行う、初級者向けのトレーニングです。

① 壁に向かってある程度の距離をおいて床の上で四つ這いになり、肩の真下にある両手で、床の上に置いた腹筋ローラーを持ちます。
② 腹筋ローラーを頭側にゆっくりと押していきます。
③ 腹筋ローラーが壁にぶつかったら、一呼吸おいて膝の前までゆっくりと引き戻しながら、背中を丸めて腹筋を収縮させます。
④ 手順②、③の動きを10回×3セット繰り返します。

トレーニングに慣れてきたら、壁との距離を徐々に伸ばしていきましょう。そうすると、次項にある中級者向けの膝コロができるようになります。

■膝コロ

膝をついて行う、中級者向けのトレーニングです。

① 床の上で四つ這いになり、肩の真下にある両手で、床の上に置いた腹筋ローラーを持ちます。
② 腹筋ローラーを頭側にゆっくりと押していきます。
③ 身体が浮いた状態を維持できなくなる一歩手前まできたら、膝の前までゆっくりと引き戻しながら、背中を丸めて腹筋を収縮させます。
④ 手順②、③の動きを10回×3セット繰り返します。

引き戻せそうにないときは無理をせず、そのまま前方に倒れるようにしましょう。
基本の膝コロに慣れたら、さらに膝を曲げて膝から下を床から浮かせて行うと、負荷が上がります。

■立ちコロ

つま先をついて行う、上級者向けのトレーニングです。

① 両足を腰幅に開いて立ち、身体の前で腹筋ローラーを持ちます。
② 足元前方の床に腹筋ローラーを置き、そのまま前方に転がしながら身体を床に近づけていきます。
③ 腕立て伏せをするときのように、つま先だけが床についた状態で身体を浮かせます。
④ 身体が浮いた状態を維持できなくなる一歩手前まできたら、ゆっくりと腹筋ローラーを足元近くまで引き戻します。
⑤ 手順②~④の動きを10回×3セット繰り返します。

膝コロから急に立ちコロまで負荷を上げると、腰を痛める可能性があります。
そのため、壁コロでご紹介したように、壁に向かって立った状態から行い、壁との距離を徐々に伸ばしていきましょう。
また、引き戻せそうにないときは、無理をせずそのまま前方に倒れるようにしましょう。

両足を閉じて行うと、負荷が上がってより下腹部に効果があるので、様子をみながら、できそうな方は挑戦してみてください。

腹筋ローラーの使い方のポイント

腹筋ローラーを使用するときの6つのポイントをご説明します。

■ゆっくりと動作をする

腹筋ローラーを前後に転がす動作は、ゆっくりと行いましょう。
初心者の方では、ある程度速度がある方が簡単に行うことができますが、決して反動はつけないようにしてください。反動をつけると、急激に力が入った瞬間に肉離れなどのケガをする恐れがあります。

トレーニングに慣れてきた方は、速度を遅くすればするほど筋肉が強く働き、負荷が上がりますので、できる限りゆっくりと動きをコントロールしながら行いましょう。

■呼吸を止めない

腹筋ローラー中は「押すときに吸って引くときに吐く」ということを繰り返し行いましょう。

腹筋ローラーに関わらず、すべての筋トレに通じることですが、トレーニング中は呼吸を止めないようにしましょう。
呼吸を止めると、血圧が上がりすぎる恐れがあるほか、余計な力が入って全身が固まり、うまく身体をコントロールできなくなってしまいます。

■腰を反らない

腹筋ローラーを間違ったフォームで使用したために、腰を痛めてしまう方が多くみられます。

腰が反ってお尻が突き出た状態で行うと、腰を痛めてしまうので、背中をやや丸めて行うようにしましょう。
腹筋ローラーを引くときは、腹筋を意識して腹筋の力で引っ張るようにすると、自然と背中がやや丸まったフォームになります。

■肩の余分な力を抜く

腹筋ローラーを持って身体を動かす間は、肩に必要以上の力が入らないように注意しましょう。
肩に力が入りすぎると、呼吸が止まる、肩がこる、身体に力が入りすぎて腹筋や背筋などの必要な部位に力が入らないなど、トレーニングの効率が悪くなってしまいます。

トレーニング中、首をすくめたように上がっている場合は、肩に力が入りすぎているので、注意してください。

■手首の力を抜かない

トレーニングを行っている間はしっかりとバーを握り、手首の力が抜けないように気をつけましょう。

手首の力を抜いて手首が反った状態で体重を手に預けると、腕への負担が軽減して楽になります。しかし、その分、手首の関節に大きな負荷がかかり、関節炎や腱鞘炎を引き起こす恐れがあります。
また、本来使うべき腕の筋肉を使わなくなるので、腕の引きしめ効果もなくなってしまいます。

■自分の筋力に合ったトレーニングを行う

腹筋ローラーは使い方を変えることにより、初心者から上級者までさまざまな方に効果のあるトレーニングを行うことができます。
動くスピードや身体を倒す傾き、足をつく場所など、さまざまな要素を変えることができますので、ご自身の筋力に合ったトレーニングを行うようにしましょう。

無理なトレーニングを行うと、肉離れや関節炎などのケガにつながります。
反対に、負荷の小さすぎるトレーニングでは、トレーニング効果が期待できなくなってしまいますので、注意しましょう。

腹筋ローラーを使った筋トレの頻度

筋トレを行うと、筋肉の線維に微細な断裂が生じますが、これを私たちは『筋肉痛(遅発性筋痛)』として感じています。
この断裂を修復する過程で、元よりも強く太い筋肉に発達する現象を『超回復』と呼びます。腹筋の場合は、超回復におよそ1~2日かかります。

よって、筋力アップや筋肥大を目的とする場合は、筋トレ後数時間から2日以内に筋肉痛を生じる強度でトレーニングを行うことをおすすめします。
また、修復が完了する前に再び筋トレを行ってしまうと、効率よく筋肉を発達させることができないので、2~3日の間隔をあけながらトレーニングを行うとよいでしょう。

おわりに

今回は、腹筋ローラーについて、効果や筋トレメニュー、使い方のポイントなどをご説明しました。

トレーニング器具の中では、コンパクトで安価なものですが、基礎的なトレーニングから非常にハードなトレーニングまで行うことができます。
誰でもご自身に合ったトレーニングを行うことで、引きしまった強い身体を手に入れることができるので、ぜひ取り入れてみていただきたいと思います。

監修

・総合診療医 院長 豊田早苗

・総合診療医 院長 豊田早苗

専門分野
総合診療医

経歴
鳥取大学医学部医学科卒業。2001年 医師国家試験取得。
2006年とよだクリニック開業。
2014年認知症予防・リハビリのための脳トレーニングの推進および脳トレパズルの制作・研究を行う認知症予防・リハビリセンターを開設。

資格
医師免許

所属学会:総合診療医学会、認知症予防学会

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